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島根県益田市 映画館復活をクラウドファンディングで実現!

「過疎」という言葉の生まれた街・島根県益田市に映画館を復活させ、
広い世界への入り口を作りたい!

2008年に廃業した島根県益田市の映画館を復活させ、誰もが知っているヒット作から、アート性の高いマイナー作品、世界中の空気に触れられるドキュメンタリーまで様々な作品を、気軽に見に行ける環境を再び作ります!

FUNDED

このプロジェクトは、目標金額6,000,000円を達成し、2021年10月29日23:59に終了しました。

コレクター
476
現在までに集まった金額
6,537,000
残り日数
0

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このプロジェクトは、目標金額6,000,000円を達成し、2021年10月29日23:59に終了しました。

Presenter
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PRESENTER
和田 浩章

初めまして!! 夫婦で妻の出身地・島根県益田市に移住し、映画館の復活を目指すプロジェクトを進行中です。どうぞよろしくお願いします。

映画業界を志した映画『悪人』

vol. 24 2021-10-26 0

僕の人生を変えた映画は大きく3つあります。『スクラップヘブン』『ノーボーイズ,ノークライ』そして邦画で一番好きな作品『悪人』。この話をするには自分過去を遡らなければなりません。自分の人生をあますことなく全て綴った長い文章ですが、よければ読んで頂けたら幸いです。二児の父としてここまで晒すのはどうなのかと躊躇しましたが、クラウドファンディングにこれだけ応援してくださった方々がいて、賛否両論があるのを承知の上で覚悟を決めました。

家族のみんな、心配かけてごめん。大丈夫。過去を吹き飛ばすくらい格好いい親父になるよ。

「あなたは普通の人生は諦めてください。」

僕が14歳の時に医者から言われた台詞だ。アトピーが酷く、全身包帯巻き、肌はケロイド状態だった。僕はもうこれから一生、学校へ行く事も、仕事もする事も出来ず、女性と付き合ったりセックスしたり、結婚する事も家庭を持つこともないと思った。絶望の深淵で光なんて見えなかった。人間の体は寝る時に体温が上がる。体温が上がれば体が痒くなる。毎晩地獄のようだった。

眠りに就くのは朝方の5時。精神的に限界が来て、毎日のように母に「なんで産んだんだ」と罵声を浴びせ、疲れ果てると泣きながら「殺してくれ」と懇願した。そんな日々が続いたある日、母は遂に台所から包丁を持ち出し、僕の首筋にあてた。「あんたを殺して私も死ぬ。それで許してちょうだい。」と言われた。死ぬのが怖くて涙と震えが止まらなかった「ごめんなさい、本当は生きたいです」と告げると母は包丁を手放し、僕を抱きしめた。「こんな体に産んでごめんね」と母は言った。いや、言わせてしまった。人生をやり直そうと決めた。高知へ数か月滞在しアトピーの名医に診てもらうと、みるみる回復していった。保険適応外で何百万もかかった。だけどそうして僕は高校へ進学、そして大学まで行かせてもらえたのだ。

引きこもりの僕が読モの黒ギャルと付き合った話

高校に進学し、病気がよくなっても心の傷は癒えないままだった。引きこもりで人とコミュニケーションを取ったことがなかったけれど、誰かと話したかった、繋がりたかった。そこで唯一の救いがHangameというサイトのチャットだった。アバターで自分の姿を変えられて、引きこもりであった事や病気の事を隠し、他愛もない話を朝までした。時には悩みを吐露してくれる人がいたりと、住んでる場所も年齢もわからない色んな人とコミュニケーションを取った。高校から帰ってくるとチャットにログインする。そこで波長があって仲良くなったのが同い年の15歳のギャル雑誌の読モの黒ギャルの女の子だった。自然とSkypeで夜な夜な話すのが日常になっていった。そして会った事もない彼女と付き合う事になった。その時に彼女が今までしてきてしまった罪を告白してくれた。今考えると『悪人』の主人公・清水祐一が殺人を犯した事を独白するシーンのように勇気が必要な事だったと思う。

“渋谷のセンター街に入り浸って100人以上の男性と関係を持ったこと”

“クラブに行った際に周りにそそのかされて麻薬を使用してしまったこと”

泣きながら話してくれた彼女に僕は聞いた「過去は過去だよ。それを今どう思ってるのかが聞きたい。これからどうしたい?」と言うと彼女は「出来る事ならやり直したい、普通の人生を歩みたい」と言った。僕も自分の過去やこれからについて洗いざらい話した。そして渋谷で会う事になったのだ。どんな服を着て行けばいいかわからず、とにかくコンビニにあるファッション雑誌を片っ端から読んで今流行っている服装であろうものを着て渋谷に向かった。彼女はすぐに僕を見つけてくれて話しかけた。が、そこに待ち構えていたのはヤマンバメイクの黒ギャルだった。全く接点がない二人が出会った瞬間だった。僕自身、病気という外見で散々な目にあってきた。イジメにもあったし、子どもたちからバケモノだと石を投げつけられたこともあった。人の外見ではなく、その人の持つ内面を見ようと思った。濃いメイクの中にあどけない15歳の少女がいた。バーに連れて行かれ、初めてお酒を飲んだ。そして会ったその日にラブホテルに行った。

