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映画『曙光』全国公開をクラウドファンディングで実現!

自殺救助を描く映画『曙光』を全国公開へ
~監督は『抱擁』文化庁映画賞受賞の坂口香津美

日本は年間2万人以上の人が命を絶つ自殺大国。物質的に恵まれたこの国で自殺者が減らないのはなぜなのか?『抱擁』『ネムリユスリカ』の坂口香津美監督が自殺のテーマに真正面から向き合った映画『曙光』の全国公開の実現をめざします。

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このプロジェクトは、2018年6月25日23:59に終了しました。

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このプロジェクトは、2018年6月25日23:59に終了しました。

Presenter
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PRESENTER
坂口 香津美

これまで家族や思春期の若者を主なテーマに約200本のドキュメンタリーTV番組を制作。初の長編映画『青の塔』(01)でヒューストン映画祭シルバーアワード受賞、『カタルシス』(02)と共に多くの映画祭で上映、ドイツでも公開された。ロッテルダム映画祭出品の『ネムリユスリカ』(11)、ドキュメンタリー映画『夏の祈り』(12)、東京国際映画祭2014日本映画スプラッシュ部門出品『抱擁』(14)、『シロナガスクジラに捧げるバレエ』(15)、『曙光』(18)、『凱歌』(2020年11月公開)、『海の音』では撮影も手掛ける。株式会社スーパーサウルス代表取締役。twitter.com/sakatsumi

映画『曙光』と自殺救助の最前線からの報告(トークイベントレポート前半)

vol. 5 2018-03-27 0

どうすれば自殺者を減らすことができるのか
~映画『曙光』と自殺救助の最前線からの報告~
トークイベントレポート(前半)

劇映画『曙光』は、ひきこもりや孤独死、介護など、日本が抱える様々な社会問題をテーマに作品を撮り続けてきた坂口香津美監督の最新作です。日本は、一日に約80人、年間2万人から3万人前後の人々が命を絶つ自殺大国。『曙光』は、自殺救助を行う女性とその家族、“命の門番”ともいえる人々の物語です。
3月の自殺対策強化月間を前に、2月5日(月)、半蔵門のクリーク・アンド・リバー社のホールにてメディアと一般の方々が参加しての映画『曙光』 の初試写会とトークイベントが開催され、自殺救助活動の第一人者の藤藪庸一氏(NPO法人 白浜レスキューネットワーク理事長)と坂口香津美監督が「どうすれば自殺者を減らすことができるのか」「自殺救助の最前線と課題」について語り合いました。

●藤藪庸一氏プロフィール
(NPO法人 白浜レスキューネットワーク理事長、白浜バプテスト基督教会牧師)
東京キリスト教大学神学部神学科を卒業後、1999年、郷里の和歌山県白浜町にある白浜バプテストキリスト教会で牧師になり、前任の牧師が1979年に始めた「三段壁いのちの電話」を引き継いで、本格的に「いのちの電話」での相談活動を開始。自殺を水際で防ぐ自殺者救済活動や、保護した人々をケアする自立支援活動を行う。
これまで保護した自殺志願者は900人を超え、それらの人々と一緒に寝泊まりする共同生活を通じて現在も、自殺防止の活動を続けている。また、自殺予防活動として子どもへの支援活動等、様々な角度から自殺防止に取り組む。和歌山県自殺対策連絡協議会委員。
著書『「自殺志願者」でも立ち直れる』(講談社刊)。
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」ほか出演。
http://jimotoryoku.jp/shirahamarn/

聞き手:坂口香津美(映画『曙光』監督)
ゲスト:藤藪庸一氏(NPO法人 白浜レスキューネットワーク理事長、牧師)

◆映画にはかすかな希望が宿っている

坂口 『曙光』をご覧になってどのような感想を持ちましたか?

