番頭日誌 最終話「SISTER 2 BROTHER 4」
vol. 22 2023-11-12 0
夜分に恐れ入ります。
京丹後TRAILERの番頭でございます。
9月18日から始まりました、私たち京丹後TRAILERのクラウドファンディング企画も、昨日(もう一昨日か)11月10日をもちまして全54日間の挑戦を終了いたしました。
最終的な結果のご報告をさせていただきます。
延べ【217名】のコレクター様からいただきました、最終的なご支援額【¥2,671,000】。
目標達成率【333%】。
本当にありがとうございました。
感謝の言葉はシンプルですが、もう、これに尽きます。
本当に、本当にありがとうございました。
いただきましたご支援のお気持ちを、私たちはひとつずつ覚悟に変換させていただき、ここから進んでいきたいと思います。
ライブハウスをつくること、遊び場をつくること、私たちはその道のプロではありません。
むしろ、素人です。何もわかりません。
全てが手探りの、手作りで、ここから始めていきます。
ですので、私たちは、友達が欲しかったのです。
仲間が、先輩が、後輩が、いっしょに遊んでくれる人たちに出会いたかったのです。
そして、クラウドファンディングに挑戦させていただきました。
皆さまにお会いできたことが、私たちにとって、この挑戦からいただいた最大の財産です。
そして、多くのご支援額を頂戴し、本当にありがとうございました。
しっかりと、この施設の運営に反映させていただきます。
より良い場所にすることに使わせていただきます。
そうやって皆さまにお返しできたらと、スタッフ一同で話し合っております。
「こんなふうに使ってみたい」
「こんなふうにしてみてはどうか」
ぜひ、ご遠慮なくいつでもお声がけくださいませ。
もちろん、至らない点も多々あるかと思います。
お気づきの点がございましたら、ぜひご指摘くださいませ。
そして、万が一、目に余ることがあった場合、また、私たちが同じ失敗を繰り返すようなことがあった場合は、ご遠慮なくお叱りくださいますようお願い申し上げます。
もちろん、そのようなことがないよう努力してまいりますが、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
皆さまといっしょに、おもしろい場所をつくっていけるような運営を心がけたいと思います。
さて、いよいよ番頭日誌も終わりに近づいてきました。
終わらせねば、なりません。
毎度、このような拙い、打ちっ放しの駄稿にお付き合いをいただき、ありがとうざいました。
その都度、話の内容にまつわるものだったり、思い出すものだったり、そこに込められたメッセージに私が同調していったり、私が人生の中で聴いてきた曲のタイトルを番頭日誌に拝借してまいりました。
今は、サブスクやYouTubeなどで検索したら、何かしら引っかかることと思います。(未検証)
しかし、今回の最終話のタイトルは、恐らくどこを検索しても、何も引っかかりません。
これは、親友のラッパーが、私たち夫婦の結婚に贈ってくれた曲のタイトルなのです。
私の妻は、その親友のラッパーと「BRANASTA」というユニットを組むシンガーでした。
別に有名でも、売れているわけでもなく、地元のクラブのパーティーに出演したり、友達とのパーティーに出演したり、自主制作で音源をつくったりしていました。
私は、BRANASTAの「RING」という曲を初めて聴いたとき、とても心に沁みたのを今でも憶えています。
彼にも、妻にも、私は大阪時代に勤務していたコールセンターの会社で出会いました。
彼は、めちゃくちゃ生意気でしたが(今もですが)、芯があり、独自の価値観をブレずに持っているタイプの男でした。
よくケンカもしました。
お互い譲れない部分があると、まずはそこをぶつけないと、分かり合えないところが私たちにはありました。
彼が会社を辞める際、彼の送別会のはずなのに、私が議論をふっかけてしまい、彼がキレて帰ってしまう、そんなこともありました。
だけど、なぜ今でも親友なのか。
私たちは、一夜明けて頭を冷やすと、お互いにごめんなさいが言える関係性だったからです。
ごめんが言い合えると、何だか一気に楽になります。
あのとき、お互いに自分に足りていなかった部分をちゃんと説明し、笑いに変換し、交換し合うことができました。
そんなことを経て、経て、気がつけば私は、彼のことを親友だと言える仲になっていました。
3日前も、ある企画で、彼と会っていました。
しかし、ほんの少しのボタンの掛け違いにより、私たちは数年ぶりにバチバチに衝突してしまいました。
いい歳して、まだそんなことをやらかしてしまうのか!なんと阿呆らしい!というくらいにです。
その日は決別して別れました。
しかし、翌日には、お互いごめんなさいを言っていました。ワハハ。
テキストのやりとりで、ですが、私たちにはそのほうが合っています。
文章を打ちながら、自分と会話して言葉を選んでいくのです。
そして、もう今日には笑い話に変換してしまいました。
