離島での物件探しの最適化を図る
vol. 42 2020-07-31 0
呉市の古民家宿を想定したとき、宿のそれぞれの強みを類型してみた。すると立地、建物、インテリア、価格、宿の人柄、ストーリー性など、いくつかあげられる。
私の場合、東京の西荻窪と呉市の音戸の2拠点になることを想定したうえでの作戦になる。だから、上記のうち、人柄は除外となるだろう。また離島は、東京には無名な場所なので、たくさんお客さんが来ることは想像できないので、安い価格の勝負はありえない。となると、まず立地、ストーリー性を考えて、ある程度の満足度の高い建物で勝負ということだろう。
呉市の離島をリサーチしたころ音戸の橋の近くが候補にあがった。
ちなみに、離島では、古民家がたくさんあるものの、どれもサイズが大きい。土地面積は50坪から100坪が当たり前で、東京のように、20坪や30坪といったものは、ほぼない。だから建築面積も大きく、個人レベルで扱うには、よほどの余裕がないと、難しいように思う。
そしてちょうど良い、物件候補が見つり、内見すると、程度も悪くなかった。しかし、さらに建物で勝負するために、リフォーム工事が必要になる。
古民家のリフォームに必要なのが、修繕し過ぎないセンスだ。10数年前に古民家の取材で、アレックス・カーさんに話を聞いたことがある。彼が、徳島県の山奥の祖谷の古民家宿で成功し、京都で庵という町家ステイを手掛けたころだ。古民家界のカリスマである。
アレックスさんの話で、それまでの古民家リフォームの概念が変わった。それまでは、構造はそのままに、いかに新築のように綺麗にするかだった。しかし彼は、あえて古い壁をそのまま残しつつ、トイレやお風呂の水回りは新品に入れ替えていた。リフォームにメリハリをつけている。例えば、土壁にキズが残っていて、それをあえて残したと言っていた。それは、その家の歴史を残すことになり、他にはない価値を生むという。新しくするのは、誰でもできるが、古いものは、唯一無二だと付け加えていた。
我々も、リフォームし過ぎないリフォームというものを目指すことに。そこで、地元で優秀な設計デザインを手掛ける中本さんを紹介いただき、依頼することになった。