People’s~BE A GOOD NEIGHBOR~
vol. 3 2017-10-08 0
「People’s~BE A GOOD NEIGHBOR~」
鹿児島のラジオ局MBC放送で放送された「みんなでつくる、みんなのラジオPeople’s」にてこのクラウドファンディングの発起人坂口修一郎と、森田孝一郎の対談が行われ、このプロジェクトにかけるそれぞれの想いを語っています。MBC放送のご厚意でその内容をこちらもでも共有させてもらいました。(一部補足など編集しています)実際の放送はインターネットのradikoのタイムフリーでもお聞きいただくことができます。
People’s MBCラジオ 10/7土http://radiko.jp/share/?sid=MBC&t=20171007172500
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米澤:まずは鹿児島市の中央駅前の電車通り沿いのジャズ喫茶<門>について教えて頂こうと思うんですが・・・やはり長く通っていらっしゃるのは森田さんですよね?
坂口:そうですね。僕も最初は森田さんに連れて行ってもらいました。
森田:まぁあの僕は天文館育ちなもんですから、学校の行き帰りに天文館にあった「パノニカ」っていうジャズクラブに行き来してたんですけどね、その中で「西駅には<門>というジャズ喫茶があるよ」というふうに教えられまして「あーそうなんだ」と行ってみたら「あーこのビルか!」と「なるほどね!」と思って、2階に天文館のジャズの先輩達に連れて行かれて。それが20歳ちょっと過ぎた頃かな。一階は普通の喫茶店でした。僕は何年も1階の「喫茶店空間」に行ったことが無くて。
↑こちらが2階の写真
坂口:みんなは逆ですよね。1階の喫茶の方しか知らないという人も多い。
森田:2階の「ジャズ喫茶空間」は夜の営業だったんですね。で、昼間はご夫婦で1階の普通の喫茶店をされてて、夜になったら(<門>のマスター)モンスターが2階に上がって、僕らが夜な夜な通うっていう空間になっていったんですね。
坂口:当時は毎日やってたんですか?(ここ数年2階は金曜日の夜だけしか開けていなかった)
森田:はい。
米澤:はーなるほど。そのジャズ喫茶<門>が、本当に皆さんに惜しまれながら、中央駅前の再開発で9月いっぱいで終了という・・・
森田:そうですねー。天文館にも色んなジャズ喫茶・ジャズクラブはあったし、西駅・中央駅界隈にもあったんですけど。僕が見てきた天文館界隈のジャズクラブ・ジャズ喫茶の閉店っていうのは、どの店も時代と共に経営不振といいますか、お客さんが入らなくなってきてこれ以上続けられないなということで。2000年に「パノニカ」が閉まり、2008年に「コロネット」が閉まる(どちらも鹿児島市内でかつて名を馳せたジャズ喫茶)というのを経験して見てきました。それでも(<門>は)着実にずっと継続して時代と共に生きながらえていたわけですね。でも今回その鹿児島中央駅の再開発計画という中で取り壊しという。なんともその、自己都合じゃない理由で閉店に追い込まれたのがですね・・・
坂口:(まわりの区画の)建物ごとですもんね。
森田:なんとも残念だったといいますかね。
米澤:淋しさはあるだろうなとは思いますけどね・・・
森田:でもまあ、オーナーのご夫婦もご高齢ですからね。その<門>の、みんなが楽しんできた空間にあったレコードとかサウンドシステムとかいうのをね、今回のクラウドファンディングを通じて次の世代に継承していくというのはもうホント、鹿児島の未来に向かった明るい話なので、今までの「パノニカ」とか「コロネット」が閉まっていくような閉塞感っていうのは無いですね。自然とね。明るい気持ちがすごくします。
坂口:今回<<門>>のマスターがずっと40年に渡って作りあげてきたコレクションを街に向けて開放するっていった時に、どこかのお店なりが一人で引き受けてっていう事になると、またそこが無くなったときにもう一回やんなきゃいけないけれど、「街のみんなで支える」っていう仕組みを作っておけば、みんなが“自分事(じぶんごと)”にしてもらえたら自然と次に繋がっていくのではないかと。クラウドファンディングってのが、すごくこのプロジェクトには合うんじゃないかなって思って始めたってことですね。
米澤:この、マスターが集めてきたものを、今度は鹿児島市山下町にあります「コーヒーイノベート」の中にそのままレコードと、また大きなスピーカーが、、、坂口:サウンドシステム、オーディオ一式全部移設します。
米澤:もともとはどうして「移そう」という話になったんですか?
