お金をまわすことの意味
vol. 9 2019-07-04 0
子どもたちにオペラをプレゼントするためのクラウドファンディング、今日が最終日です。
お金をまわすことの意味を書きます。
ぷかぷかを始めるとき、大変なお金がかかりました。でも、実績のない事業所は信用がなく、どこからも助成金は出ませんでした。やむなく自分の退職金をはたくことになりました。事業がうまくいくかどうかの確信もないまま、大金を差し出すことは、本当にきつい決断でした。
でも、あれから10年たった今、あの時、退職金を銀行にあずけなくてよかった、としみじみ思います。お金が必要だったぷかぷかにまわしたからこそ、今のぷかぷかがあるからです。
おいしいパンのお店「ベーカリーぷかぷか」、ぷかぷかさんと一緒にごはんを食べるお店「ぷかぷかさんのお昼ごはん」、おいしいお弁当、お惣菜のお店「おひさまの台所」、アート作品を作り出す「アート屋わんど」と、にぎやかな、楽しいお店が4軒もできました。畑を借りて野菜も作っています。最近はクラフト班もでき、草木染めをやったり、刺繍、織物をやったりしています。
現在40人もの障がいのある人たちが楽しく働いています。40人もの障がいのある人たちの働く場が、この霧ヶ丘にできたことは、すごいことだと思います。全くのゼロから出発したのですから。
ぷかぷかはただお店が4軒あるだけではありません。障がいのある人が40人働いているだけではありません。
そこからたくさんの素敵な物語を生み出したこと、ここがぷかぷかのおもしろいところです。
物語は街を豊かにしました。
銀行にあずけていれば、何も生まなかったお金が、ぷかぷかにまわすことで、こんなにも素敵な物語を生み出したのです。どんな物語を生み出したか。その一部を写真で紹介します。
ここからぷかぷかの物語が始まりました。
オーブンを運び込みます。
地域の子ども達といっしょにパン教室をやりました。
地域の人たちといっしょに運動会
子どもの誕生会でいっしょに撮影
クローバーまつりでバームクーヘンを焼きました。
クローバーまつりで恐竜の門を作りました。
近所の子どもとお話
区民まつりで地産地消のブースをデザイン
地域の人たちと一緒に大きなクジラの絵を描きました。
マルシェをやりました。
日本フィルハーモニーのチェロ奏者江原さんと大ちゃんの太鼓のコラボ。相模原障害者殺傷事件で犠牲になった方々へ捧げる「レクエム」を演奏しました。この時はpvプロボノとNHKが取材に来ました。
秋コレ・ぷかぷかファッションショーのモデルさんたちを地域の人たちと一緒に作りました。
街をパレード
地域の人たちとぷかぷかさんが一緒に芝居作り(演劇ワークショップ)
演劇ワークショップで作った芝居の発表「表現の市場」
アート屋わんどでは『セロ弾きのゴーシュ・ぷかぷか版』の背景画、小道具を作りました。
『表現の市場』みどりアートパークホール。 今年の「表現の市場」は立ち見ができるほどの盛況ぶり
これはぷかぷかが生みだした物語のほんの一部です。
これがお金が必要だったぷかぷかにお金をまわすことで作り出すことができた素敵な物語です。
新しい歴史です。
これが「お金を必要なところにまわす」ことの意味です。
日本財団は助成金を出すとき、助成金の金額を超える「新しい価値」をどれだけ作り出せるかで審査するそうです。ぷかぷかは最初にまわしたお金の何倍もの「新しい価値」を作り出したように思うのです。
お金をまわさず、銀行にあずけていれば、多分、何も生まれませんでした。物語を記録したたくさんの写真見ていると、こういったものが一切なかったとすれば、社会の大変な損失と言っていいくらいです。逆に言えば、お金をまわすことで、それくらい社会にとって大切なものを作り出した、ということです。
子どもたちにオペラを見せて、すぐに何かが始まるわけではありません。でも、オペラを見る、というすごい体験は、言葉で語れないくらい子どもたちの心を豊かにします。
前回、オペラを見た子どもたちが家で毎日のように
♪ テトのパンは あ … ♪
って、繰り返し繰り返し歌っていたと、何人もの方から聞きました。
子どもたちが大きくなって、社会を担うようになったとき、多分素敵な物語をたくさん生み出してくれます。そのときに、オペラで体験した、思いっきり笑ったり、思いっきりハラハラドキドキしたり、すっごく怖い思いをしたり、すっごく悲しい思いをしたり、なによりもすっごくいい歌を聴いたりしたことを、思い出してほしいなと思うのです。あのときの熱くほてった気持ちを、社会のために役立ててほしいと思うのです。
そんな思いを込めて、ぜひお金をまわしてください。お金はまわすことで、生きてきます。お金を、子どもたちのために生かしてください。