現代の茶人からの応援メッセージリレー vol.5
vol. 6 2019-07-07 0
日本茶ドキュメンタリー映画製作チームの高津です。
現在、79名の方にご支援いただいております。ありがとうございます!
金額もさることながら、この支援してくださる方の「数」が増えることがとっても嬉しいんです。
次の目標である、支援者100人突破の早期実現に向けて、頑張ってまいります。
皆様からプロジェクト前半でいただいたご支援と熱量が、
後半戦でより遠くの方にプロジェクトを伝える力になります!
ぜひ、皆様のご支援よろしくお願いします!!
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現代の茶人たちからの応援メッセージリレーvol.5は、
茶師10段としてNHK"プロフェッショナル〜仕事の流儀〜”
にも出演経験のある、静岡の製茶問屋 前田文男さんです。
茶畑からゲストの一口までのリレーの中で、非常に重要な役割を果たす「製茶問屋」という仕事。
特に、目利き、選別、火入れ、合組といったレガシーであり、かつ、これからの日本茶の鍵ともなる製茶問屋の技術・技を、皆様にスクリーンで感じていただきたく、前田さんに出演をお願いしました。
まず、「目利き」の技術。星の数ほどあるお茶(荒茶)の中から、生の素材としてだけでなく、(ある種の)料理として完成した時にキラリと光るお茶を見つけ出す感覚と経験知。
その感覚を前田さんはこう教えてくれました。
お茶には仕上げて作ってみると見違えるように良くなるお茶がいっぱいある分けですね。ですからそれはダイヤモンドの原石を探すのと同じだと思っているんですけれども、ですからそれを見極めるには、本当に長年の経験でやはりたくさんお茶を見ることしかないんですよね。
そして、選んだお茶の余計な部分を選別した後に行う「火入れ」。お茶に命を吹き込むとも言われる火入れですが、お茶に火を入れていく時にその香りがどんな風に変化していくのか。我々が普段絶対知ることのできない火入れ中の香りの変化を教えていただきました。
最初に火が入っていくと、最初はエゴい、エゴいというんですかね、ちょっとイガイガした、あんま芳しくない香りが出てくる分けですね。それが出てきて、何か嫌な匂いだなというのが出てきて、その後すっとその匂いが消える分けですね。その後に匂いが、ふっといい匂いが出てくる。その後しばらくしていると、少しまた、こう匂いがまたストンと落ちる分けですね。そこからさらにぐっと匂いが良くなってという形で、ずっとそれから徐々に良くなるんですね。これがあんまり良くなって、まだ良くなるのかな良くなるのかなと思って火を入れていくと品のないお茶になってしまったりとか。
このようにアップダウンする香りの質のピークを、長年の経験と職人の感覚でさぐり当てるそうです。
そして、製茶問屋ならではの技であるブレンド。
日本茶の世界では合組(ごうぐみ)と言われるものです。
ブレンドというのは一つのスポーツで言えばチーム作りをするというものの例えになると思うんですよね。いろんなそのタイプのお茶がありますから。いろんなタイプを活かすことによって、一つのいいチームをつくるということで、一つのいいお茶を作るということで。
こうした、製茶問屋の技術を研鑽されてお茶の審査技術の段位の最高位である10段を取得された前田さんですが、そんな前田さんであっても「お茶は本当に奥深く難しい」とおっしゃります。
30年間お茶の仕事をやっていて、とにかく非常に難しいなと感じる分けですね。心配事ばっかりで、お茶を仕入れてみて心配になるし、お茶を作ってみて心配になるし、良かったかなとか心配になるし、常に心配していなければならないというのがこの仕事なんですけれども。
その常にその心配していることによって、常にいいお茶を作ることを心がけるので、今、本当に、そんなのでいいのかなとそんな風に思っている分けですけど。そんな中でもできる限り皆さんに、飲んでリラックスできるようなお茶をこれからも作っていきたいなという、そんな風に思っています。
そんな前田さんの技とお茶のハーモニー。文章では伝わらない、手さばきや、その中で響くお茶の心地よい音色など、映画本編でお伝えしたいと思います。
楽しみにお待ちください!
日本茶ドキュメンタリー映画製作チーム
高津 真