映画監督で写真家の枝優花さんから応援コメントが届きました!
vol. 21 2020-05-03 0
『少女邂逅』『21世紀の女の子』の映画監督・枝優花さんより、応援コメントが届きました!
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初めまして
監督をしている枝優花と申します。
2018年に『少女邂逅』という映画の監督をし、多くのミニシアターさんで劇場公開していただきました。
ミニシアターさんには本当にお世話になり、今回のコロナの影響を受け、何かできることはないかと思いSAVE the CINEMAとして動いておりました。
改めてまして。
この度、ミニシアターエイドにご支援いただき本当にありがとうございます。
想像を超えるたくさんの方々が「映画館の力になりたい」と思ってくださっている事実に、もはや動揺しております。毎晩若手監督たちと支援者数を見返し、その度に我々のグループラインは感謝の言葉で溢れかえっております。ありがたいね、頑張ろうね、嬉しいねって。
本当に感謝しております。
さて。
皆さんにとって映画館はどんな場所ですか?
…デートスポット?
仕事終わりにふらっと寄る至福の場所
はたまた、1人になりたくて駆け込むオアシス
それとも月に1度のご褒美…?
いろんな人がいますよね。
ちなみに私は人生のオアシスです(広義だなァ)。
そうそう。
2月に、新宿の某ミニシアターである映画を観たのですが
隣のスーツのおじさんが大号泣。
もうグッチャグチャの嗚咽。
でも、もう一方の隣の学生らしき男の子は寝ていたんですよね。
エンドロールになって目が覚めて。爆睡。いやあ、君よく寝たね。
まあ映画と人生は、出会うべきタイミングというのが必ずあって。
そんな誰かの人生の必然が、映画館には詰まっているんだな…としみじみ。
そんなこんなで映画は終わり、劇場が明るくなる。
そうすると、皆さっさと立ち上がって何事もなかったかのように映画館を出る。
いや!さっきまで一緒に笑ったり泣いたりしてたじゃ〜ん!うそん。
本当、「や、他人ですよ」って雰囲気がこんなにも際立つ瞬間ある?というほど。
でね、こういうのがいいな〜と思うわけです。
知らん人たちが一緒に同じ光を見つめる瞬間、心が繋がるあの時間は、暗闇の時だけ。
今は有難いことに、家で映画を観られるようになって、便利&救われてる部分も多いですよな。
文明の発達よ、ありがとう。
あんたたちのおかげで、なんとか家で日々を過ごせているよ…
と言いつつ。
やっぱりどこか虚しい。消費している感覚は拭えない。
スマホ、いじっちゃうよね。電話きたら止めるし。それに巻き戻せるし。
そして、誰かの人生と映画が交わる瞬間に立ち会う奇跡はないんですね。自分を含め。
真っ暗のなか、煌く光を皆で見つめる時間はやっぱり特別。
好きな子と観に行ったら案外席が近くて緊張しすぎて、内容全く覚えてないとか。
ポップコーン、序盤で食べすぎて後半眠くなっちゃったり。
え〜隣の人貧乏ゆすり最悪や…超席かえたい…とか。
もうびっくりするぐらい涙がとまらんくて、声を抑えるのに必死だったり。
エンドロールが終わって、明るくなったのに映画の衝撃で席を立てなかったり。
同じタイミングで知らない人たちと一緒に笑って、泣いて、息を飲んで。
良いも悪いも、そういうの全てひっくるめて体験。
嘘のない特別な時間が映画館には詰まってる。
…と思ってる。
そんな場所を失うのって、私は結構しんどい。作り手ということを抜いても。
もしも。
もしも、皆さんが私と同じように思ってくださって、今回このムーブに乗ってくれているのなら
それはこれからの映画の未来、結構明るいじゃんと思うわけです。
いや、色々大変なことだらけだし!映画館どころか配給も現場もしんどいのは事実で。というか日本中が悲鳴を上げているわけですが…!お肉券とかあったね!もう既に懐かしいし、それも可愛く思えるレベルだな!
おっと。話が逸れた。
と…とてもとても長くなってしまいましたが。
きっと今までのままではいられないし、これから新しい可能性や未来を見据えて動いていかないといけないのだと感じていて。
SAVE the CINEMAもそうで。
今回のミニシアターエイドは短期的集中、目の前の救済でした。
だけども、これからの映画や文化、そしてそれに携わり救われてきた人たちが希望を失わないために、長期的にこの先を見据える活動をしていかなければならないと我々は考えています。
それについては今後ホームページでお知らせしていくのでぜひチェックしてくださいな。
早く劇場で、スクリーンで、映画を観たいですね。
長くなりました。
それでは。
枝優花(映画監督・写真家)
とても説得力ある身近な言葉で映画体験のかけがえのなさを枝さんは綴って下さいました。
「真っ暗のなか、煌く光を皆で見つめる時間はやっぱり特別。」
映画館の暗闇を失わないために!「ミニシアター・エイド基金」、そして全国のミニシアターへ、皆さんの生活に支障のない範囲でのご協力を賜れたらと思います。よろしくお願い致します!
枝優花 プロフィール
1994年生まれ。映画監督・写真家。
初長編映画『少女邂逅』が新宿武蔵野館を始め全国公開し2ヶ月のロングランヒットを記録。香港国際映画祭や上海国際映画祭に招待。バルセロナアジア映画祭では最優秀監督賞を受賞。2019年日本映画批評家大賞にて、新人監督賞を受賞。またSTU48やindigolaEnd、マカロニえんぴつ、KIRINJI、などの多くのアーティスト作品を手掛ける。そのほか、山戶結希監督企画の映画『21世紀の女の子』に参加。2020年は、TOKYO MX にてオリジナルドラマ『スイーツ食って何が悪い!』が放送。その他、雑誌『ViVi』『装苑』などでのファッションや広告撮影、コラム「主人公になれない私たちへ」を連載など、その活動は多岐に渡る。