偶然に同じ道で露店を開いた2人の障害者の人生
vol. 8 2025-01-17 0
カトマンズの人通りの多いある通りで、それぞれ露店を開いていた男性と女性がいました。ふたりとも障害があり、路上で物売りをするという同じ境遇から、お互いに気になってはいたが、声を掛け合うことはありませんでした。
同じ通りで露天商を営む夫婦は、この若い2人のことが気がかりで、待っても待っても声を掛け合わないので、策を練り、シャイな2人を引き合わせました。
男性のサンジャイさんには、「あの女性はルパさんと言うが、あなたに興味があるみたいよ」と声をかけ、ルパさんにも同様のことを伝えると、磁石のように2人は急接近しました。
サンジャイさんはタライ平原出身の少数民族タルー族。生まれた時から両足の膝下が極端に細く立つこともできませんでした。四つん這いで這いながら小学校に通いました。その後は銀細工や大規模の障害者施設で作業をしていましたが、給料が支払われることはありませんでした。
他の障害者が自らで露天販売を商っている姿を見て、自分でもやってみようと、手持ちの500ルピーでCDを安価に仕入れ、路上て販売を始めました。携帯の充電器やイヤホンなど品を揃えて、自分の力で生活できるようになりました。
一方で、ルパさんは5歳の時に転倒して腰を負傷。病院に行けずに放置されていました。5年後に緊急手術を行うのですが、手術の失敗か、さらに歩けなくなりました。右足が変形してしまい、杖をついて歩いています。14歳の時から学校に通い始め高校生になった頃から、生活費のために放課後に路上で古本販売を始め、卒業後も露天商を続けていました。
2人が声を掛け合ったのは11年前のこと。その日を境に急接近し、翌年には結婚し、現在10歳になる子供もいます。家族3人で部屋を借りて暮らしていましたが、部屋を借りるのも大変で、嫌がらせもあり、3年前にタラケシュワール施設に移りました。
同じ境遇の障害者と暮らす方が安心で、施設裏の敷地にトタン小屋を作り、そこから子供も学校に通っています。 新しいアパートが出来たら、3人で暮らしたいと、完成を待ちに、待っています。
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