住民訴訟・クスノキ伐採差止め訴訟 第 2 回口頭弁論が行われました
vol. 6 2021-09-26 0
(「 相原高校のシンボルツリー・クスノキを守ろう! クスノキ訴訟だよりNO.4 」2021年9月26日発行から裁判の報告です)
8 月 25 日(水)横浜地裁 傍聴者原告側:市民など 12 名 被告側:県・市関係者 5 名
今回は意見陳述はなく、裁判は書類上のやり取りと次回の日程調整のみでした。県・市の準備書面(答弁書)や証拠等と、原告の準備書面(反論)が出されました。
(1) 第 3 号「橋本駅前クスノキ保全管理費返還請求事件」(県被告の住民訴訟)
〈被告の答弁〉リニア中央新幹線県内駅整備促進事業費はリニア整備に執行し、クスノキ保全は含まれず。支出から 1 年経過分は時効。クスノキは市が不要と言っているので保全放棄には当たらず。
(2)第 31 号「橋本駅前クスノキ伐採差止め請求事件」(県被告の差止め訴訟)
〈被告の答弁〉原告には原告適格無し:原告 2 名の自宅からはクスノキを目視できず原告適格は無し。 (徒歩圏で日々橋本駅前を利用する原告に適格無し?)
クスノキの景観はなくなっている:フェンスで外からあまり見えないから。(フェンスを設置したのは被告なのに?)
(3) 第 8 号「橋本駅前クスノキ健康管理費返還請求事件」(市被告の住民訴訟)
〈被告の答弁〉支出から 1 年以上経過で時効。県の依頼で 2019 年に樹木診断し、治療等しなかったのも県。 診断結果が成果物としてあり損害は発生せず。
〈原告の反論〉樹木診断は保存樹木の保全管理が目的。市は診断結果を受けて県を指導するべき。
■報 告 集 会 (於•波止場会館)■
★山下弁護士から裁判内容の解説があった。
★参加者からの意見
・相模原市長は「橋本を下りたくなる駅に」と言うが、駅前に緑がなくては下りたくない。
・他市に住んでいる卒業生だが、学校の歴史や市の広域交流拠点整備計画も知る必要がある。
・この会場「波止場会館」から見る横浜港の景観も、選挙でカジノがなくなって残った。
・被告(県)が周りの木を伐っておいて「クスノキしかないから景観がない」とは筋が通らず。 ・原告が挙げた数々の緑の条例は「景観そのものを書いておらず条例違反に当たらず」との答弁は、被告自ら条例を侮辱している。
■次回口頭弁論のお知らせ■
第 1 回国家賠償請求訴訟と第 3 回住民訴訟(市が被告)の口頭弁論
10月13日(水)11:00〜 横浜地方裁判所502号法廷 ※国賠訴訟は原告 3 人の意見陳述があります。終了後に報告集会を予定。
第 3 回住民訴訟(県が被告)とクスノキ伐採差止め訴訟の口頭弁論
11月10日(水)14:00〜 横浜地方裁判所502号法廷 ※終了後に報告集会を予定。
みなさん傍聴よろしくお願いします。コロナ感染症予防をしてお出かけください。
◆傍聴記「100 年クスノキ残そう! 裁判傍聴して思うこと」
8 月 25 日、横浜地方裁判所で第 2 回住民訴訟、クスノキ伐採差止め訴訟が行われた。リニア駅はアリオ 側一部、元相原高校にあった多くの木は切られてしまった。残る 100 年になるクスノキを切らないでほしいとの思いで傍聴した。口頭陳述が聞けると思ったが、書類のやり取りだけで裁判がこれからどう進むのか先が見えない。
私が住んでいた西橋本に桜並木があり、その隣には元国鉄工機部グランドがあった。何もない所でしたが、 子ども達や地域の人達の楽しい場所でした。2002 年、土地区画整理事業の為、グランドが無くなると知った。
ある議員から公園の計画があることを聞いて、地域の人達と“こんな公園つくろう会”を発足させた。 市の設計図は殺風景なものだった。庭デザイナーの参加もあり、私たちが作った設計図と要望書を提出し、市公園課と何回も懇談した。公園に隣接するオラリオン M.S からのビル風を防ぐ為に高木を植える。維持費がかかるという芝生広場は夏の照り返しを和らげる。
土系の道路等、ある程度の要望が実現した。2005 年橋本公園が開園した。 シンボルツリーはずっとそこにあったしいの木だ。O さんは市のまちづくりはビル群で緑がないという。県も市も SDGs、温暖化を防ぐにはまず、クスノキ伐採は 止めるべき。橋本駅前のまちづくりシンボルツリーはクスノキでいいと思う。(緑区 末永順子)
◆寄稿「鞆の浦景観訴訟に見る日常の風景の大切さ」
広島県福山市にある景勝地、鞆の浦を埋め立てて長さ約 180 メートルの橋を架ける計画を県が表明したの は、1983 年 12 月のことでした。県道のバイパスとして、湾の 4.6 ヘクタールを埋め立て橋を架けるという計画が 持ち上がったのです。「鞆の浦は美しい日本の歴史的風土 100 選にも選ばれている。日常になじんだ素晴らしい海岸の景色を破壊するのは許せない」として、地元の住民が立ち上がりました。
架橋計画にからむ埋め立て免許の取り消しを求めて、2007 年 4 月広島県を相手に提訴。裁判の中で、景観保護を主張することになりました。
世論からも日常の景観を守らなければ、回りがコンクリートだらけになってしまうとして、なじんだ景観を後世に残すことの重要性を支持する流れが生まれ、2012 年 6 月に県が架橋計画を撤回し、湾の埋め立て免許申請を取り下げました。道路は山側にトンネルを通すことを提案するに至りました。
このため、住民側は、2016 年 2 月訴訟を取り下げ、運動に終止符が打たれたのです。 日本に景観保護の 重要性を位置づけた大事な事例です。私たちのクスノキ保全裁判も、日常になじんだ自然を残す大切さを世論 に訴えられたらと考えています。(岩田 薫)