近況と、8/15終戦の日『ホピの予言』オンライン上映会のお知らせ
vol. 39 2023-08-13 0
お盆に入りました。台風6号がもたらした豪雨に伴う土砂崩れや浸水で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。接近する台風7号で新たな被害が出ないことを祈ります。
「記録的な」という言葉がもはや意味をなさない気候災害が頻発する地球環境を前に、できることは足元から「風穴をあけること」。堰き止められた自然の循環を草の根で取り戻すことだと改めて思います。
さて、予定を大幅に遅れてご迷惑をおかけしていた『大地の再生の視点と手法』改め『大地の再生の視点と技術』特別編集DVDですが、コレクターの皆さまにはオンライン視聴のリンクをお送りしました。その後、ブラッシュアップしたものをDVD(コピー/95分)にして、9月上旬にはお送りする予定です。
改めてお伝えするまでもありませんが、ここに収録した映像は、矢野さんの言葉と技術のごく一部。各地で開かれている大地の再生講座に出て、風の通り、地面の柔らかさを体感していただくことに変わるものではありません。今年発売された『大地の再生 実践マニュアル』(農文協)は何より実践の指針になるでしょう。そのうえで、DVDが届いたら、何度も繰り返し観ていただくことをお勧めします。というのは、そこに「いのちのリズム」が刻まれているからです。
風の草刈り、風の剪定、表層の水切り、泥さらい、八多羅掘り……。すべての動き、とくにその「音」に、矢野さんの真髄が刻まれていると思います。それは雨風と同じ音。強弱はあってもムラがなく滑らかで息が整うリズム。物事の理を表す言葉はもちろん、そのリズムを、身体に刻んでいただければ幸いです(DVDにはチャプターをつける予定でしたが、あえてつけないことにしました)。
さて、大切なお知らせがあります。このプロジェクトを開始するとき、推薦人になってくださった辰巳玲子さん(ランド・アンド・ライフ主宰)が、『ホピの予言』のオンライン上映会を企画してくださいました。
玲子さんの推薦コメントを改めてご紹介します。
玲子さんは、『杜人』完成後には『鬼の結 大地の再生まつり』を開催してくださいました。そのご報告はこちらに。
矢野智徳さんと初めて対談した辰巳玲子さんは、矢野さんの言葉に、インディアンの教えと通底するものを見出し、翌日開催されたフィールドワークで「大地の再生はインディアンの教えの実践」と言う想いをますます強くされました(このとき開催された矢野さんのフィールドワークの様子は柿内未央さんのnoteをご覧ください)。
その想いが、まつりの会場となったカネザワミュージアムでの大地の再生ワークショップ、秩父MORIBITO祭、そして今回の『ホピの予言』上映会につながりました。玲子さんの言葉を引用します。
「地中の鉱物、天然ガス、地下水はMotherEarthの内臓。ことにウランは決して掘り出してはならなかったのです。
矢野さんは『杜人』の中で、『単純に、皆さんの体で考えて頂ければ、呼吸と血管、空気と血液という循環ですね。これが体の中を巡っているのと同じように、地球上の大地そのものが、大気と水の動き、これが地球全体で体のように循環しているということ』とインディアンと同じことを話されています。
バランスを保つこととは、宇宙の真理とともに在ることです。それが平和の有り様なのだと。平和を創る〜様々なアプローチ、歩み方があります。小さいかもしれませんが、その交流の場となることを願っています」
私自身について言えば、そもそも『六ヶ所村ラプソディー』という映画を観ることがなければ、矢野さんに出逢うこともなく、『杜人』を撮ることはありませんでした。『ホピの予言』には『六ヶ所』を観た後、2008年に出逢ったわけですが、1986年というバブル期真っ只中に制作されたドキュメンタリーに込められた、あまりに痛切で強く普遍的なメッセージに圧倒され、言葉をなくしました。
「あしたのジョー」や「ルパン三世」、「探偵物語」など名だたるTV作品を手がけた脚本家、宮田雪さんがアメリカ先住民の「ホピ=平和の民」と出会ったことで、文字を持たない彼らが石板に刻んだ絵、口で伝え継いできた大切な教えを、絶対に世界へ、次なる世代へと伝え継がなくてはいけないと私財を投じて撮られた『ホピの予言』。そこに込められた祈りの強さは何度観ても心を震えさせます。
このオンライン上映会の収益は、~つづく つながる~くにたちみらいの杜プロジェクト(「杜人 第二章」へとつづく「樹木(いのち)の緊急避難プロジェクト」)、百年の杜プロジェクト@群馬県藤岡市鬼石町、広島グローバル・ピース・コヒーランスの3団体に寄付されます。
〜つづく つながる〜くにたちみらいの杜プロジェクト、大地の再生チームによって緊急救出された校庭の木々。「一見痛々しい風景に見えるけれど、互いにスクラム組んで必死に息を繋いでいる。これがいま、生きものが置かれている状況なんですよ」と矢野さん。本移植先もまだ決まっていませんが、養生、育成、そして本移植に向けてかなりの費用が必要になります
手を入れる前、2022年11月5日のカネザワミュージアム「百年の杜」@鬼石
是非、下記のリンクをご覧ください。
ご覧になったことがある方も、初めての方も、「ホピの予言」の意味をいま改めて考え、ともにこれからを見据える機会になることを強く願っています。
最後に、STOP! ROKKASHOの声をあげることを躊躇わず、小池百合子都知事への手紙が最後の手紙となった坂本龍一さんの「遺作」を。
祈りは永遠。
8月15日、終戦の日の夜に、お逢いできますように。
2023.8.13 前田せつ子