『エス』出演者紹介・鈴村役/後藤龍馬さん
vol. 30 2024-06-01 0
太田真博です。今回からときおり『エス』の出演者紹介を書いていこうと思います。
初回は後藤龍馬さん。鈴村という役を演じてもらいました。
後藤さんのご紹介の前に役のほうの説明を少々。鈴村は主人公・千穂(松下倖子)や逮捕された映画監督である染田の大学の先輩で、当時は彼女たちと同じ学生劇団で切磋琢磨した仲です。その劇団がなかなか厳しめの劇団だったんですね。
厳しめと言っても、精神的にはどうかわかりません。劇中では描かれていません。でも肉体的にはきつめの劇団だったっぽいですね。それを示唆するシーンがありますから。
で、そうした劇団のなかで、どけちで知られる先輩の役です。あんまり尊敬はされないかもしれないですね。頼りにはされているかもしれませんが。
さて後藤龍馬さんです。
後藤さんはオーディションを経て今回初めて組ませていただいた俳優さんです。男性のみのオーディションだったんですが、ゆうに3桁を超えるご応募がありまして、驚きながら恐縮しながら書類を絞り込ませていただきました。
当日お会いできたのは30人ぐらいでした。
後藤さんはスタジオに入ってくるなり目をひきました。かっこよさげではあるんですが、入ってくる感じがまるでかっこよくないんですね(ごめんなさい…)。これはよさそうな人だとそのとき思いました。
要するにかっこつけてない・かっこつけ方を知らない・過去にかっこつけててダサいって言われたことがある、のどれかだとこちらは瞬時に決めつけたわけですが、そのうちどれであってもそれだけで俳優として大切な素養を持っていることの証明になるよなあ、なんてことを思ったわけです。
お芝居を拝見して、それは確信になりました。何よりもせりふを読むリズムがよく、そして愛嬌がふんだんにありました。先輩なのに偉ぶらない愛されキャラ・鈴村によくマッチしていました。
『輝け星くず』『ふまじめ通信』『ソワレ』などの前田和紀プロデューサーが「圧倒され」た「膨大な台詞量」の作品『エス』にあって、後藤さん演じる鈴村というのはなんと最も多弁な人でありまして、さぞかしご苦労もおありだったのではと推察します。
しかし現場ではそのようなご苦労は見せず、概ねニコニコしていました。ただ、ときにご自分を追い込むような瞬間がありました。そういうときのお顔が、これはさすがにとんでもなくかっこよかったですね。滅多に見せない(ごめんなさい…)二枚目な後藤さんをすぐそばで見られてラッキーでした。そんなこんなで日々求められる役割を的確に果たし続けてくださり、見事に鈴村を演じきってくださいました。
あの日、オーディションに来てくださってほんとうによかったです。
余談ですが鈴村にはモデルがいます。その人は僕の大学の1つ上の先輩で、アップリンク吉祥寺に『エス』を2回も見に来てくれました。後藤さんにサインをもらえた! と大喜びで帰っていきました。先輩孝行できた気分でした。
モデルの人をあんなに喜ばすってすごいことだと思います。鈴村の奮闘ぶりは『エス』本編で…一度と言わず何度でもご確認ください。(『エス』監督・太田真博)
◇◆◇◆以下は関連作の上映やワークショップのご案内です◇◆◇◆
後藤龍馬さん出演!
2024年6月7日(金)~9日(日)
atTHEATRE にて
上映作品:
『ダイナマイト・ソウル・バンビ』
『ラフラフダイ』
『あっちこっち じゃあにー』
3作すべてに後藤さんご出演されています。
前田和紀さんプロデュース!
◆西尾孔志監督『輝け星くず』
2024年6月15日(土)~
ケイズシネマ にて公開!
太田真博監督が講師!
◆アイウィズプロモーション「読み合わせワークショップ」
2024年6月8日(土)14:30~17:00
<太田より>俳優の皆さま方には、せりふを本当にしゃべれるようになる、そのきっかけとしていただけたらと思っております。既に100%しゃべれている人にご参加いただけた場合には、もちろんその方にはその先のことをお伝えします。逆に未経験の方には、せりふをしゃべるその楽しさを知っていただく機会にします。ドラマや映画を見ていて俳優さんの演技に違和感を覚えた経験のある方は、その正体がなんだったのか、この講座を終えた頃にはその答えが少し見えてくるのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。