ビデオブログを考える。(10) - サウンドトラックの選択
vol. 13 2014-06-09 0
ルミナスダイアリーという完全オリジナル作品をいざ作ろうと決めた時、真っ先に欲しいと思ったのが撮影機材よりも何よりも『オリジナルサウンドトラック』の存在だった。
自分の作品に自分だけの音楽。それは何よりも動画やチャンネル自体のブランド価値をより際立たせることにも役立つし、何よりもコピーライト関連で悩まされる数を減らしていくことができる。
元々音楽を学んでいた身としては、何らかの形で自分の音楽を使いたい。そう考えたBreakthrough_ace.輝鳴は、ルミナスダイアリー開始から少しずつオリジナルのBGMを制作し続け、現在では外部BGM素材に頼ることなく音声データを編集していくことができるようになった。もちろん、YouTubeが提供するロイヤリティフリー素材も使っていない。
●『ミレーニアのミレニアムシンフォニー -Luminous Diary Original Soundtracks2』ジャケット
作品ブランドを出すためには、やはりそのシリーズの『メインテーマ』が必要だと本能のようなもので感じていたため、シーズン1の時点で真っ先に作ったのはメインテーマの骨組みだった。
自分の技量的なものもあったが、あまりポップスやバンド寄りな構成のBGMではなく、シンプルで人の声があまり入らないシーンの多いこの作品の"環境音"に合致する、静か目ではあるけどしっかりとした音楽。最初に思いついたのは、リコーダーとピアノのアンサンブルを中心としたサウンドトラックであった。
当時の活動規模を想定すると、このリコーダーというのがルミ達の私生活の片鱗を上手く表現しているようにも感じ、ドラム・ベース・ギターの3ピース構成と比べるとコンテンツがより堅実で方針のブレを感じさせない盤石なものへと成長させていった。
ここで制作したオリジナルサウンドトラック『楢崎留美のルミナスミュージカ』は、当時のコミックマーケット81にて同人作品として頒布し、作品制作とリリース、そして品物の製造に関わる知識を身につけると共に、更に増やしていくであろう次回作への意欲も得ることができたのだ。
●第114回より コミックマーケット83におけるルミナスタジオのスペース
2周年を迎えるシーズン5からは印象を大きく変えていくことを決めていた。最初のサウンドトラックの成果は、頒布枚数はともかく大きな経験の一つとなっていた。
専門学校時代から、Breakthrough_ace.輝鳴はオーケストラルな作風を好む傾向にあった。しかし技量はその好みに追いつかず、同期生の中ではかなり遅れを取っていることを自覚もしていた。
シーズン5に向けてサウンドトラックの第二弾を作ることを決めたとき、その遅れを取り戻さんとする勢いで、サクサクと作品は出来上がっていった。奏法の違いを含めた数十トラックものフルオーケストラ構成を想定した"打ち込み"によるメインテーマに、より特定のシーンに特化したピアノソロやアンサンブル曲など、頻度に違いはあれど選択に困らないほどのオリジナルBGMを用意することに成功したのだ。
自分の動画のブランド力を強くしていくためには、自分がどういったシリーズとしてのビジョンを持っているかに懸かっているのも、このサウンドトラック制作を通して実感することができた。
誰かの用意したテンプレートやフリー素材をそのまま流用するだけでは、恐らくチャンネルブランド力の向上は殆ど見込めない。もしその素材が加工可能のライセンス契約であるのなら、それを自分のチャンネルに合ったものへ加工するなど、一手間を掛けてみるだけでも独自性という効果を与えることができる。それだけでも、チャンネルブランド力の向上は見込めるものだ。
この段階を踏んで、オリジナル作品や素材などに着手していくことにより、途中で高い壁に阻まれ挫折するというリスクを減らすことができるはずだ。
もしかすると、この考え方はニコニコ動画時代に身に付いたステップアップの秘訣なのかもしれない。
チャンネルブランドを一夜にして劇的に向上させることはできない。
いきなり決定した目標へ挑まず、まさに"チェックポイント"を通過していくように、できることから挑んでいく事こそがチャンネルブランド力向上への王道だと、ルミナスタジオは信じている。