坂口:閉店することになった時に県外で引き受けたいという話しもあったらしんですけど、そうするともう<門>のマスターもなかなか行けないだろうし、常連さんって鹿児島にいるわけだから、その人達の手の届かない所にいってしまうってのはもう残念だなと思って。(鹿児島市内に)どこかないかなと思って色々考えたんですけど・・・引き受けるとなると、重たい分もあるじゃないですか。常連さんの想いもふくめて維持していかなきゃいけないし。あちこち考えたんですが、(若い人に託したほうがいいということもあって)コーヒーイノベートのオーナーの濱野君に主旨を話したら、本人も「すごく光栄なことなので自分も頑張ります」っていうふうに言ってくれて、それでイノベートになったっていう感じですよね。
米澤:私も(<門>の)閉店前にお邪魔しましたけど、(モンスターは)「ま、近いから、コーヒーイノベートだったら、自分で聴きたい時に行けばよかたっどなぁ(鹿児島弁:行けばいいんだよねぇ)」っていうお話していらっしゃいましたもんね。坂口:このアーカイブはやっぱり鹿児島の街の人達がマスターといっしょに育ててきた「文化資産」だと思うので、それが鹿児島の中にあって、アクセスできるような状態になってるのがやっぱり良いだろうと思って。古くから通っている森田さんにも相談をしてっていうかんじですよね。
森田:まあ、世界中にジャズを楽しむ文化はありますけど「ジャズ喫茶」という空間で、コーヒー飲んだりとか鹿児島では焼酎飲んだりとかしながら、みんながジャズのアナログレコードを聞く時間を楽しむっていう文化は、ホント日本だけらしいです。
坂口:日本だけだと思いますよ。
米澤:そうなんですか?
森田:ジャズ喫茶という文化はですね。
米澤:へえー!
森田:でも、それも時代と共にだんだんと下火になってるというのも現実ですよね。
坂口:ジャズ喫茶っていう文化自体が大体40年(〜50年)前ぐらいから日本中にあったとすると、その初代の世代が今もう第一線を退こうとしているので、日本中でこれからジャズ喫茶という文化資産をどう継承していくかっていう問題はあちこち出てきますよね。
森田:(継承の)一つのモデルになる可能性もありますね。
米澤:10月16日いっぱいこのクラウドファンディングで皆さんからの協力をしてもらうかたちで集めていくわけですけど、10月16日以降で作業に移るってかたちになるんですか?
坂口:そうですね。11月にはもう建物の解体が始まるというふうに聞いているので、その前には、まずは移設をしなきゃいけない。
米澤:大っきなスピーカーが入ってるんですよね。これが。
森田:そうです。
坂口:あれを入れるためだけに2階(の壁)にドアを着けたらしいんですけど。
森田:(そのためだけの)開口部ですね。スピーカーを通すための開口部。
坂口:だから一回しか使ってないその開口部を、もう一回使うっていう。40年間で2回しか使わないっていう。なかなか・・・
森田:大工事ですよ。もうクレーン車を持ってきてあの中央駅の前の通りに。
米澤:これから始まるわけですもんね。
坂口:結構・・・まぁ結構大変ですよね。あれね。(笑)
森田:大工事になると思います。
米澤:あそこはまた交通量も多いですし、色んな方達がその風景をまず見ることになりますよね。
森田:ですね。電車通りだしね。
米澤:マスターにお話をうかがってると、あのスピーカーの位置から、また音響を作るために部屋の中の壁にもこだわったりとか、ライトの位置からとか。本当に沢山こだわりがあられたみたいですからね。
坂口:あのスピーカーはアルテックのボイス・オブ・ザ・シアターという名作と言われるスピーカーなんですよ。今はもっと小っちゃくて用途によっては性能の良いものってありますけど、もうああいうのは作れないですよね。
米澤:今後このプロジェクトが目指すものというのをそれぞれお伺いしたいと思います。まずは森田さんから。
森田:僕は、この<門>のプロジェクト、クラウドファンディングを通じて、ジャズがより広がりのある、みんなが楽しめるコンテンツになることを夢見ています。それは先日鹿児島市内の天文館公園でありました「鹿児島ジャズフェスティバル」と同様ですね。ジャズという音楽が鹿児島をより豊かに暮らすための一つのコンテンツになっていく夢のある可能性を多分に含んでいるものじゃないかなと。この<門>のクラウドファンディングを通じて、誰でも自由に「<門>」のアナログレコードを楽しめる空間ってのがこれからも継承されていく。それを求めて全国から、世界中から鹿児島に人が集まってくるっていうようなカタチに展開していけばいいなと思います。
米澤:では坂口さん。
坂口:アナログのレコードって、やっぱり(ジャケットのビジュアルも含めて)モノとしての魅力ってのがすごくあるんですよね。で、それが4,000枚っていうボリュームのライブラリーになると、そこから広がる世界ってスゴいあると思う。古いモノなんだけどそこに未来を感じます。“懐かしい未来”みたいなものが鹿児島にあって、それを若い子とかこれから音楽に興味持つ子ども達がそれに触れて、そこからまた何か新しい音楽とか新しい活動とかが生まれてくるとすごく嬉しい。未来に向けてそれが鹿児島であったら素敵だなあと。古いものだからって簡単に捨てるんじゃなくて、新しい可能性をそこに見出して使っていくっていう文化が出来たらいいなと思います。