藤藪 私は『曙光』を二回見ました。一度目は軽い気持ちで見始めたんですが、途中でだんだんだんだん苦しくなってきて……。一回、見るのを止めて、もう一度覚悟を決めて最初から見直しました。そして、もう一回、見直したのですが、「しんどい」「苦しい」と感じることの多い映画でした。というのも、私はたくさんいろんな人(自殺しようとする人)に会い、いろんな経験がありますが、とにかく守られてきたんだなということを感じながら、ここに出てくる一つ一つの場面、場面が、これはフィクションですが、実際にそこに真実がしっかりあって、その真実は私が受け止めるにはとても苦しい、そんな内容が描かれていて。どれだけの人が見てくれたら、どれだけの人にどのように見てもらえたら、自ら命を絶とうとする人々を助けていけるのだろうかと考えさせられました。実際、助ける側も、死にたいと悩む側も、同じ人間で、弱さがあって、醜さもあって、また欲望もちゃんとあって、実際にそれが渦巻いている状況があって、そういうなか、何とかお互いのために最善の力でがんばって、自殺救助の現場はあります。それがみなさんにうまく伝われば嬉しいなと思います。また、映画のなかでおじいさんが「一人でも多くの人を助けるんだぞ」と娘に言う場面に、かすかな希望が宿っていて、また私もその希望をいただいていて、あらためて「ああ、もう一度、自分はひとりでも多くの人を助けたいというしっかり覚悟を決めて、この活動に取り組まなくてはいけないな」と考えさせられました。ありがとうございます。

坂口  ぼくにとって『曙光』を作る動機は二点ありました。2010年、南紀白浜に藤藪庸一さん、亜由美さんご夫妻を訪ねたことが最も大きかったのですが、その前にぼくの個人的な体験がありました。1990年、僕は偶然、自殺の現場に遭遇し、亡きがらを床に下ろすという体験をしました。110番をしてからの警察の指示を受けてのものです。藤藪さん御夫妻にお会い、数日間行動を共にして最も驚かされたのは、自殺しようとする人を保護し、自宅のある教会に連れて帰るということでした。家族のように食事を与え、風呂に入れて、同じ家で眠る。それはぼくには驚きでした。ほんの数時間前は自ら命を絶とうとしていた人なんですよ。また、御夫妻とも、自殺をしようとする人から助けを求める電話がかかってくると、車でかけつけます。大抵夜です。真夜中のこともある。ほんの一、二メートル先は切り立った絶壁で眼下は怒濤が砕ける海。そんな岩場に座っている自殺志願者を見つけ出して、十分話をした上で自宅に連れて帰るのです。庸一さんが不在のときは、亜由美さんは一人でも現場に救出に向かいます。この夫婦は命の危険も顧みずに覚悟をもって自殺救助を行っていたのです。そのとき、不意に、口をついて出たのが、「ぼくはいつか必ず藤藪さんをモデルにした映画を作ります」という言葉でした。藤藪さんご夫妻に出会わなければ『曙光』は生まれていなかったと思います。ところで、最近の自殺に関連する事件としては、去年10月に発覚した座間9遺体事件(容疑者とされている27歳の男が住むアパートの室内で、若い女性8人、男性1人の計9人の複数遺体が見つかった事件)がありますが、藤藪さんはどのようにとらえていますか?  

藤藪 ぼくはあの事件を知ったとき、感じたのはとんでもない事件が起こったな、ということでした。ぼくがやっていることとその容疑者がやっていることはよく似ています。「一緒に死のう」と呼びかけているわけではないけれど、ぼくは「一緒に生きていこうと呼びかけているわけですが、本当に死にたいな、と思っている人はけっこう孤独で、「自分はひとりぼっちだな」と感じていることが多い。自分一人ではとても怖いんだけれど、仲間を探していたり、もっというと本当は死にたくなくて、死にたくない理由がどっかにあるんだけれど、生きているのも疲れていて、しんどくて、苦しくてという心境で……。とにかく人の温かさだったり、誰かの助けだったりを強く求めている。そこがぼくにとってはチャンスだし、そこに働きかけていくわけですが、今回の事件はそこをうまく利用して殺人事件を起こした。亡くなった9人は全員、顔見知りでない男のところに行っている。同じ死にたいという気持ちを持っているというだけで信用して、その人について行っているし、その人の指示に従っている。非常に怖い、恐怖をぼくは感じます。自分が知っている親であったり、友達であったり、学校の先生であったりとか、信頼できる大人であったりとか、そんなに深く付き合っている人が誰もいないというような人ばかりではない。ごくごく普通に家庭で育てられて学校に通っていた人たちがそこにいるわけで、身近な人に相談するよりも、まったく知らない人に声をかけられてついて行く。この人の心理というか、心の動きが如実に表れたな、と思います。ぼくのところに来る人はまったく知らない人のほうが多い。身近な人にではなく、知らない人には自分の弱さを見せられると。それが本当にうまく利用された事件だと理解しています。

