映画「ねぼけ」完成披露試写会、無事終了のご報告と御礼のご挨拶
vol. 92 2015-04-06 0
映画「ねぼけ」完成披露試写会へ、お足元の悪い中たくさんのお運びを頂き、誠にありがとうございます。
監督の壱岐紀仁より、心より御礼申し上げます。
お陰様で、完成披露試写会は大盛況の内に終了することが出来ました。
まず初めに、映画を支えて下さったMotion Galleryのコレクターの皆様方、誉れ高き場をご提供頂いた明治神宮様、ねぼけ寄席で高座を務めて下さった柳家さん枝師匠と入船亭扇遊師匠、宮崎県新富町より応援に駆けつけて頂いた土屋良文町長、神楽を披露して頂いた本部宮司始め新田神楽保存会の皆様、そして完成披露試写会にお集まり頂いた全てのお客様に、監督として心より御礼申し上げます。
10年前。
当時の私は、下請けではない自分のオリジナル作品をどうしても作りたいと思って居ても立ってもいられず、それまで務めていた会社を飛び出して、居酒屋でアルバイトをしながら日銭を稼いでおりました。
そして、毎日毎日お酒を作って、お金を少しづつ溜めて、ようやく初めて自分の個展というものを開きました。
結果。
ご来場したお客様は、全部で30人も至りませんでした。必死に足掻いたけれども、私の作品は社会と繋がることが出来ませんでした。評価すらされませんでした。
ああ、これが自分の才能の限界かと、嘆いたものです。若気の至りというやつです。
そして、それから10年が経ち、こうして試写会をやりまして、お客様が300人以上もいらしゃいました。
30人から、300人に。10年で、10倍になりました。
ここに至る道程で、たくさんの悔しい思いや悲しい思いをして来た分、感無量でございました。
私は、自分に特別の才能があるとは微塵も思っておりません。本気でそう思っています。
日々の積み重ねをきちんとやって、それに見合った分だけの歩み方をようやく出来るという、いわば普通の人間でございます。
そんな普通の人間が、精一杯背伸びして、一生懸命夢を追って、映画を作ったのです。
「大した才能はないのだから、別に映画なんてやめて、趣味で無理なくやればいいよ」と、決して一言も言わなかった家族と友人たちに、私は恵まれました。
このありふれた、しかし得難い幸運に気付いたことが、私の財産であり、映画を作るきっかけになりました。
映画「ねぼけ」は、そういう監督が作った映画です。
この映画には、世界を救うスーパーヒーローも、未来から来た可憐なヒロインも、大怪獣もロボットも魔法使いも、目新しいものは何も出てきません。
街ですれ違っても、誰も気にもとめないような極々普通の人々が主人公です。
私は、ありふれた日々の営みを心からを愛しているし、深い敬意をもってその在り方を見届けたいと願って、この映画に魂を込めました。
日々を生きるということが、どれだけ多くの人に支えられているか、何気ない一日がどれだけ貴重なもので、奇跡そのものであるかということを、「ねぼけ」で伝えたいと願いました。
この映画に出てくるたくさんの登場人物たちは、この物語の中で様々な局面にぶつかり、右往左往し、やがてそれぞれの結末を迎えます。
その風景は、きっと私たちの人生と地続きであり、重なる部分があるはずです。
最後に。
映画「ねぼけ」は、ようやくスタート地点に立ったばかりです。
これから、映画祭や劇場公開に向けまして、たくさんのハードルを乗り越えていかなければなりません。
一人でも多くのお客様にご覧いただけるよう、死力を尽くして取り組んで参ります。
映画「ねぼけ」、今後ともご支援ご声援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
壱岐紀仁/映画「ねぼけ」監督