住民訴訟・伐採差し止め訴訟 第1回口頭弁論が行われました!
vol. 3 2021-07-21 0
(「相原高校のシンボルツリー・クスノキを守ろう! クスノキ訴訟だより NO.3 」発行:2021年7月21日から裁判の報告です)
7月18日のクスノキ
6 月 28 日(月)横浜地裁 502 号法廷で3つの裁判が始まりました。
裁判長:岡田 裁判官:棚木・西村
傍聴者(原告側:市民など15名 被告側:県関係者6名)
被告側(県・市)は代理人の弁護士が出席。双方での書類確認と原告の意見陳述がされ、次回の日程を決め、 閉廷しました。なお、3 件ともすでに答弁書(いずれも却下を主張)が出されています。
次回の口頭弁論に被告は準備書面を用意し、反論します。
(1) 第 3 号「クスノキ保全管理費返還請求事件」
原告:岩田(陳述者)・浅賀・飛澤
被告:神奈川県知事(代理人:藤田弁護士・他職員 4 名)
(2) 第 31 号「クスノキ伐採差止め請求事件」
原告:浅賀(陳述者)・飛澤
被告:(1)と同じ
(3) 第 8 号「クスノキ健康診断費用返還請求事件」
原告:浅賀・飛澤(陳述者/急遽欠席のため陳述書は証拠書類として提出予定)
被告:相模原市長(代理人:石津弁護士・他職員 7 名)
◆裁判の争点(被告の答弁書より)◆
(1) 適法な住民監査請求を経ていない:地方自治法第 242 条 2 項「1 年経過(時効)」。県内駅整備促進費にクスノキ保全管理費は含まれない。
(2) 国立(くにたち)景観訴訟の最高裁判決の如く、景観利益を害すると判断はできず、クスノキ周辺は現在工事中であり、街並みとして調和が取れた地域ではないため、景観利益は観念できない。保護すべき景観がないため。またクスノキの処分方法は決定していない。
(3) (1)と同じく「1 年経過(時効)」。 市のまちづくりにクスノキは想定されていない。
【裁判を傍聴して】
6 月 28 日、横浜地裁で3件の民事裁判の第1回口頭弁論が順次行われました。初めに県に対してと市に対してそれぞれの案件として、クスノキの保全責任を問う意見陳述がされ、続いて原告の浅賀さんから クスノキ伐採を差し止めるように求めて心のこもった意見陳述がなされました。
被告側からは、いずれも「却下を求める」という答弁文書が出されました。
反論は次回以降になりますが、実に不誠実で反省もない居直り論です。反対の声を無視して多くの樹木を伐って工事を進めてきたにも関わらず「本件クスノキ周辺地域には保護すべき景観はないため、前提となる利益の存在がない」というのです。でも一方で、「クスノキの処分方法は決定していない」といい、 私たちの訴えに対しては「争う」としています。
市は、クスノキ保全の責任は県だと主張します。そして、橋本駅周辺地区小委員会の検討資料等に 「シンボルツリー」と記載したのは、シンボルツリーと位置付けたのではなく・・・図示したに過ぎない」と。
では保存樹木と指定した時はどんな考えだったのでしょう。3つの別々の裁判ですが、裁判長は同じですし、関連していますから県と市の主張に矛盾も感じられました。一体のものとして市民の声を大きくしながら、クスノキを守ることで、橋本駅前に緑地と公園を取り戻しましょう。(南区 Nさん)
★口頭意見陳述(抜粋)★
令和 3 年(行ウ)第 3 号橋本駅前クスノキ保全管理費違法確認返還請求事件
〜陳述書〜
横浜地方裁判所第1民事部 御中
原告:岩田 薫
原告は、頭書事件につき、以下の陳述をする。
(中略)
クスノキは、県有財産である。県立相原高校創立記念に植樹され、学校のシンボルとして地域 の住民にも、長年愛されてきた樹木である。この財産の維持管理を怠ったことは、地方自治法第 242 条第 1 項に定めた「財産の管理」を放棄したものと考えられ違法である。目的が学校跡地の維持管理のためと記載されながら、予算を不動産鑑定並びに土壌汚染現況調査のために用いたことは、問題である。
原告らは、本件提訴に先立ち被告に本件支出の返還を求める住民監査請求を提訴した。監査委員の調べに被告は、前記金員を「財産の有償譲渡や用益権設定のため」「工事ヤードを確保するため」に用いる必要があったと弁明している。監査委員は、理由がないとして時効のかからない分の金員の返還を求める趣旨の原告らの主張については、棄却とした。これには、納得できない。
よって、目的外に使った前記金員の返還を求める。
〜 意見陳述書〜
横浜地方裁判所第1民事部合議A係 御 中
原告本人:浅賀きみ江
私は、御庁令和3年(行ウ)第31号橋本駅前クスノキ伐採差止請求事件の原告本人として、次のとおり意見を陳述します。
(中略)
2021 年 6 月 10 日、馬場学郎同窓会長との懇談で、“同窓会として一度も伐採を認めた覚えはない”更に彼は“土地は県の物であっても、クスノキは私たちのものだ!”と明言されました。そうです、クスノキは私たち市民の財産です。次世代への道しるべです。
「相模原市広域交流拠点整備計画検討委員会(H28 年 2 月 3 日)答申」でも“今計画は極めて重要であり、市民意見を取り入れながら検討してほしい”と結ばれています。この計画の前提にはリニア大阪開業時、リニア利用者も増える予測を算段にしてますが、市民の声・地域の歴史を無視したリニア開発優先の計画は、コロナ禍・大都市一極集中から地方分散型社会への転換の時代要請にあって、既に破綻しています。
2027 年の名古屋開業は到底困難との JR 東海の弁が物語っています。今、SDGsを実現する市民参画のまちづくりこそ問われています。
裁判官の皆さまへ、クスノキの 燃ゆる思い 伝えんと 司法の力 我ら祈らむ