最後のお願いと、ご支援・ご協力の御礼
vol. 54 2020-04-30 0
佐藤佐吉演劇祭2020の中止に伴うこのクラウドファンディングも本日で最終日となりました。
劇場職員で毎日連載しておりましたこちらのコラムもこれにて最終回となります。
お付き合いありがとうございました。見逃した方、クラウドファンディングのアップデートページからご覧いただけますので自粛期間中のお暇潰しに劇場スタッフによる渾身のコラムたちをお楽しみくださいませ。
改めまして、ご支援いただきました皆様、クラウドファンディングの情報拡散にご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。
皆様のご支援・ご協力が直接、佐藤佐吉演劇祭2020参加団体の未来の活動のための大きな力となります。
約2ヶ月前に、「佐藤佐吉演劇祭2020」参加作品の上演中止を演劇祭実行委員会で決断しました。
あのときのあのタイミングでの判断が本当に正しかったのかはいまだに分かりません。しかし、この2ヶ月で演劇を取り巻く状況は大きく変化しました。
今では「上演中止」「上演延期」という言葉を目にしても大きな驚きもなく受け止めてしまっています。ただ、その中止・延期のひとつひとつには各主催者、関係者の身を切られるほどに辛い苦悩があると思います。
私自身も主宰する劇団で5月に予定していた公演を中止する判断を致しました。
中止決定に至るまで劇団員と話し合い、キャストさんスタッフさんと連絡を取り合いながら様々な可能性を探りました。結果としては演劇人生で初めて自分が主催する公演を「上演中止」にするという判断をし、それと同時にかつて経験したことがない金額の損失を負うことになりました。正直、これから先の活動をどのよう続けていけるのか分かっていません。
このような辛い状況を今、多くの演劇に関わる方々が経験しています。
上演中止、上演延期という言葉に慣れてはいけない、麻痺してはいけないと頭では分かっているのですが、演劇祭中止以降も劇場利用団体から上演中止・延期に関する相談が相次ぎ、緊急事態宣言もあっていまだに劇場の営業再開は出来ていません。はたしていつまた劇場が開けられるのか、劇団を迎えられて、観客を迎えられるのか先が見えず不安な日々が続いています。
ただ、私たちは演劇を諦めてはいません。
粛々とその日のために準備を進めています。
通常、週に1度行っていたミーティングはオンラインに切り替えました。なんだか新鮮です。劇場内は技術監督の黒太を中心にメンテナンスを行っております。ところどころ亀裂があった劇場の壁を黒太がせっせと新しくしてくれています。今度はロビーの壁を塗り直してやろうと企んでいたりします。
またこの場所に劇団がとっておきの作品と共にやってくる日ために、その作品を目当てにした多くの観客で賑わう日のために、劇場を存続させるために。
あの日、我々が佐藤佐吉演劇祭の上演中止を決定し、このクラウドファンディングを立ち上げることにしたのは、演劇の未来のためでした。
私たち独自の目で将来有望な才能であるとにらんで招聘した若手劇団だからこそ、新型コロナウイルス終息後の世界で日本の演劇の未来を担ってくれると信じています。
中止を決定したことにより、各団体の作品、座組にかける真摯な思い、情熱を知ることが出来ました。たとえ今は中止になったとしてもこの思いや熱を完全に消してしまってはいけないと強く思いました。
このクラウドファンディングは演劇祭参加団体に演劇の未来を託すためのものです。
参加団体のいちファンとしても、佐藤佐吉演劇祭2020で上演されるはずだった作品をいつの日か観たいと願っています。
同じように若手劇団の未来の活動を楽しみにしていただける演劇ファンの皆様、どうか最後にご支援と拡散協力をよろしくお願いいたします。
https://motion-gallery.net/projects/sakichi2020
花まる学習会王子小劇場 芸術監督
佐藤佐吉演劇祭実行委員会 実行委員長
池亀三太