【ルンタWEB通信 No.001】「3月10日はチベットへの祈りの日」
vol. 1 2018-03-10 0
3月10日はチベットへの祈りの日 〜 ルンタプロジェクト代表 中原一博 〜
3月10日はチベットにとって特別な祈りの日だ。59年前の今日、軍事占領を始めた中国に、チベット民衆が一斉に立ち上がり、聖都ラサで蜂起した。しかし大勢が銃弾に倒れ、ダライ・ラマ14世はポタラ宮殿を抜け出してインドへ亡命。仏の国は奪われ、毛沢東の肖像が飾られた。
それから半世紀が過ぎた10年前の3月10日。北京オリンピック開催を控え、世界にチベットの苦境を訴えるために、僧侶を始め民衆が死を覚悟で立ち上がった。そしてまた多くの血が流された。
亡命したチベット人たちとダラムサラで長年暮らしていた私は、拷問被害者でもある元政治犯たちを支援するためにルンタプロジェクトを立ち上げた。彼らの生活と教育を支援し、チベットの現状を知らせ、政治犯の解放を訴えること、それが当時の私にできる精一杯のことだった。逮捕や拷問、抑圧された生活の話を聞くたびに、苦しみの総量を思って胸が潰れた。
今もチベットでは、焼身抗議という実に悲しい手段、そして残された最後の手段で、抵抗を続けている。私はチベットから『慈悲』と『智慧』の教えを習った。それは私の宝だと思っている。
そして3年前に、ネパール大地震を受け、村が巨大雪崩により壊滅したランタン谷に向かった。チベット系民族が暮らす美しい村々があったが、被災で死の谷と化していた。ランタン谷の緊急支援をしている時に知ったのが、震災後も毎年多くの少女たちが、貧しさゆえに売られる過酷な現実だった。これまで30年以上、チベット支援に関わってきたが、少女たちのことを想うと、国や民族を超えて支援が必要であり、ネパール支援を始めるのに躊躇はなかった。
インドの娼婦街に売られたネパールの少女を救出し、自立を支援する。アンダーグラウンドの世界はマフィアが力で統括し、警察さえなかなか手を出せない。非常に難しい仕事だ。救出だけでなく、HIV/AIDSに感染、発症させられた被害者の女性と子供の施設を作ろうと、今は奔走している。チベットやネパールという枠をこえ、命を救うことが私の目的になった。
クラウドファンディングで多くの人が支援をしてくださると同時に、励ましや応援の声などあたたかいメッセージを送っていただいた。仏教が説く『慈悲』と『智慧』、その心が広まることで世界はより良くなるはずだと私は信じている。
●2018年3月8日 カトマンズより
スタディーツアーの方々が施設を訪問してくださったという報告です。この7人のグループは広島の浄土真宗本願寺派僧侶の方々の組織であるDIC(ダーナインターナショナル)と西本願寺を母体とする国際協力NGOであるJIPPO(十方)さんの合同グループです。
昨日はDIC/JIPPOスタディーグループの方々がシャクティミランサマージュが運営し、ルンタプロジェクトが支援するHIV/AIDS女性と子供のためのシェルターホームを訪問してくださいました。
子供たちの踊りが披露されたのちツアーの方々も一緒に踊るという場面もありました。今ルンタが進めている女性たちによる手紡ぎの実演もみんなの前で披露されました。
そして、夕方からは施設の人たちを外に連れ出し、タメール地区の大きなレストランで食事をしたのでした。
私は最近、ふと「施設の人たちはきっと一度も普通の人のように外出して遊び、外のレストランで食事をしたことはないのかもしれない?そうだ、こんど一度みんなを動物園に連れて行き、その後いいレストランでみんなで食事しよう」と思いました。
そこにちょうどやさしいツアーの方々が来られたので、皆さんに提案すると、「それはすごくいい、喜んで招待しましょう」ということになったのだった。
みんなに「こんなレストランで食事したことある?」と聞くと、全員が「生まれて初めて!すごく楽しい!」と言ってくれた。これまでは怖くて外で食事できなかったという人もいた。
彼女たちにとっては一緒に食事したり、触れ合ったりすることを普通の人はしてくれないので、このように普通に一緒に食事してくれる人がいるだけで嬉しいのかもしれない。
創始者のゴマ女史は嬉しさのあまり最後に日本人全員と強くハグし合っておられた。
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