◆十円玉から始まるSOS

坂口 藤藪さんが住んでいる町は観光地ですが、結果としてそこで自殺される方がいるという事実があります。その場所には一つだけ公衆電話があり、藤藪さんたちの手によってそこに何枚か十円玉が置かれています。自殺しようとする人は大抵、夜に、無人になったその場所を訪ねてきます。死にきれなくて、あるいは救いを求めて生と死の瀬戸際をさまよいながら、その十円玉で、「重大な決断をする前に……」と書かれてある看板に記されてある電話番号にかけて来るのです。ほとんどはその十円玉によって藤藪さんとつながるのです。まさに「命の電話」です。電話で場所を聞いて、車で十分ほどの距離をかけつけるわけです。真っ暗闇の海岸で車を降り、電話をかけてきたと思われる人物を探すわけです。これぞと狙いを定めたら、少しずつ距離を縮めていきます。そして、時間をかけて少しずつ心を溶かして行く。その後、本人の了解を得られたら,自宅に連れて帰るわけです。自宅に連れて帰らなければ救済はないので。自宅に連れて帰ると風呂に入れ、ご飯を食べていただいて、教会で眠ります。その後は、ひとつ屋根の下、藤藪さん夫妻の子どもも一緒に生活します。それは人間として尊い行為であり、そうやって初めて自殺をしようとする人が真に救済されるのだと感じました。

藤藪 自分の家を開放して見ず知らずの人を泊めたい、と言って始めたわけではなくて、実際に電話がかかって来て、助けに行ったときに、「帰る場所がない」と言う人がほとんどでした。それで、牧師でもあることから、結果として自宅に連れて帰ったというのが正直なところです。命を絶とうと決めていた人との共同生活、それは妻のほうが覚悟を決めるのは早かった気がします。では、どれくらい共同生活が必要なのかというと、一週間では無理、二週間でも無理、一ヶ月でも無理、三ヶ月……とどんどん伸びていく。六ヶ月で最初のほうは自立させようとしていましたが、今では一年かけようと考えています。一年は一緒に共同生活をして百万ぐらいのお金を何とか貯めてそこから社会に送り出そう、と今では活動方針を決めています。自殺救助活動を始めた頃、娘はまだ産まれていませんでしたが、うちの長男も物心ついたときから「うちの家にはおじいちゃん、おばあちゃんがたくさんいる」と思っていました。娘は長男よりませていて、映画にもありましたが、「おっちゃん、おばちゃんがいるから食べるものが無くなる」と言ったことがあります。ぼくらの前で言わないでおっちゃんの前で言って、ぼくらは全然知らないっていう、そんな娘ができあがりました。そういう中で育って許容範囲というか、人の嫌なところも見れば、自分のプライバシーを守ることができにくいという環境のなかで自分というものをしっかり持つという意味では、ふり返ってみれば、うちの子どもたちには益になったんじゃないかなとぼくは思います。うちの娘が小学校一年生のとき、クラスの男の子が親との関係が悪くて学校に来れてなくて、「あの子をうちで預かりたい」と言ったことがあります。小学3年の息子は妹がそう言っているのを聞いて、「おれ、全然だいじょうぶやで」と。「二十四時間、その子と一緒だよ」というと「ぼくの頭のなかは自由だ」と。人がいても、自分の世界に入れると(笑)、そんなことを言える息子になりました。今もうちには里子がいますが、本当にいろんな人を受け入れていくということに対しては力がついたんじゃないかと思います。

坂口 自殺志願者と藤藪さんは十円玉でつながる。十円玉が生と死を分ける。十円玉があれば、その十円玉を使って、助けてもらえる命がある。とはいえ、藤藪さんにも助けられない命もある。

