映画『三里塚のイカロス』CF最終日まであと3日。目標まであと32万円!
vol. 16 2016-09-18 0
毎回しつこくて申し訳ありません。これが最後のお願いです。
映画『三里塚のイカロス』製作費支援をお願いするクラウドファンディング、最終日(9/20)までついにあと3日になりました。目標金額まで、あと32万円です。
無理かなあとあきらめムードになっていますが、よろしくお願いします。代島治彦
https://motion-gallery.net/projects/sanrizuka02
9月14日からクラウドファンファンディング最終日(9/20)まで、映画『三里塚のイカロス』製作中に考えたこと、編集中に浮かんだことを思い出し、製作ノートとして『三里塚に生きる』FBに短期集中連載しています。三里塚の空港反対闘争のこと、1960年代から70年代の学生運動のこと、そしてドキュメンタリー映画づくりがわかる読み物です。ぜひ読んでみてください。
https://www.facebook.com/sanrizukaniikiru/
【短期集中連載(クラウドファンディング最終日まで)】
『三里塚のイカロス』製作ノートから 〜第四回〜
三里塚闘争の〈時層〉を発掘する。
地層=水・氷雪・風などの作用で運搬・沈積された堆積岩や溶岩または化石などが積み重なって出来ている層(広辞苑より)。
9月16日に投稿した記事で、旧朝倉公民館の裏で「大地を人民の手に 一坪再共有化運動貫徹」と描かれた立て看板を発掘したと書いた。たぶん、1982年か、83年に描かれたものに違いないと。それを見つけたとき、少し大げさだがこの興奮は考古学者が縄文時代前期の集落跡から板状土偶を発掘したときの気持ちに近いんじゃないかと思った。そして、考古学者が地層を掘る人だとしたら、私は時間の層を掘る人なんじゃないかとも思ったのだ。
『三里塚のイカロス』を編集しながら、三里塚の空港反対闘争50年の時間の層について考えた。時間の層、それは地層に対して〈時層〉と造語してもいいだろう。
時層=汗・涙・血・生死などの作用で記憶・沈積された「忘れたくても忘れられないもの」が積み重なって出来ている層。
《三里塚空港反対闘争50年》時層化の試み
団結時代 【前期 1966年〜1970年】
新空港三里塚案決定/反対同盟結成/新左翼党派参加/一坪共有化運動/
御料牧場閉鎖/立入測量阻止闘争など
【中期 1971年〜1975年】
第一次・第二次強制代執行阻止闘争/警官殺害(東峰十字路事件)/
大木よね宅代執行/三ノ宮文男自殺/岩山鉄塔構築など
【後期 1976年〜1978年】
三里塚微生物農法の会発足/岩山鉄塔撤去/東山薫がガス弾で死亡/開港阻止闘争
管制塔占拠事件/新東京国際空港開港など
分裂時代 【前期 1979年〜1983年】
島・加藤会談など水面下で反対同盟と政府が“話し合い”/戸村一作委員長死去/
一坪再共有化運動/反対同盟が熱田派と北原派に分裂など
【中期 1984年〜1986年】
成田用水工事着工/中核派が第四インター党員を襲撃/北原派三里塚十字路決戦/
東峰十字路事件“事実上の勝訴”など
【後期 1987年〜1990年】
北原派から小川派が分裂/成田新法で団結小屋撤去/
千葉県収用委員会会長襲撃事件/運輸大臣が熱田派と公開会談など
和解時代 【前期 1991年〜1994年】
成田空港問題シンポジウム開催/政府が謝罪、事業認定が失効/
成田空港問題円卓会議開催など
【後期 1995年〜2001年】
成田空港地域共生委員会開催/空港用地内の多くの反対派農家が移転/
元青年行動隊員・相川勝重が芝山町長に当選など
共生時代 【前期 2002年〜2010年】
平行滑走路暫定運用開始/平行滑走路2500m北延伸/
空港公団が民営化し成田国際空港株式会社に
【後期 2011年〜】
成田空港空と大地の歴史館開館/空港処理能力が年間30万回に拡大/
第3旅客ターミナルビルがオープン/
成田空港に関する四者協議会で第3滑走路など機能強化の検討開始
《三里塚空港反対闘争50年》の時層化の試みと題してみたが、歴史的事件を書き連ねると普通の年表と変わらないことに改めて気づく。「団結時代」→「分裂時代」→「和解時代」→「共生時代」という歴史的な流れの河床に沈潜した「忘れたくても忘れられないこと」は、真の〈時層〉は当事者ひとりひとりの記憶のなかに積み重ねられているのだ。
では、闘争50年の〈時層〉を大きく二つに分けるとしたらどこか。私は闘争開始から12年目に起きた「管制塔占拠事件」だと思う。「反対派が国家権力を破った」「日本では空港問題をめぐって内乱が起きている」と海外でも報道され、政府を慌てさせた。開港は延期され、話し合い解決が模索され、反対同盟は分裂する。
『三里塚のイカロス』には管制塔占拠した当事者が二名登場する。彼らは命がけで「開港を阻止する」という使命を果たし、無抵抗でかっこよく逮捕された。その後、彼らの完全勝利が反対同盟の分裂を招くとは、当事者は知る由もなかった。実は、『三里塚のイカロス』という映画も「管制塔占拠事件」が物語の折り返し地点になっている。
(第五回につづく・代島治彦)
〈写真解説〉
1枚目=1978年3月26日、管制塔をぶっこわす戦士たち
2枚目=開港阻止決戦に出動するラッセル車のように改造された攻撃トラック