【監督舩橋より緊急のお知らせ】
vol. 29 2020-04-14 0
「ささいなこだわり」にご協力いただいたみなさま、
しばらくご無沙汰しておりまして、すみません!
監督の舩橋淳です。緊急事態宣言のなか、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
僕の方は自宅作業が中心でして、感染拡大阻止のための協力をできる限りやっております。
今日は、お知らせがあります。
今回のコロナ禍で多くのお店や文化施設がやむなく休業を強いられていますが、全国の小規模の映画館、ミニシアターもその一つです。
80%以上の減収、もしくは休館になっており、政府は「基本的に損失補てんはしない」という姿勢です。いま全国規模で「休業と補償はセット」という声が高まっていますね。
ミニシアターの方も、悠長なことをいっている余裕がないほど逼迫しています。
このまま行けば夏前には閉館がバタバタと続くと言われています。今回のパンデミックをなんとか乗り切ったときには、焼け野原になっているかもしれない。
そんな危機感から、僕を含む多くの映画関係者が立ち上がりました。
以下の署名サイトに協力してください。
今日14日の夜24時までで一旦〆切、それを明日政府(内閣府、経産省、文化庁など)に提出します。その後記者会見も行います。
★SAVE the CINEMA 署名、目指せ10万筆!
change.org/save_the_cinema
政府に、映画の文化を守るよう、強い要請を届けたいと思います。
よろしくおねがいします。
舩橋淳
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【追記】以下、僕がある媒体で答えた、我が国の芸術文化への公的支援と、コロナ禍での政府対応についてのインタビューです。 ご参考までに。
<舩橋監督コメント>
そもそも日本は文化予算が圧倒的に少ないです。
世界的に文化大国と言っても良いフランスや韓国は、4,238億円、2,525億円に対し、日本は1040億円です。そもそも国家の規模が各々ちがうので、国家予算に占める割合を比較すると、0.89%, 1.09%, 0.10%です。産業大国ドイツでも0.43%, 文化支援という考えが希薄なアメリカは0.04%。つまり、日本は世界的に見れば、アメリカに近い経済・産業主導型で、文化政策はとても薄弱な国と言えます。
映画に関して言うと、この薄弱さが如実に影響しており、まず映画作品が商品なのか、アートなのかという定義があやふやな状況が問題になっています。4月6日発表に文化庁が発表した「新型コロナウィルスの影響を受ける文化芸術関係者への支援」では、劇場、音楽堂、博物館が対象に含まれていますが、映画館はなぜか除外されています。映画館は「商業施設」とみなされ、経産省が出す一般中小企業への「持続化給付金」(前年比の減収分を補填、上限200万円)に応募するように、とされているのです。(4月12日時点)
しかし、200万円では全く足りません。渋谷・吉祥寺にあるミニシアターUPLINKは、家賃すら全額払えないと悲鳴を上げました。ここは経産省に加え、文化庁にも、芸術文化支援として映画館を助けていただきたいです。
ご存じの方も多いですが、文化庁は映画製作資金や上映事業への資金援助を長年継続しています。しかし、今のコロナ禍にあっては、霞が関の縦割りの影響なのか、「いつもは支援を受ける映画が、今回は除外される」というねじれ現象が起きています。
夏前には閉館に追い込まれてしまうかもしれない映画館もある状況で、今回は有志の映画人が立ち上げた団体SAVE the CINEMA は、できることを全てやろうと「ミニシアターを救え!」と声を上げています。経産省の給付金の拡大を訴えつつ、文化庁にもそもそもの芸術文化支援の在り方を問い質したいです。
映画は単なる娯楽ではなく、日本のさまざまな地域に多様な文化芸術体験を提供し、憲法の謳う「最低限度の文化的な生活」を支える重要な存在です。
ドイツの文化相は「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。」といいました。
映画は、いまの緊急時も、緊急事態の収束後の未来にも必要な、社会インフラなのです。ですから、今回休業や自粛に追い込まれた他の芸術文化施設と同様に、映画館への支援を国に求めたいです。
舩橋淳
(映画作家、「フタバから遠く離れて」「ポルトの恋人たち 時の記憶」「ささいなこだわり」)