藤藪 自殺を考えている人、死にたいと悩んでいる人を見ていると、一番大きな要因として孤独というものがあげられると思います。自分で人間関係を絶ったという場合もあるし、人間関係を切られてしまったという場合もあります。団塊の世代の上の世代は三世代同居が当たり前の社会だった。つらさもあったと思いますが、人と関わる、人と一緒に生きていく力はその時代の方があったのではないか。今は核家族で、ちょっとしたことで人とのつながりがなくなります。本来、人間のつながりというのは面倒くさいことや大変なことも含めてつながりなんだけれど、それをぼくらは忘れている、それをしなくてもいい時代になってしまって、それを進んでやるひとはあまりいない。うまく行っているときは一人だと思わないが、本当に困ったときにふと周りを見渡して「あっ、自分一人だ」と気づく。だんだん、だんだん希薄になっていく社会やつながりをすごく感じます。自殺者数は最新のデータでは年間二万数千人ですが、自殺未遂者、自殺を考えているひとは本当にたくさんいる。精神的に病んでいる人は膨大な数にのぼると想像されます。それが今の社会なんです。思いつめた人たちが次から次へとやって来るというのが今の状況だと思います。

◆人はなぜ自殺をしてはいけないのか

坂口 人はなぜ自殺をしてはいけないのか。この問いかけに藤藪さんはどのように答えますか。

藤藪 それぞれが持っている価値観、人生観、神(宗教)観等が影響すると思いますが、ぼくが日頃感じているのは、自殺というのが自分の身近にいる人すべてに影響を与えます。自分の命は自分ひとりの命と思っている人に対して、ぼくは常々、伝えていることです。自殺を考えている人にそんな重い責任を背負わせてという人がいるかもしれませんが、その責任は生きなくてはいけないことにつながるのです。「ああ、おれが死んだらあいつに影響を及ぼすんだな。それなら細々とでも生きていこうかな」といってくれたりするもんなんです。そういうことを伝え続けることがぼくの務めと思っています。ぼくはキリスト教の牧師ですから、神様が私たちを作られたと、天地を創造されたと信じている者の一人ですので。自分が産まれたいと思って産まれてきた命ではないので、こんな家に生まれなければよかったと思う人もたくさんいるけれど、でも、与えられたということについては否定できないと考えています。与えられたということは与えられたことに何かしらの意味があり、何かしらの意味に自分は気づかないかもしれないけれど、そこに御計画があるはずだと考えます。自分に与えられているものを使い切らないで自分で棄てる。これはある意味、傲慢になってしまっていないかと考えさせられています。

坂口 「願わくば花のもとに春死なんその如月の望月のころ」という西行の詩歌をぼくら日本人の精神性のひとつの美学として持っているが、藤藪さんのところに行くとこの感傷的な、情緒的な詩歌が甘ったれた詩歌に思えるのを否定できない自分がいます。というのは、自ら命を絶とうとした人が藤藪さんと出会うことで、今度は自殺救助する側に回り、自殺しようとする人を救助したり、教会に来る子どもたちに自分が持っている知識を教えたりしている。これはどう意味づけをしたらいいのか。ぼくは被爆地長崎を舞台にしたドキュメンタリー番組を制作したことがあるが、そのとき、被爆者が自らの被爆体験を語ったり、被爆劇を演じたりと、自らの存在を社会化していく姿に共鳴を受けました。自殺志願者、自殺未遂者のなかの一部でも、社会に向けて、「自殺をしようとしたけれど、救出されて今、自分がここにいる」というような体験を語る人が現れないものでしょうか。

藤藪 そうですね。理解はできるけど、そうはいっても自ら命を絶とうとする体験は、自分にとって最大の汚点、触れられたくないものと感じている人が大半で、そこに踏み出せる人はよほどの人、普通は難しいのではないでしょうか。ただ、自分の「自殺体験」を社会化するところまでには至らなくても、ぼくの子どもたちや教会に来る子どもたちから聞かれて誕生日を教えたり、折り紙の折り方を子どもたちに教えたりするなかで、「生きていて良かった」と実感する場面がいくつも生まれるんですね。

