佐藤佐吉演劇祭実行委員会と花まる学習会王子小劇場について
vol. 1 2020-03-10 0
サポーターのみなさま、気にしてくださっているみなさま
あたたかいご支援、本当にありがとうございます。コメント、一つ一つ読ませていただいています。
今回は、このクラウドファンディングについてもっと知っていただくために、こうやってお話ししている私たち自身の自己紹介をしようと思います。
佐藤佐吉演劇祭実行委員会のメンバーは全員、「花まる学習会王子小劇場」の劇場職員で組織されています。
花まる学習会王子小劇場とは、1998年に生まれた北区の民間の小劇場です。佐藤電機株式会社が親会社で、キャッチコピーは「たたかう劇場」です。こけら落としは北区つかこうへい劇団でした。
フラットスペース型の劇場です、つまり「客席も舞台も、自由に組むことができる」劇場です。今見えている木の板は「平台」と呼ばれるもので、それを使ったり、いろんなものを持ち込んだりして、それぞれの劇団が、だいたい一週間ごとに、セットを建て込み、リハーサルをし、本番をし、片付け(バラシといいます)、また月曜日には新しいセットが経っている・・・数回見に来ても、まだ劇場の構造がわからない、というお客さんがいるくらい、自由度の高い、様々な姿形を見せられる劇場です。
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オープン以来約20年、順調に経営を続けてきたかといえば、そんなことは全然なく、なんとか一年を乗り切ったり、たくさんの赤字を計上してしまったり、いろいろなことがあって今に至ります。
劇団への貸館で収入を得ている劇場はそもそも、爆発的に売り上げを伸ばすことができません(1年は365日しかないので、それ以上には貸せないからです)
こんな声明をだしたことすらあります。
「劇場は、潰れます。」
この声明の直後2016年6月、「株式会社こうゆう」さんとネーミングライツの販売で合意に至って、名称を「王子小劇場」から「花まる学習会王子小劇場」に変更しました。ネーミングライツって言われてもピンとこないかもしれませんが、命名権を売ることでなんとか生きながらえたのです。「味の素スタジアム」みたいな感じです。
新名称は「花まる学習会王子小劇場」命名権締結/SPICE
「株式会社こうゆう」さまとは、共同で子供向けの演劇ワークショップを行うなど、今もいい関係を続けさせていただいております。
そんな劇場が最も力をそそいできたのが、若手支援プロジェクトです。
ディレクターズワークショップという若手演出家向けの数日にわたるワークショップをしたり、シナリオキャンプという若手脚本家向けの合宿をしたり、毎年夏には中高生サマースクールというイベントで一週間にわたって劇場で中高生と一緒に作品をつくってみたり、様々な企画を行ってきました。
王子の演出家ワークショップがマジで地獄だった | しばいのまち
短編執筆シナリオキャンプ
上にあげた企画は、すべて参加無料です。
そんなことやってるから赤字なんじゃないかと思われるかもしれませんが、この「若手支援」こそがなにをおいてもやりたいことなのです。
現芸術監督の池亀三太は、昨年から「王子若手相談室」なるものをはじめました。困ったら誰でも劇場に相談しにきてください、というお部屋です。これも、無料です。
「王子若手相談室」なるものを始めます!
私たち職員自身、全員が20代から30代前半の「劇団主宰あるいはテクニカルスタッフ」です。(花まる学習会王子小劇場の定年は40歳とまことしやかに噂されています)自分たちが若手演劇人自身であるからこそ、一番に若手演劇人を支援できるアイディアを考えられるはず、まだまだ公演の遂行にも不安要素があるような非常に若い劇団に対しても、誠心誠意サポートできるはずと思っているのです。
そしてもともとこの王子小劇場が、王子駅前にある佐藤電機の店舗と倉庫を立て替え、地下を倉庫にする、という計画があったとき、「駅前に倉庫はもったいない、この場所に若者が集う場所を作ろう」という考えから生まれた劇場なのです。「佐藤佐吉演劇祭」の冠は、この佐藤電機の創業者「佐藤佐吉」さんのお名前からいただいています。
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今までに数えきれないほどの劇団さんに、劇場を使用していただきました。王子を使ってくれたこと、使ってくれることにいつも感謝しています。
しかし、劇団さんたちに、ずっと王子にとどまってほしいとは思っていません。
今王子で公演をうっている劇団は、いつの日か、何千人もはいるようなホールで公演をしているかもしれない、全国ツアーをするかもしれないし、海外に遠征にいくかもしれない。そんな未来が来てほしいといつも願っていますし、すでに王子から巣立ってご活躍されている劇団がたくさんいて、とても頼もしく誇らしく思っています。
花まる学習会王子小劇場は、これからもそんな若手の巣でありたいと思っています。
今回劇場休館の決定に対し、演劇人のみなさま、演劇を愛してくれるみなさまにご心配をかけてしまっていることを改めてお詫びいたします。
まさかこのような形で、20年も続けてきた劇場をお休みする日が来るとは思っていませんでした。
確実にもう一度劇場を開けられるように、そして今危機的な状況にある演劇祭参加団体をできる限り支援するために、今後とも最善を尽くしていく所存です。
まだ公開して1週間も経たないうちに、とてもたくさんのご支援をいただき、本当にありがとうございます。
一人でも多くの人の目に触れたいと思っています。ぜひ、SNSでの拡散のお手伝いをしていただけたら幸いです。そして、クラウドファウンディングとは、SNSよりも口コミのほうが大事なのだそうです。みなさまのお力をお借りできれば、とても嬉しいです。
また、たくさん記事を書こうと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
担当より
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