童貞であるが故、全て彼女がリードしてくれた。セックスを通じて人を求め合うという美しさと人の持つ欲望という汚さの両方を味わった。その後、僕は自分自身が持つ欲望の深さに酷く打ちひしがれる事になる。付き合っていく中で、彼女に対して“自分の思い描く理想の女性像”を求めていったのだ。彼女は言った「誰と付き合っているの?私はここにいるよ、ちゃんと見て」こんな言葉を言わせるつもりではなかった。だけど、彼女はどんどん読者モデルとして活躍し、音楽活動も精力的に行い、キラキラと輝くステージに立ち続けた。僕とは違う世界で生きていると思った。不安からか、きつく当たった。2年間付き合って別れる事になった。別れたくないと女々しく言う僕に彼女はこう言った「大丈夫だよ。ちゃんと想ってたらまた必ず巡り遭えるよ」。

別れ際まで彼女は人としての指南を残して去って行った。己と向き合うことを教えてくれた。

映画『悪人』との出会い

メガホンを取った李相日監督の作品『スクラップヘブン』は100回以上見た。そして原作の吉田修一さんのもともとファンだったこともあり『悪人』と出会った。後悔に満ちた彼女との日々を思い出した。自分にとって描いて欲しいと願った事が全て詰まった小説だった。TSUTAYAでバイトしていた際に『悪人』が映画化されることを知った。主人公の清水祐一は僕が一番好きな俳優・妻夫木聡さんだと知り歓喜した。公開してすぐに勇み足で『悪人』を観に行った事を今でもよく覚えている。泣くであろうとわかっていたから人がいない午前中の早い時間帯を選んだ。殺害を犯してしまった祐一は奇しくも出会い系サイトで光代という女性と運命的に出会ってしまう。僕はネットで出会った黒ギャルの彼女の事を重ねて観ていた。光代は祐一に出会えて女としての幸せをようやく手に入れられると思っていた。殺害を犯した事を打ち明けて警察に自首しようとする祐一を光代が引き止めるシーンで、もう号泣。罪を犯してもそれでも一緒にいたいという想いの現れは、僕と黒ギャルの彼女との関係性にも思えた。祐一が家から海を眺め「どこにも行けん気になる」という背中は過去の僕の孤独そのものだった。物議を醸しだしたイカの目からオーバーラップする殺害シーンの回想。そしてラストの灯台での二人の結末。首を絞めてキスをした祐一の優しさ。小説を超えた感動が待ち構えていた。どれをとっても最高峰の映画だった。僕は自給850円のアルバイトで携帯代を払い、食費や生活費なども工面していた為、映画館の学生料金の1500円も高く感じていた。よっぽどの事がない限り映画館ではなく、レンタルDVDでガマンしていた。それでもこの映画だけは特別だった。人生で初めてだった。二回三回と劇場に足を運んだ作品は。何度観ても号泣した。そして『悪人』をきっかけに映画業界を志すようになった。それは、大学のキャンパスで『悪人』の話題になったときのこと。「わからなかった」「祐一が悪人ってことでいいの?」という意見に、怒りと共に確固たる思念をたぎらせた。素晴らしい映画をきちんと届ける導線を張らなくてはならないという使命感に燃えた。

今までの自分の人生がこれだけ辛かったのだから何か意味はあると信じ突き進んできた。そして2016年には日本初のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」の支配人として従事することになる。2017年にはオムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』で李相日監督の『1001のバイオリン』のバリアフリー音声ガイドまで書かせてもらえる事になるなんて思いもしなかった。あの時、死ぬ事を選ばず生きる事を選択して本当によかったと思う瞬間だった。

妻と出会い、妻夫木聡さんのファンである事で話に華が咲いた。妻は妻夫木聡さんに会えるイベントに行くほどのファンだという。だけれども『悪人』は観ていないと知り恐る恐る試すように映画を一緒に観た。「わからなかった」と言われたらどうしようと思っていたが、彼女は泣いた。最後のラストシーンでボロボロと泣いた。嬉しかった。この人と一緒になろうと決めた。

屈折したどん底の人生を歩まなくても伝わる人にはちゃんと伝わる。そのことを『悪人』は教えてくれた。『悪人』があったから僕は映画人生を歩もうと思えた。特典ディスクの制作の裏側は僕のクリエイティブに対する考え方の指針となった。ありがとうなんて感謝の言葉では足りないけれど、ありがとう。映画の感動が僕をいつまでも挑戦への道へ突き動かしてくれている。僕が『悪人』に出会ったように、映画には誰かの人生を変える可能性がある。だから、映画を届けたい。その想いは一生変わることはない。そして映画を届ける為の努力と挑戦を惜しまない。クラウドファンディングも残り僅か、この物語の最後をどうか見守ってください。和田浩章

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