映画の最後のシーンで、あって欲しくないシーンが幾つかありましたが、危機管理ということに関しては本当に気を遣います。子どもたちと一緒に遊ぶ。もちろん、遊ばせる。だけど、僕らが学校に君たちを迎えに行くときに、「おっちゃんたちに君たちを迎えに行かせることは絶対にしないよ」と伝えます。街中で、「先生が呼んでるよ」と言っても信じちゃいけないよと。そういうことは僕らはしないと伝えます。これはひどいと聴こえるかもしれませんが、うちの子どもたちにはずっと言い続けて来た言葉です。必ず子どもたちの姿や動きを意識して目を配っています。そうやって自分たちを守る。同じ人間ですから、誘惑はありますので。そういうところに発展しない手をいくつも打ってきたなと思います。

坂口 座間9遺体事件の容疑者とされている27歳の男と藤藪さんとの決定的な違いは、自殺しようとする人との向き合い方だと思います。前者が個人の閉鎖的な空間に導くのに比して、藤藪さんのところは教会という透明なガラス張りのなかで受け入れる方式をとっている。例えば、藤藪さんが自殺しようとする若い女性を保護し、救出したとする。当然ながら、救出された女性は藤藪さんに親近感を抱く。自分の命を救出してくれたわけだから、それは絶対的ともいえる信頼感に結びつく。恋愛感情だって生まれるかもしれない。それをさせないために、その信頼を全うするために、藤藪さんは特に救出した対象が女性の場合、話をする場合でもドアを開けるとか、ルールとしてお互いのセイフティーゾーンを設けて、空間を密室にしないための配慮を徹底するよう心がけていますね。

藤藪 妻とぼくとの信頼関係なんですけど、疑似恋愛というのは精神的な病を抱えている方との間では起こると公にする。おおっぴろげに言う。例えば、この女性はぼくと話すとき近距離で話す傾向がある、と妻にも言う。妻もそう理解し、周りの人もそう理解する。起こってくる事柄についてどう対処するかということを考えます。

坂口 ぼくは、藤藪さんのような自殺しようとする人を保護し、救助する役割を担う人を一人でも多く増やすことが、自殺者を水際で食い止める唯一かつ確実な方法と思います。しかしながら、相手が生身の人間である以上、ガラス張りでより繊細なアプローチが重要になってくる。それが保証できない限り、自殺救助も絵に描いた餅ということになるということでしょうか。

藤藪 くり返しますが、疑似恋愛という言葉を出しましたが、無かったわけではなくて、ある。それを二人だけの密室は避け、公の場にいつもいるようにするのが基本。重たいな、

苦しいな、と思うのは、自分たちの家族に危害が及んでいく可能性があること。それをぼくが否定できないこと。それを思えば、ぼくらは本当に「守られてきたな」ということです。それは「守られるように」、ぼくらは意識していろいろな手を打ってきました。

映画を見て、一番皆さんに感じていただきたいのは、人が死のうとしている場面に出くわしたときに、「助けなきゃ」って当たり前にみなさん、思うはずなんです。それを自分なり、家族なりを守りながら、どうやってその人を助けていくか。映画のなかで、主人公が「自信がありません」と言う言葉ですね。ぼくもあの言葉を、相手に対して言ったことが何回もあります。「あなたを連れて行く自信がありません」「あなたをうちの家に入れる自信がありません」「入れたくありません」。つらい。ぼくにとってはとっては真剣な迷いでも、相手にとっては「何やねん」となる。当然な感情ですよね。助けに行っておきながら、「入れられません」と言うわけですから。でも、そのとき、少しずつ覚悟を決めながら徐々に相手を受け入れていく関わり方……、そこが要であり、肝であり、そういう部分があることを皆さんにも知っていただけたら嬉しいな、と思います。

坂口 ぼくは藤藪さんのところに伺って、自殺志願者とお会いして強く感じたのは、人間が生きる意味ということなんです。これは極端かもしれませんが、「自死を覚悟したとき、それまでと違う原野が広がっている。その原野を開拓できる可能性がある」ということなんです。原野を「生き方」という言葉に換えてもいい。つまり、そこから「違う生き方」を考える絶好の機会が訪れたと。となると、「花のもと」で死んでる場合ではない。死を覚悟したとき、新たな人生が始まるのだから。たとえ、精神的にズタズタになったとしてもそこまで全うしなくては、人間として生まれて真の意味で生きたことにはならないのではないか。もったいない、そこまで生き切らなくてはと……。

(後半に続く)

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