呉のリノベーションが海外からも注目されている
vol. 23 2020-07-04 0
昨日に引き続き、中本氏の手掛けたリノベーションの作品を紹介しよう。
駅前に2019年開業した「Ripi」というベーカリーショップのデザインが注目され、国内の建築インテリアの雑誌やWebメディア、さらにイタリアやロシアのWebメディアにも掲載された。「透明度の高い空間づくり」がお店からの要望で、ユニークな空間へと見事に結実している。建物自体は別の建築家がかつて手掛けたものだが、まるで一緒に設計したかのように内観との調和が取られている。
他にも彼の手掛けたリノベーション作品が、呉の市街地に増えているのだという。
リノベーションにのめり込むきっかけになったのが、音戸にある古民家をリノベーションした飲食店「天仁庵」の案件だったそうだ。先日、ここでも紹介させてもらった。
その古民家は、約100年の間、時代の流行に合わせ、何回にもわたり改修されてきたものだ。中本氏が関わったリノベーションでは、建物の時間を元に戻すイメージだったという。
以前は、リノベーションデザインとは0から発想するものと考えていた中本氏だが、もともとの古いものを生かすことで新しい価値が生まれることを、「天仁庵」で経験した。長年愛されてきた古いものには、建物の歴史や近隣との関係などの物語があり、そこに新しい施主の想いや現代のアイテムを調和させ、まるでグラデーションのように染めていくイメージで進めたという。
Ripiのように、駅前にも案件が増えつつあると中本氏。
「家賃が安い、古い小さな空き店舗があると、次々と若い経営者が目をつけるようになり、それが呼び水となって、急速にリノベーション物件が増えているのでしょう」と話す。
まさに、呉は新しく変わりつつあるのだ。