これはおすすめ! 高性能の再生バッテリー
vol. 3 2014-10-21 0
どんなバッテリーを使うか、オフグリッドするときに大きなポイントなので、このレポートは全体公開にします。年間2万トンも捨てられているそうなので、独立電源のネットワークで活用していけるといいですね。
■10月10日(金)
高尾を出て、圏央道で鶴ヶ島へ。今日は、NPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」の鈴木一郎さんにお会いするのが目的です。
NPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」
http://www.offgrid-child.com
その名前からわかるように、このNPOは、電気が来ていない地域に再生バッテリーを届け、照明や携帯電話の充電に使ってもらう活動をしています。数年前から、ケニアとの縁が始まり、主にケニアでの活動をしてきたそうです。
「東日本大震災のあと、日本でもソーラー発電などの蓄電池としてバッテリーが使われるようになり、扱っていた高性能のバッテリーを、そういう人たちに使ってもらおうと、日本でも活動するようになりました」
2Vを6個直列にして300Ahにしたもの(左)と、パルス装置を付けて充電しているバッテリー(右)
鈴木さんが扱っているバッテリーは「制御弁式鉛蓄電池」と呼ばれる産業用のもの。バッテリーの種類は大きく分けて、以下の3つになります。
1)スターター用
自動車用などに使用されているエンジンのスタート用に特化したバッテリー。走行中は、オルタネーター(発電機)で常に充電されているので、ほぼ満充電に近い状態で使われています。ただし、バッテリー上がりのように使い切ってしまった場合や、長期間放置して自然放電してしまった場合は、再充電をしても蓄電性能が戻らないものがほとんどです。
2)サイクル用
ディープサイクルと呼ばれているもので、船舶やカートなどに用いられています。バッテリーを使い切ってしまっても蓄電能力の低下が少なく、充放電を繰り返して使う用途に向いています。
1)と2)のバッテリーは一般的に使われているもので「ベント形鉛蓄電池」と呼ばれています。極板の周囲に電解液を入れるタイプで、定期的な点検や補充が必要です。
3)制御弁式
上記2種類と違い、微細ガラスマットに電解液を浸透させて完全密封してあり、電解液を補充する必要がありません。このタイプは種類によって横置きできるものもあります。また、過充電、過放電、振動、衝撃などの苛酷な使用条件にも強く、自然放電しにくい特徴があります。このような特徴から、データセンターや電波基地局などのUPS(停電などに備える非常用電源)として使われています。
「非常用蓄電池設備のバッテリーは、7〜10年のメーカー保障が切れると交換しなければなりません。9割くらいは性能に問題がないので、そのバッテリーを引き取ってきて、再生処理をしてから販売しています。捨てられているリユース可能な制御弁式蓄電池は、年間2万トン以上もあるんです」
鉛バッテリーの再生方法には、パルス式と添加剤式があるそうです。鈴木さんが扱っている制御弁式は電解液を使わない密閉型なので、添加剤は使えません。したがって、パルス式で再生しています。以下、「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」のWebサイトから転載します。
_____< 引用 >_____
では、どのような再生処理をするか。以下の2つのことをしています。
a)一度放電をさせたのちに充電をして極板をリフレッシュさせる。
非常用電源のバッテリーは
浮動充電電圧が常にかかった状態で何年も過ごします。
一度放電をして再度充電をすれば極板はきれいになります。
場合によっては、何度か繰り返します。
b)高周波パルス電流をかける
電池反応は化学反応ですのでかならず反応のムラができます。
このムラが結晶化したものをサルフェーションと呼んでいます。
サルフェーションは普通の充電放電だけでは取れませんので、
パルスをかけるのです。
非常用電源では通常充放電を繰り返しませんので、
サルフェーションは出来ないと思われがちですが、
そんなことはなく、量的には少ないですが、
電池反応が化学反応である限り発生し、
それを除去したほうが、
電池の新たな用途であるサイクル使用に対して有利になります。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄< 引用 > ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
充放電を繰り返して極板をリフレッシュさせるのは、ニッカドやニッケル水素充電池で言われる「メモリー効果」のようなものでしょうか? メモリー効果とは、電池容量が十分に残った状態でつぎ足し充電をしていると、電池自身がその性能しかないと勘違いした状態です。(実際には、鉛電池にはメモリー効果は起きません)
「使用時にパルス装置を電池に取り付けておくと、充放電時に再生処理に使うときのパルスがかかるので、通常の使い方よりも寿命が伸びます。もうひとつ、バッテリーは深い放電と過充電で傷むので、余裕をもった容量と使い方を心がけてください」
鈴木さんが扱っているバッテリーは、引き取ってきたものによって、電圧と容量がさまざまなので、それぞれの使い方に応じて組み合わせるといいでしょう。
例えば、GSユアサのPWL12V24(12V 24Ah)は、車のバッテリーと同じくらいの容量なので、ソーラー発電のワークショップで使ったり、20Wくらいのパネルと組み合わせるといいですね。新品価格約5万円が1個1800円!
古河電池のFVH150-8(8V 150Ah)は、3個を直列にすると24V 150Ahになります。3個で3.6kWhも貯められるようなので、200Wパネルを5枚くらいのシステムに向きます。新品価格約20万円が1個9800円!
GSユアサのSTH700-4(4V 233Ah)は、3個を直列にすると12Vになるので使いやすく、3個で3kWh近くも貯められます。新品価格約15万円が1個7000円!
車のバッテリー(左)と、PWL12V24(12V 24Ah)を比較
鈴木さんのところでバッテリーを入れ替えて、バッテリーの端子保護にゴムホースを切って差し込みました。プラスとマイナスの上に空き缶を乗せたり、車のボディで接触したりすると、鉄を溶かすくらいの温度でショートして危険なので、注意が必要です。
新品のディープサイクルバッテリーを買っても、2〜3年くらいしか持たないといわれています。それならば、年間2トンも廃棄されている高性能の制御弁式バッテリーを再生させて、それを活用していくほうがいいでしょう。これからソーラー発電などを始める方は、ぜひ鈴木さんに連絡してみてください。
NPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」
http://www.offgrid-child.com
近くのセブン-イレブンの駐車場でしばらく仕事。写真データを送る必要があったので、セブンのWi-Fiを使ったのでした。鶴ヶ島のあと、都幾川村に寄ろうと思ったんですが、予定が合わなくなり、そのまま秩父方面へ。R299で正丸峠を越えて、道の駅果樹公園あしがくぼに、夕方ごろに到着。そのまま仕事しながら宿泊しました。
本日の走行距離 96.3km