ビハインドストーリー その6
vol. 16 2023-11-24 0
旅は急展開を迎えた。
ウーリングア一家が当初の計画を変更、さらに150キロほど離れた村まで行くと言い出したのだ。集落を出発してからすでに2週間が経っていたため、旅はさらに長期化することになった。自分にとっては、帰国できない、狩猟にも立ち会えない、というジレンマの中で嬉しいことが一つだけあった。それは新たな経路では友人が暮らしているという場所を通過することだった。その友人とは2018年に近代化の進む村で出会ったが、パンデミックの間に彼は故郷である消滅集落に一人で引っ越し、狩猟生活を始めたと、遠征の間に人々の噂で聞いた。
電気も水も、何もない消滅集落。
友人のカユアングアは本当にそこで暮らしていた。
数年ぶりの再会に僕はもちろん、彼も嬉しそうだった。言葉は通じないが、まだ心のつながりを感じることができた。
ウーリングア一家には旅の帰り道に迎えに来てもらえるよう約束し、自分はその消滅集落に降ろしてもらい、カユアングアと過ごすことにした。
極北地方のさらに辺境の地。
本当の狩猟生活を体験することとなる。