<映画館スタッフに聞いた>もう一回 映画を観たくなるパンフレットが好き
vol. 6 2018-10-12 0
さまざまな人のこだわりが詰まった映画パンフレットが私たちのもとに届く場所、映画館。
そこで働くスタッフはどんな想いを持っているのでしょうか。
今回は、都内のシネコンで働くアルバイトスタッフにお話を伺ってきました。
もう一回映画を観たくなるパンフレットが、好きなパンフレットかもしれません
(映画館アルバイトスタッフ・E)
ーー今日は好きなパンフレットを選んできて下さったとか?
昔は映画を観たら必ずパンフレットを買っていました。そのパンフレットを振り返って、特に好きだったのは『舟を編む』(13)。辞書を作る映画だったんですが、パンフレットの中に辞書で使っているような紙が折り込まれていました。分厚くて内容も充実していたし、表紙の模様もいいなって。少し高かったけど、こだわりを感じました。
――入荷した時から目をつけていたんですか?
検品時には映画のことはあまり知らなかったんですが、公開されてからパンフレットを買う人がたくさんいたんです。あと、作品のタイトルを間違えられて覚えていたのもあります。当時、『藁の楯 わらのたて』(13)も上映していて、「『藁を編む』のパンフください」って言われて、絶妙に混じってくるからどっちか分からなくて(笑)。
――選んできてくれた他のパンフレットについても聞かせてください。
私は洋画のパンフレットを買うことが多くて。『はじまりのうた』(15)は小さい正方形でかわいかったり、『ジャージー・ボーイズ』(14)はレコードサイズを意識していたり、大きさにこだわっているなと思いました。『リリーのすべて』(16)はとにかく写真が綺麗で、『小さいおうち』(14)は表紙が丸く切り抜かれていて、おもしろいなって。
――パンフレットを売る側として印象に残っているパンフレットはありますか?
メジャーな作品はお金がかかっている感じがします。例えば『スターウォーズ』とか。厚いし、日付が入っていたり、いろんなパターンがあったりして。あとは、おまけがないと買ってくれないのかなと思うこともありました。アメコミ作品で1ページにポストカードが4枚つながっているパンフレットがあったり、シリアルコードやDVDで映像が観られるものもありましたね。『バイオハザード:ザ・ファイナル』(16)とか『ワンダーウーマン』(17)とかがそうだった気がする。付加価値みたいのが昔より多くなって、雑誌みたいになってきてる感じがします。
――読む側としてはどんな内容を楽しみにしていますか?
写真を楽しみに読むことが多いです。『リリーのすべて』は、映画が綺麗だなって思ったからとにかく写真が見たくて、パンフレットが欲しくなりました。映画を観た後に時代背景とかを調べたりしないので、パンフレットを読んでそういうのが分かると、もう一回観たいなって思うこともありますね。もう一回映画を観たくなるパンフレットが、好きなパンフレットかもしれません。
――資料としての価値も大切かもしれないですね。
そうですね。あとは、自分が観た映画の記録として買っておくというのもあります。最近は宝塚歌劇のパンフレットも買っていて。宝塚のパンフレットは、宝塚公演と東京公演とで違うパンフレットなんです。同じ作品でも使われている写真が微妙に違ったりする。誰がどの場面に出ていたとか、資料としての価値もありますね。
――それでは最後に、“売る人”として一言お願いします。
お客様は映画を観たいから映画館に来ますが、パンフレットを買うか買わないかはその人次第です。だけど、買ってくれる以上、楽しめるものを売りたいと思っています。グッズだけ買っていく人もいますが、自分たちが読んでいいなと思ったパンフレットは、「パンフレットもありますがいかがですか?」とオススメしていきたいです!
(取材・文/ひろし)