『オン・ア・ボート』の音楽(とウルトラスーパーレアレコード)
vol. 5 2024-09-08 0
ご覧いただいている皆様、いつも本当にありがとうございます。プロジェクト責任者のヘソです。
あっという間に最終月の9月。『オン・ア・ボート』の撮影からちょうど1年が経とうとしています。つい先日、ある映画制作のワークショップに参加した時「『作品を作るか否か』悩んだ時は『その作品に自分の人生の3年間を費やしたいか』を自分に問いなさい」という金言を頂きました(多くの長編映画が、企画から公開までそれくらいの時間を必要とするからです)。
『オン・ア・ボート』の企画を始めたのが昨年4月。既に約1年半の月日をこの作品と共にしてきたこととなります。感覚としては本当に"あっという間"だったのですが、思い返すと多種多様な行程と、その時々のいろんな感動がありました。ここからの期間、その感動を1つ1つ皆様に共有させて頂きます。
今回はタイトルのとおり「音楽」についてです。
脚本を書いている段階から『オン・ア・ボート』にはできる限り「劇中で起こっていること以外の音はつけない」という方針を持っていました。それは、物語の舞台が 郊外の一軒家 であり、その「静けさの中で響いてしまう音」によって登場人物の関係性や心情を表現しようと狙っていたからです。(・・・実際、最初から最後まで「音」によって表現されています・・・ご覧いただく際はどうかご注目ください・・・!)
そうして組み上げられた32分間の中で、2曲だけ音楽が登場します。1つはいわゆる劇伴(こちらはエンドロールでも少し姿を変えて流されます)。もう1つが、主人公・高橋さらが旧友・鈴木えだまめの演奏する(!!!!!!)ピアノに合わせて歌う、彼女たちの自作曲です。どちらも大変重要な役割を果たしていますが、特に後者は、登場人物の過去や人間関係、そして作品のテーマを劇中唯一直接的に伝えてくれる、大事な楽曲となりました。
脚本には、ピアノで演奏されることと、歌詞を書きましたが、さぁどんな曲が相応しいのかと頭を抱えたところで・・・本作の音楽を担当しているKan Sanoさんに相談します。(宣伝活動をする中で最も驚かれることの一つですが、幸運にもこの、キーボーディスト/トラックメーカー/プロデューサー として、日本のみならず世界を熱狂させている音楽家に、音楽を担当頂くことができたのです。)
ミーティングでは物語の中での楽曲の設定と、イメージしている「色」「温度」というような抽象的なことを思いつく限りお伝えしました。Kan Sanoさんは何というか、丁寧に、慎重に話を引き出して下さって、普段だったら"伝わらないかも"と躊躇うような言葉も投げかけられる方でした。Kan Sanoさんからも登場人物や物語全体の「感情」を中心にご質問を頂き、1時間もしないうちに「あ、全部伝わった!」と私は感じました。
ひと月ほど後、Kan Sanoさんからデモ音源を頂きます(めちゃくちゃ速い…)。プロデューサーや制作担当と早速聞いて・・・感動で鳥肌が立ちました。登場人物たちが歌い、演奏する姿、表情までがありありと見えるような楽曲だったからです。そしてこれを早速、高橋さら役・松浦りょうさんと鈴木えだまめ役・山本奈衣瑠さんへ共有します。
それからほんの少しの個人練習期間を経て、撮影直前。作曲者であるKan Sanoさんの元に集まり、初めての合同練習を行うこととなりました。
Kan Sanoさんから歌唱のアドバイスを受ける松浦りょうさん
・・・と、その際演奏するKan Sanoさんの手元を撮影し
・・・譜面とにらめっこしながら練習し続ける山本さん
山本さんはピアノ演奏未経験。ピアノソロもある(!!!)中、相当なプレッシャーがあったと想像します。全体スケジュールの都合でかなり短い練習期間しか作れなかったこともあり、この時点ではまだ演奏に大きく不安が残る状態です。それでも一度合わせてみようと、いよいよ正真正銘1回目の、松浦さんと山本さんによるセッションが始まりました。
また、大感動です。「文字が具現化する」という、脚本を書き演出する人間にしか知り得ない強烈な感動に、自然と涙が出ました。
合同練習が終わる頃には、二人ともこの表情。この日は最後まで詰まったり、息の合わないところももちろんありましたが (そしてもう撮影までほとんど時間がありませんでしたが)、このシーンは絶対に素晴らしいものになると確信しました。実際、完成した作品の中でも、関係者が最も「感動した」と口を揃えるのはこのシーンとなりました!(撮影先のホテルまでキーボードを持ち込んで、血の滲むような練習を重ねてくれた山本さんには頭が上がりません)皆様に見ていただくのがとても楽しみです。
!!そして実は、この感動を凝縮したようなアイテムをリターン品にご用意しています!!
<限定公開!Kan Sanoによる劇中オリジナル曲のアナログレコード>です!
このレコードには3曲収録されています。まず劇伴。次に完成映像から抜き出した、歌唱シーンの楽曲(松浦さんと山本さんの完璧なセッションです!)。そして最後に、Kan Sanoさんから最初に届いたデモ音源です。Kan Sanoさんがご自身でピアノを弾き、歌っています。このバージョンは、このレコードの他には今後一切公開いたしません!だから「ウルトラスーパーレアレコード」です!!!!
言葉だけの打ち合わせを受けて、音楽家がどんな風に1回目のデモを作るのか、そしてそれが最終的にどう仕上がるのか、これを完全に追体験頂くことができます。アートディレクター・白石卓也さんによって更新される予定のジャケットデザインも楽しみにお待ちください。
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最後までお付き合い頂きありがとうございます!このように踏み込んだ記事を続々公開して参りますので、引き続きどうかご注目ください。
そして・・・引き続きプロジェクトや本ページをご家族やご友人にシェア頂けますと大変幸いに存じます。ご支援、応援、本当にありがとうございます!
ヘソ