お詫びとこの間の動き、そしてこれからについて
vol. 38 2023-05-18 0
公開から一年が経ちました。おかげさまで都内にあるミニシアター、Morc阿佐ヶ谷さんでは現在も週末特別上映が続いており、自主上映もたくさんのお申し込みをいただき、全国各地で開催をしていただいています。心より御礼申し上げます。
一方で、リターン特典の一つである「大地の再生の視点と手法」特別編集DVDの完成・発送が遅れていること、心よりお詫び申し上げます。
このことについては、当初より「移住した先での環境改善に活かしたいと思っているので急いでほしい」というメッセージもいただいており、ずっと心苦しく思ってきました。また、先日、新しいプロジェクトについてのお知らせをメールでお送りした際、お叱りも受けました。そのことを後回しにして新しいプロジェクトを始めることに抱かれた疑問、ごもっともで、お詫びの言葉を並べても空虚に響くことと思います。
新しいプロジェクトは、同じMotion Galleryさんで5月13日にスタートした「息をしている限り あきらめない」樹木(いのち)の緊急避難プロジェクト! です。
プロジェクトの本文にも書きましたが、今年1月15日埼玉県本庄市での上映会がきっかけで、小学校の欅の木の伐採に待ったをかけた元PTA会長さんに出逢い、その木のいのちをつないでほしい、と矢野さんはじめ大地の再生チームにお願いをしたという経緯がありました。
そのときに、国立市内の小学校の改築工事で100本の木が伐採されることを知りながら何もしていない自分にハッとしたのでした。目の前で失われようとしているいのちを放っておいていいのか。問われていると思いました。
2月16日、伐られる樹木の思い出を染めや木工で残そうと活動している保護者の方と会い、まだ伐られていないことを聞いて、伐採を止めることができないなら、せめて移植を矢野さんにお願いできないか、と思いました。もう、あきらめるしかない、と思っていた保護者の方は「移植なんて考えたこともなかった。そんなことができたら奇跡です」と一緒に動くことを表明してくださいました。
それからは保護者の方、地域の方、教育委員会、矢野さん、現場では改築工事を担う建設会社の方も含めての交渉の連続。絶対に開かないと思われた扉が奇跡的に開いて、その次にはまた固く閉ざされた扉があって……を繰り返し、5/3〜5/6の4日間、奇跡的に43本中40本の救出を終えることができました。
上映してくださった映画館の方に、『杜人』の続編はないのですか? と何度か尋ねられました。その度に、「矢野さんは動き続けているので、ないとは言えないのですが、いまは考えていません」と答えてきました。正直、あんなに大変な撮影と編集をまたやろうとは思えませんでした。ネクスト・ゴールの英語字幕版を作り、エンドレス・ゴールの「子どもに伝える大地の再生」にチャレンジするのが先決、それが精一杯だと思ってきました。でも、期せずして、いえ、必然かもしれませんが、大きな課題が目の前に立ち現れたのでした。
全国で進む樹木の大量伐採。大木が育つまでの数十年に思いを馳せられることもなく、人間の都合、開発であっという間にいのちを絶たれていく木のなんと多いことか。矢野さんに言わせると、大木が持つ環境保全機能は若木を植えても足りるものではなく、こんな調子でどんどん伐られると回復が間に合わなくなる、と。
一方で、私の実家のある山口でも、新築の家に木はほとんどなく、コンクリートの駐車場があるだけ。木がなくなるということは、そこを住処にしている鳥や虫のいのちもなくなるということなのに。本当に悲しいです。でも、嘆いてばかりではいられない。それで、自分の住む小さなまちで、小さな石礫としてプロジェクト・チームをつくって、矢野さんたち大地の再生チームと連携して、市教委とも手を携えて、急遽動くことになりました。
忙しい矢野さんのスケジュールと、伐採直前に与えられた猶予期間とがピッタリ合ったのは、本当に奇跡だと思います。そして、新聞各紙をはじめメディアも応援してくださっているのはありがたいことです。
杜人プロジェクトを応援してくださった方で、新しいプロジェクトまで応援してくださった方がいらっしゃるのは、申し訳なく、ありがたく、言葉になりません。
『大地の再生の視点と手法』DVDについては、できる限り早く、7月末までには完成させてお届けしたいと思いますので、いましばらくお待ちいただければ幸いです。本当に、申し訳ありません。
なお、この「つづきの物語」については、「子どもに伝える大地の再生」の要素も含んだものになると思っています。加えて、もっと小さな子に伝える短いものも考えていきます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
2023.5.18 前田せつ子