姜信子さん(作家)から応援メッセージをいただきました!
vol. 2 2018-06-14 0
私たちが本当に聴くべき声は、いつだって、真ん中で生きている人たちには見えない町の、見えない人びとのもとにある、見えない町で命を産んで育んで寄り添って、日々を生きてきた人々のもとにある、誰よりも地べたに近いところで、人知れず闘いながら生きる人びとのもとにある、死に物狂いで生きてきたその声が、歴史の中に書きこまれない人びとのもとにある、そして、この世の秘密や真実や光は、いつだって、文字で書かれた歴史の外にあるものだから、小さくてひそやかな声こそが、本当に聴くべき声だから、小さくてひそやかな声たちと文字が出会って、その声/文字で命の記憶を刻んだなら、歴史はどんなに人間に誠実なものになるだろうか、未来はどんなに光溢れるものになるだろうか、だから私には、川崎の桜本の識字学級のハルモニたちの、声と文字の出会いそのものの作文集は、かけがえのない宝物のように思えるのです。この宝物が多くの方々の手に届きますよう。
姜信子(作家)