最果ての、忘れられた聖域へ。
雪の写真家・遠藤励が取り組み続ける、北極圏遠征プロジェクト。

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初めて見る世界、グリーンランドの内陸。ウーリングアから昔、氷床のクレパスに落ち、何日も生き延びたイヌイットの話を聞かされる。カミックと呼ばれるアザラシの皮で作られた雪靴を少しづつ食べて生還したらしい。要するに、彼の忠告はこのクレパスだらけの氷床を越えるまで「絶対にソリから離れるな」だった。しかし、永遠と続く氷河の登り坂はさすがにソリを押したり、犬と人間とがチームワークで氷床を超えた。寝るときはソリの上に被せた小さなテントに最大7人がひしめき合った夜もあった。移動中はほとんど眠れなかったけど、年齢も肩書きも超えて助け合う時間は、「生きる」という力強い実感に満たされ、実は心地よかった。家族の食べている肉の塊はベルーガ。