蝶ちゃんとともに、描いた絵
vol. 8 2024-07-26 0
私は幼いころから虫が好きで、とくに蝶が一番でした。
でも、小学校でのショックな事件をきっかけに、蝶を飼うことも他の虫を飼うことも、すっきりやめてしまったのです。
それから年月をへて、大人になった今、偶然頂いたお仕事の、
福音館書店さんのこどものともの付録『子ども時代のたからもの』をきっかけに、幼いころの記憶がいっきによみがえりました。
私の子ども時代のたからものは、まさに蝶・・・そして、大人になって再び、蝶を飼いだしたのです。
福音館書店こどものとも2023年10月発行 付録・子ども時代の宝物『私のアゲハチョウ』より
庭についているアゲハ蝶の卵を、レモンの葉っぱごと部屋にもって入り、
孵化させ、幼虫から、さなぎになり、そして羽化すると、すぐに部屋から放ってやりました。
自然界だと、羽化率10%といわれていますが、無農薬のおいしい葉っぱで育てられた
我が家の蝶たちは、それは美しく大きく、巣立っていきます。
羽化してすこしたった幼虫。どこにいるかわかりますか?鳥のフンに擬態してるそうですよ。
形が変身すること、軽やかな人知をこえる美しい羽根をもつ、蝶ちゃん・・・。
この奇跡のような羽化の瞬間をみとどけるべく、長い時間かけて育てます。
たいがいは、だるまさんがころんだ状態になり、いつの間にか羽化して、ハネをのばしているのですが。羽化すれば、私の手をあっというまにすり抜けて飛んでいくのも、責任感がなく、気が楽なのでした。
ところが、ある日、風の強い日に羽化した、りっぱな蝶がハネをけがしてしまったのです。
野生では生きていけないと判断。それからチョウたんと名付け(そのままですが;)、
介護生活がはじまりました。蝶には可哀想でしたが、私には幸せな時間です。
じっくりこの小さな美しい命の観察ができ、ポカリをおいしそうに飲む様子にみとれてしまいます。
なにより、チョウたんは、私が絵を描くのを見るのが大好き。
手にのって、ずっと、絵を見ていました
私もチョウたんに手にのってもらっていると、気に入ってくれそうな庭を描こうと集中し、絵がはかどります。
蜜源植物の野原の絵をちょうど描き終わったころ、チョウたんはお気に入りだった、
プルンバーゴの花に顔をうずめて、眠るようになくなりました。
私は、チョウたんと一緒に描いていた絵の仕上げに、チョウたんの絵を描き込みました。
この絵(シルクスクリーンの版画)が完成したページです。
チョウたんは、ナミアゲハという種類の蝶々。2匹います。どこにいるか、ぜひ探してみてくださいね。
『リパとみつばちの庭』(のら書店)より