【中間貯蔵施設①:条件闘争以前に考えるべきこと】(舩橋)
vol. 13 2014-06-01 0
昨日31日、福島県いわき市と茨城県日立市十王で、双葉町と大熊町から避難されている住民向けの「中間貯蔵施設に関する住民説明会」が行われ、僕たちも撮影してきました。
環境省・復興省・内閣府原子力担当など関係部署が出席し、双葉町・大熊町も役場関係者・町長がオブザーバーとして参加しました。
中間貯蔵施設がどんな施設になるのか。
いつ、どこに、どれだけの広さ・容積の施設を予定し、地権者への補償、安全対策、税対策などの説明が示されました。
住民との質疑では、
「故郷を奪われるのに、国の既定路線どおりの補償では納得できない」
など、反対意見が多く聞かれました。
報道では以下のようにレポートされてますが、現場にいた人間からすると少し違和感があります。
NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140531/k10014875011000.html
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014060102000124.html
東京新聞は、もう条件闘争に入ったと報じています。たしかにそんな風に感じている方、もうあきらめムードというか、国の既定路線の説明は、どんなに反対してもダメなんじゃないかと感じている方は多くいました。
しかし、「誰もいらないものは、ウチの町にもいらない!」と断固反対している方や、「そもそも中間貯蔵施設をなぜ双葉・大熊町だけに集約しなければいけなないのか。除染した土壌はそれぞれの市町村で管理すればいいのではないか。そして、各市町村が“中間”貯蔵している間、最終処分場を国民レベルの議論で進めるべきだ。」と、国の敷いたレールそのものがおかしいと反論する人も多くいました。
その意味で、東京新聞の報道は偏っているなぁという印象です。
どちらかというとNHK のほうが、全体をカバーしている印象はあります。
しかし、そのNHKでもネグっている1人の大切な意見がありました。
大熊町の男性がこのようなことをいいました(大意要約)
「中間貯蔵施設は30年だけで、その後は福島県外に搬出する。それを法制化して必ずやる!と国は言っているが、果たしてそれが可能なのか?無理なものを先延ばしにしているだけじゃないのか。福島県がいらないものは、全国のどこの都道府県が受け入れるのか?本当に最終処分場を決める気なら、東京電力の電気を使っていた地域のどこかが請け負う、と明記すべきではないか。」
というものです。
これは、複雑で難しい問題の本質をついたもので、報道各社どこも報じていません。
福島第一原発の電力はほぼ100%関東圏に送られてきました。
その施設での事故で、関東圏の人間ではなく、双葉郡の人々が長く原発避難を強いられています。そしてさらにその「ふるさと」へ、巨大な負のイメージの迷惑施設を30年間押しつけようとしているのです。
大きな構図で見ると、不公平な気がしないでしょうか。
いったいこれをどう議論してゆけばよいのでしょうか。
(つづく)