オーバーハウゼン国際短編映画祭レポート その2
vol. 12 2014-05-09 0
5月5日
満員のコンペ部門会場で、「放射能 Radioactive」の国外初上映が行われました!
福島県双葉町の人々が、どう放射能に向き合っているかについて記録したドキュメンタリーです。
上映後は、短編映画祭では珍しく拍手喝采がしばらく続き、ピーピーと口笛まで鳴り響いていました。
上映後、別会場に移動して行われたQ&Aでは、「あれだけ堆く積まれた汚染土壌は、いったいどうなるんだ?」「除染の効果というのは、本当にあるのか?」「双葉町民は、なぜ3年以上たった今も避難生活を続けなければいけないのか?」「なぜ福島原発事故は収束しないのか?」「子供の健康状態はどうなっているのか?」など、本質的な質問が飛び交いました。
日本の安倍首相が訪独したことにも触れて、ドイツのメルケル首相が脱原発に舵を切ったのに対し、なぜ日本は原発を止めないのか?とくにヒロシマ、ナガサキ、フクシマを経験したのだから。という意見もありました。
基本的な原発事故の現状況と、国民の中でも半数以上が原発ゼロを目指すほうが良いと思っているが、それが選挙に結びつかない政治環境、また脱原発の市民運動が確かに大きくなっていることなどを説明しました。(欧州のメディアではそれすら充分に伝わっていないとのこと)しかし、それに加えて、安倍政権はそれでも再稼働を目指している、というとため息と「Why???」という怒りの声が会場から聞こえました。
事故の収束も全く見えておらず、これだけ避難民を苦しめながら、全てにフタをして原発を推進しようとする日本政府は、理性を失っているのではないか、と批判する人もいれば、もちろん背後に利権が絡んでいるのだろう、日本人の民主主義の成熟度が試されている、と達観する方もいました。
また、「日本は、フランス革命のように民衆の手によって民主主義を手に入れたことがないのではないか、それが圧政であるのに何も反抗していないような印象を持ってしまう。もちろんそうでない運動家は沢山入るだろうが」
とフランスの映画祭ディレクターは分析していました。
日本では311以後、民衆が見えない抑圧を受けている、という共同認識がそこにあったように思えます。それが外からみた日本の姿でもあると感じました。
残念ながらコンペ部門での受賞はなりませんでしたが、ドイツらしい非情に熱い反響をもらったのは大きな収穫でした!(舩橋)
当日の写真はこちら!
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