そうなら、最初からケンカするなよ!いうはなしなのですが。
毎回、こうやって、やっぱり私たちは阿呆らしい、ということを再確認するのです。
私も、彼も、とても偏った人間です。
バランスが取れているタイプの人間では全くないように思います。
その偏りを、今まで何度もぶつけ合っては確認し、自分を知り、彼を知りました。
その過程で、気がつけば彼と親友になっていました。
そんな彼が、2013年、私たちの結婚式の2次会で贈ってくれた曲のタイトルが「SISTER 2 BROTHER 4」です。
そもそも、彼は結婚式と披露宴には来てくれていましたが、2次会には来ていませんでした。
2次会の司会をしてくれていたピーちゃんから、サプライズでその発表を受けました。
彼から曲を預かっていると。
曲のイントロが流れたとき、私は震えました。
その旋律は、ゲンが作曲してくれた「ラジオ蟹式」のテーマ曲のサンプリングだったのです。
1バース目は妻に、2バース目は私に、韻固く、義理堅く、ラップでメッセージを送ってくれました。
私に向けてくれたバースは、「拝啓 ブラザー」というリリックから始まりました。
そして、その曲のなかで、彼が、地元に帰ることを決めていた私に語ってくれた部分の数行が、今でも私の生きる指針だったりするのです。
方角はLOCAL そこで合わすFOCUS
到達点は儲かるだけじゃなく豊作
TAKE2はやってこない 1発録りのMIX TAPE
日が暮れる前に MIRACLEをMAKE
敬具
SNSがこれだけ普及し、誰もが発信者となりました。
SNSという場所で自分語りが上手な方々を、私はとても尊敬します。
お前もいま語っているではないか!とのご指摘を受けるかもしれませんが、私は普段からそうはなれません。
この番頭日誌は、以前にお話させていただきました通り、この企画の大義にたどり着くための「ハイまず私から」であり、そのために覚悟を決めて振り絞って書いてみただけなのです。(しんどかったです、ワハハ)
そんな社会のなかで、私は、不特定多数に向けて発信される物語もいいですが、どこにもシェアされないような小さな物語のほうにも、とても興味があります。
例えば食堂で、喫茶店で、酒場で、休憩室で、喫煙所で(私は禁煙しましたが)、移動中の車内で、厨房で、ライブハウスで、面と向かって特定の誰かの間で共有される小さな物語に、どんどん出会いたいと思います。
京丹後TRAILERでも、あなたのそんな話、どんどん聞かせていただけましたら、とても嬉しいです。
そんな話に腹抱えて笑ったりしながら、私たちといっしょに遊んでください。
ですが、私はもういい歳ですので、やるべきことをちゃんとやってから、TRAILERでの遊びに参加したいと思っています。
ウチの子どもたちも、小学校から、保育園から帰ってきたら「外で遊ぶー!!」と言います。
ですが、私は「ちゃんと、やることやってからね!」と返します。
大人が子どもに向かってそう言うのですから、大人も当然そうあらないといけないと思います。
返してない連絡はないかな。
守れてない約束はないかな。
お礼を言い忘れていることはないかな。
謝らないといけないことはないかな。
投票は済ませたっけな。
手続きは済ませたっけな。
もっと出来ることはないかな。
常に自分に確認していたいと思います。
Xを開くと、私のタイムラインには、目を背けたくなるような映像や写真が、世界のあちこちから届くことがあります。
音楽で遊べるということ、そんな場所があるということは、とても特別で有り難いことだと思います。
そんな世界を未来に繋げることは、私たち大人の義務であり、責任だと思います。
未来の世代に遊び場を残してあげられるよう、私たち今を生きる大人が、しっかりやるべきことをやっていく必要があると思います。
音楽で遊べる現在や未来が、当たり前だとは思わないでおこうと思っています。
まさかはまさかでなかった、当たり前は当たり前ではなかったということを私はあのとき学びました。
各々、やるべきことをぬかりなく終わらせてから、集まりましょう。
そのほうが私は遊びやすいです。
さて、アナウンスがありましたが、12月2日(土)にオープニングイベントを行います。
しかも、入場無料です。
ぜひ遊びに来てください。
皆さまへの感謝の気持ちを込めて、いい日になるよう準備を進めていきたいと思います。
楽しい音楽時間を送れますよう、私たちもしっかり準備していきたいと思います。
京丹後TRAILERの会場内、ズレた眼鏡で、いちばんややこしそうな顔をしたハゲのおっさんがいたら、それがたぶん私です。
「おい番頭!」と、気軽に声をおかけください。
(気軽に声をかけにくいタイプだとはよく言われますが、自認はしておりません。)
それでは、いよいよ、この番頭日誌を終わらせます。
期間中、お付き合いいただきました皆さま、ありがとうございました。
(誰も読んでいなかったかもしれませんが)
毎度、お目汚しを失礼いたしました。
次は、会場で会いましょう。
よろしくお願いいたします。
京丹後TRAILER
番頭