10月27日-11月5日 作品展詳細
vol. 8 2023-10-06 0
遠藤 励 作品展「MIAGGOORTOQ」(ミアゴート)
~人類ルーツをひもとく北極先住民のいま~
開催場所:AL Gallery 渋谷区恵比寿南3-7-17 https://al-tokyo.jp/news/miaggoortoq/
開催期間:2023年10月27日から11月5日まで
開催時間:12:00-19:00
展示内容:これまでのグリーンランドでの活動から、本企画展のために厳選されたプリント作品12-15点、インスタレーション「大島育雄の記憶」をはじめ空間の創造。
物販:オリジナルプリント、図録の販売ほか。
オープニングイベント:10月27日(金)18:00より。「食」をテーマに昆虫食研究家の内山昭一氏とのトークや、サノバスミス(新進気鋭のハードサイダー醸造所)の提供を予定しています。
https://www.instagram.com/polarexposure2023/
■作品ステートメント
地球の自然、そして天文学的な宇宙のサイクルと直結した「狩猟採集」による暮らし。それは人類誕生から我々が歩んできたであろうルーツの姿である。極北先住民に導かれた現代の狩猟生活の体験から、私は獲物から流れる生々しい血を次第に美しいと感じ始めた。それが本能的なものなのか、彼らの文化への理解からくるものなのかを自問した私は、自分の生活が血を見ない「仕組み」の中で生きていることに気がついていった。本作は原始的な「生物本能」と生活の環境から形成される「概念」との考察である。なお、「MIAGGOORTOQ」とは現地の言葉で犬の遠吠えを意味する。
■ 作品背景
日本には「いただきます」という言葉がある。語源の一つに「食物(あなた)の命をいただいて、私の命をつなげさせてもらいます」という食物連鎖への尊ぶ想いがこめられている。農耕や牧畜が始まる以前の太古の昔、人間は狩猟採集をしながら生きてきた。そんな遥か昔に長い年月をかけながら地球上の最も遠い地域まで渡った人々がいる。グリーンランドに暮らすイヌイットは私たち日本人と同じモンゴロイドで、最北のエリアでは60年くらい前まで定住をせずに狩猟生活を営んでいた。野生動物を狩り、その肉を食べて暮らす。それは地球という大きな生命体の一部として生きる人類ルーツの姿でもあった。定住と近代化が進み、多くのイヌイットは狩りをしなくなったが、まだ一部の人々は狩猟を中心とした生活を続けている。私は2018年よりグリーンランドへ遠征を始め、これまでに4度の渡航と述べ6ヶ月以上の取材を行った。消滅集落に滞在したり、あるときはイヌイットの家族たちと犬ぞりで狩りや旅に出かけたりもした。そんな中で、白熊やイッカク、セイウチなど目撃が極めて困難な狩りの瞬間にも立ち会うことになった。極北の自然の中に狩りに出かけ、獲物を「獲る」、「食べる」、また「副産物の活用」までの一部始終を自らの責任で行う。北極民の狩猟生活は我々が普段意識することの薄れてしまった「命をいただく」ということの意味を生々しく体現していた。