時代の流れの中で
vol. 10 2021-10-23 0
こんにちは、監督の伊藤有紀です。
今日は、二枚の写真をご紹介します。
まずは一枚目。
提供:多度ふるさと塾
そして二枚目。
提供:オフィスアリガト
実はこれ、同じ場所を写したもの。どこだか分かりますか?
分かったあなたは多度町に縁のある方ですね 笑
これらの写真は、三重県桑名市多度町の、多度駅前の通りを写したものなんです。
一枚目は、撮影された年月日は不明ですが、1979年生まれの僕にもうっすらとこの光景の記憶があるので、おそらく1980年代前半〜半ばと推定されます。
二枚目は、映画『おれらの多度祭』に使われている映像から切り取ったもの。撮影は確か2018年か19年です。
高度経済成長の結果、各世帯が自動車を所有するようになり、歩く文化が減退し、車社会になり道路が拡幅され、商店街は元気をなくし、その代わりをイオンなどの大型ショッピングモールが担っている…という、多度町だけではない、いわゆる「先進国」なら多くの国々、多くの市町村で見られる現象が、二枚の写真から見て取れると思います。
時代の流れの中で、あらゆるものは変化していきます。進歩のための変化は、素晴らしいことだと思います。ただ、何を発展させていくかを考えると同時に、「何を残していくか」を考えるのもまた、とても大切なことだと思うのです。分かりやすい例で言えば、江戸時代に建てられたお城が観光名所になっていたり、古いお祭りや行事が文化財に指定されていたり。それらは、残っていなかったらとっくに人々の記憶から消えており、無論、現代の人々が楽しむことなどできないのです。
古い写真は「懐かしい」はもちろんのこと、「懐かしい」以上の何かを伝えてくれもします。
2021/10/23
監督 伊藤有紀