「尾道の空き家再生から、僕が感じたこと」
vol. 9 2025-03-03 0
本日のテーマ:「尾道の空き家再生から、僕が感じたこと」
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◆ 幼少期の尾道—「おじいちゃんおばあちゃんしか来ない街」
私が子どもの頃、尾道は「おじいちゃんおばあちゃんしか来ない街」とよく言われていました。
実際、商店街は普段は閑散としていて、イベントのときだけ人が集まる。
アーケードの屋根は破れて雨漏りし、尾道ラーメン屋も今のように行列はできていませんでした。
それが当たり前の風景で、特に疑問を持つこともなく「こんなもんだろう」と思っていたのですが、高校生の頃、街の雰囲気が少しずつ変わっていくのを感じました。
ゲストハウスができたり、商店街の空き店舗に新しい店が入り始めたり。目に見えて観光客が来たりと、変化の兆しが出てきたのです。
それでも、街が本当に変わったと実感したのは、「斜面地にある古い家に明かりが灯った瞬間」でした。
フェリー乗り場の正面に見える、ずっと暗かった古民家。
そこに明かりがともり、ある日ポツンと光が浮かんでいました。
「この街、変わるのかもしれない」と思ったのは、そのときだった気がします。
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◆ 尾道の空き家再生は、人を巻き込む再生だった
尾道は、傾斜地や町家が密集する独特の地形の街です。
商店街の町家は隣同士が壁を共有して建てられ、斜面地では細い路地が入り組み、人がすれ違うのがやっとの道もある。
こうした環境では、一般的な宅地開発のように大型機械を入れて改修することができない。
つまり、空き家を再生しようと思ったら「人を巻き込む」しかないという状況だったんです。
この「人を巻き込むしかない」という尾道のデメリットが、むしろ街の再生の原動力になっていったのだと思います。
建物を直すにも、材料を運ぶにも、必ず人の手が必要。
だからこそ、そのプロセス自体が「地域に関わる人を増やす仕組み」になっていました。
結果として、建物を再生するだけでなく、新たに関わる人たちが街の営みに加わり、尾道は「人の手で再び息を吹き返す街」になっていきました。
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◆ 「賑やかしさ」が残る街、尾道
もうひとつ、尾道の空き家再生が成功した要因として、「街の中に賑やかしさの記憶が残っていたこと」があると思います。
尾道は昭和の時代、港町として栄え、商店街は賑わい、文化や娯楽が集まる街でした。
私が生まれ育った頃にはその活気はすでに薄れつつありましたが、町並みのそこかしこに、かつての賑やかしさの名残を感じることができました。
だからこそ、「昭和レトロ」という切り口での再生がうまく機能したのではないかと思います。
昭和の建物や街並みは、かつての活気を思い出させる要素が詰まっている。
それを活かした店舗づくりや宿泊施設が増え、尾道は「懐かしいのに新しい」という不思議な魅力を持つ街へと変わっていきました。
そして、その「賑やかしさ」を取り戻すには、「人を巻き込むことが不可欠でした。
空き家の再生は、ただ建物を直すことではなく、「その場所に新しい物語を生み出すこと」
尾道は、それを実現した街のひとつだったのだと思います。
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◆ さとまる不動産が目指すもの
尾道の空き家再生を見て感じたのは、「地域の歴史や文化を活かしながら、人を巻き込み、新しい価値を生み出していくことが大切だ」ということ。
さとまる不動産でも、ただ空き家を売る・貸すのではなく、その場所に新しい営みが生まれるような仕組みをつくることを目指しています。
-建物に光が灯ることで、街全体が変わっていく。-
そんな再生の形を、これからの事業の中で実現していきたいと思います。
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現在の進捗
・支援金額:571,000円(57%達成)
・支援者数:48人
・終了まであと23日
このクラウドファンディングが、「田舎との関わり方の選択肢」を広げるきっかけになれば嬉しいです。
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