想田和弘監督から応援コメントが届きました!
vol. 27 2020-05-06 0
『精神0』『港町』『演劇1』『演劇2』の想田和弘監督から、「ミニシアター・エイド基金」への応援コメントが届きました。
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あの傑作を観たあの映画館もこの映画館も、このままではみーんな潰れてしまう!平時の単なる経営難なら経営努力をすれば良いという話なのかもしれないが、今回はウイルスが相手なので「映画館に来てね!」と積極的に誘うことすらためらわれてしまうというジレンマがある。そして行政はあいかわらず動こうとしない。であるならば、「映画館がなくなっちゃったら嫌だ」というみんなでお金を出し合って支えるしかないではないか!
想田和弘(映画作家)
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想田監督の最新作『精神0』は、「仮設の映画館」でのオンライン配信上映が始まっています。想田監督は公式サイトに寄せたメッセージでこのように「仮設の映画館」を「設営」した理由を語っています。
「もちろん、このような方策に舵を切ることに、映画作家としてためらいもありました。それは配給会社や映画館も同じ気持ちです。僕らは常に映画館で観てもらうためにこそ、映画を作ったり届けたりしてきましたから。本来ならば、満員の映画館でワイワイガヤガヤ、『精神0』を観ていただきたいのです。
しかし現在は非常時です。人が集まることや、公共交通機関で移動すること自体が感染拡大リスクを高めると言われている今、そして観客の皆さんが実際に劇場に来にくくなっている今、緊急避難としての代替方法も考えなければなりません。ここはインターネットを最大限に活用し、しのぐしかないのだと覚悟しています。
(中略)
いずれにせよ、これは劇場、配給、製作、そして観客という「映画のエコシステム」を守るための苦肉の策です。ぜひとも趣旨をご理解いただき、積極的にご参加・拡散いただけると幸いです。」
「観察映画」作家として、ナレーション・字幕・音楽無しでドキュメンタリー映画を作り続けてきた想田和弘監督。「観察映画」は観客の主体性を問う映画でもあります。漫然と見ていれば取り逃してしまう細部の数々も、映画館環境の与える集中力を得ればきらめき、観客もまた「観察」の境地にいざなわれます。観察映画に対して必要不可欠とも思われる映画館環境をともなわない「オンライン配信」を決断した想田監督はそれを「苦肉の策」と表しました。しかし、それをしなければならないほど現状は急を要しているのだ、ということです。
「仮設の映画館」は非常に優れた緊急支援策です。それは、想田監督も語られる通り、それが劇場-配給-製作者という映画のエコシステム全体を守る可能性のある方策だからです。この機会に是非、お訪ねいただけたらと思います。
・予告編『精神0』
現状への「緊急事態」としての認識は当然、ミニシアター・エイド基金の活動とも重なるところがあります。想田和弘監督は極めて貴重な、ご自身の劇映画(!)『ザ・フリッカー』('97)『花と女』('96)『ニューヨークの夜』('95)を当基金への応援リターン特典「サンクス・シアター」へとご提供いただきました。
「未来チケットコース」をご選択いただくと、サンクス・シアターの視聴も可能となります。未来チケットもまた、特定映画館を支援し、またゆくゆくは配給へと分配される支援となります。
様々な活動があり、そのどれも「映画館」ひいては「映画のエコシステム(生態系)」全体を守る意図を通じてつながっています。もし、皆さんの中に映画文化を守りたいというお気持ちのある場合、その具体的支援の選択肢として、「ミニシアター・エイド基金」や「仮設の映画館」を加えていただけたらと思います。
「ミニシアター・エイド基金」のクラウドファンディング期間は、本日含めて後9日です。皆さんの生活に支障のない範囲で、ご協力をよろしくお願い致します!
想田和弘プロフィール
映画作家。ベルリン国際映画祭エキュメニカル賞受賞最新作『精神0』が、5月2日から「仮設の映画館」で全国配信・全国順次劇場公開。1970年栃木県足利市生まれ。93年からニューヨーク在住。映画作家。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。
監督作品に『選挙』(07)、『精神』(08)、『Peace』(10)、『演劇1』(12)、『演劇2』(12)、『選挙2』(13)、『牡蠣工場』(15)、『港町』(18)、『ザ・ビッグハウス』などがあり、国際映画祭などでの受賞多数。