(こぼれ話)ドタバタかつトホホでヘロヘロのクラウドファンディング・後編
vol. 18 2021-03-04 0
(後編・はじめ)
今年(2021年)に入ってからは、とにかくクラウドファンディング立ち上げを進め、1月25日にようやくリリースしました。その一方で、今年は1月24日より種子島へ入り、西之表市の選挙の様子を取材・撮影していました。そして、31日の投開票日を迎え、144票という僅差ながら、基地化反対派の現職が当選したのです。その差は僅かなれど、自民党の圧倒的な支援を受け、人海戦術的な運動を展開した基地化容認の新人を、市民が選ばなかったという結論が意味するところは、非常に大きいと感じます。その後は、ボーリング調査差し止めを求めて訴訟を起こした漁師さんたちの、裁判の証拠資料となる動画の撮影と編集に丸2日間を擁しています。2月4日には、フリージャーナリストの西谷文和さん(YouTube「路上のラジオ」主催)という方と共に、馬毛島を撮影いたしました。この13日間は、経費削減とコロナ感染対策を目的に、車中泊のキャンプに近い状態でやり過ごしています。これが、かなり疲れるんですよね。うちの奥さんと2人して、最後はヘロヘロ状態でした。
2月5日に屋久島へ帰り、撮影や車中泊用の道具の片付けや衣類の洗濯、データの整理、お礼の返信などを行いました。7日からは請けているメーター検針業務を行い、その後は短期バイトで、お知らせ文書の封筒詰め作業を行っております。昔の内職みたいな地味な作業なのですが、こんなバイトの給料を元に、何とか撮影を続けている次第です。
2月20日の土曜日には、東京新聞に私たちの映画作りに関する記事が掲載されたようです。前日に、1時間半に渡る電話インタビューを受けていたのですが、まだどんな記事が出たのかわからないうちに、別の報道陣関係者から情報をいただき、大変に驚いた次第です。ありがたいことに、随分と大きく取り上げていただいたようです。
この情報、実は種子島の西之表でいただきました。市民間で行われる、馬毛島基地化に関する賛否の討論会が開催されることから、またもや種子島へ駆けつけていたのです。コロナ対策の為、会場への立ち入りには人数制限がありますが、幸いなことに主催者から撮影の許可がおりました。基地化に賛成する方が3人、中立が2人、反対が3人というパネリスト構成で、司会進行係(中立)が議事を進める形態です。討論会では、賛成派に対する質問が集中し、「(日米地位協定により日本の法律が適用されない問題については、)防衛省が話せないなら自治体が直接米軍と交渉(して規則を守って貰うように)すべき。」「(沖縄等で多発する、米軍による事故や事件への懸念については、)そんなことが起きるのかどうか判らないのに、心配する方がおかしい。仮定の話には答えられない。」「(交付金による箱物等の建設後は、自治体が維持費等を負担せねばならず、財政がひっ迫している問題に対し、)10年を迎えて交付金が切れた後は、次の世代が考えれば良い。」などの回答が述べられます。反対派は、事実誤認や無責任、勉強不足を指摘しました。私自身も中立の目で向き合おうとしましたが、賛成派側の理論そのものが破綻しているように捉えられ、どう見ても賛同はできかねます。ただ、分断ばかりが進む中にあって、このような議論を通じ、何とかして溝を埋めようとする試みは、大変に重要であると感じました。
翌21日には、別の新聞社からの取材を5時間半に渡って受けました。これが記事になることを、心より祈ります。今回は短期バイトの続きがあるので、1泊2日の日程しか取れず、翌日の夕方には屋久島へとんぼ返りでした。1度行ったからには、ある程度長く滞在し、より多くの撮影を行いたいところですが、懐事情を考えると仕方ありません。
22日以降は、再び封入詰めのバイトをこなし、25日と26日はシカの密度推移に関するボランティア調査がありました。27日には、ようやく仕事が切れるのですが、昼間に地元有志らによる島の将来を考える旨の集会に出席し、馬毛島問題に触れることになります。同日の夕方からは、馬毛島問題に関わる弁護士団会議にリモートで参加し、今後の撮影依頼やスケジュール調整などついて話し合いました。疲労が蓄積され、ちょっとふらついているのですが、支援をいただいた方々へのお礼メールなどをこなしますので、その後も1日中パソコンの前に座りっぱなしでしょう。いずれにせよ、地域経済問題を扱うシンポジウムと環境アセスメントに関する勉強会、マゲシカ調査開催への働き掛け、研究者らとの話し合い、アセスに関する防衛省からの説明会が計画されているので、遅くとも3月の6日からは種子島入りします。その後は、屋久島町議会への働き掛けがありますので、またしばらくは休めないでしょう。
種子島西之表市の状況については、市民の分断により大変なことになっていると言えます。毎回、悪化の道を辿っていると言えるでしょう。元々、非常に仲の良い人々であっただけに、大変残念に思います。思うに、これは沖縄の人々が歩んで来た道ですよね。ギリギリではあるものの、基地化反対派の八板市長が、馬毛島基地化容認の新人を破って再選したことは、反対派にとって大きな救いでしょう。議員の方は賛否半々に割れましたので、今後はやりづらくなるでしょう。
私たち夫婦にできることは、でき得る限り撮影を続け、なるべく多くの方々に現状を知らせることではないかと考えております。人々と共に、この問題に向き合えたなら、何かしらの改善や進展に繋がるかも知れません。可能性を否定できない限り、望みを捨てたくはないと存じます。
(後編おわり。)