熱海土砂災害にみる盛り土被害、リニアの残土ではもっと大規模に
vol. 1 2021-07-10 0
熱海の土砂災害で言われている盛り土の問題について少し書きます。
リニア工事の残土は膨大で、熱海よりもっと大規模な盛り土が各地で行われていたり、予定されていたりします。
相模原市に住むようになり、リニアのことを知るまで、東京出身の私は、都市部の街並みが新しくなる舞台裏で起きていることにあまりにも無知でした。
同じ相模原市内の津久井地域の山々には、公共工事を始めとした土木事業に必要なコンクリート原料を得るための採石場がいくつもあります。山を崩し採石し、削られた山肌に建設残土を埋め戻す。その中には産業廃棄物や薬剤で汚染された残土も多いのです。事業者が行政に提出した計画書の何倍も上回る量の残土を短期間で捨てて、あとは雲隠れしてしまうこともしばしばです。
採石・残土事業者は暴力団等のフロント企業である場合も多く、お金になる残土トラックをジャンジャン受け入れ、儲けるだけ儲けたら倒産していなくなってしまうのです。
国には残土を取り締まる法律がありません。国政に携わる多くの議員にとって、土木事業は支持者の企業との結びつきが強く、取り締まらないことで利害が一致しているからのようです。地方自治体によっては残土条例があるところがあっても、後手後手の対策にしかならず、実質、抜け穴だらけのやりたい放題です。
宮ヶ瀬ダム近くの相模原市志田峠というところでも、60万㎥もの残土を山間の斜面に盛り土する「津久井農場計画」があります。熱海の盛り土が5万㎥ですから、その12倍もの規模です。
農場は隠れ蓑で大手ゼネコン「フジタ」が所有者を操って大量のリニアトンネル掘削残土を捨てるための計画と言われ、反対運動が起きています。熱海のように崩れた場合、愛川町と韮尾根地区の一部に甚大な被害が想定されています。
津久井農場計画による災害リスクが高いと想定される地域
「相原高校のシンボルツリー・クスノキ」が立つ橋本駅前のリニア駅工事でも、大量の残土が発生し続けています。
同じく宮ヶ瀬ダム近くの歴史ある美しい山村、相模原市緑区の鳥屋地区にはリニアの車両基地の建設計画があります。
最大幅350m・長さ2km・面積50万㎡。まるで飛行場か万里の長城と例える人もいるほど大きい。山を削り、谷を埋めて標高310mにそろえるため、10階建て以上の巨大な車両整備工場の出現で生活は激変するでしょう。澄んだ川の水も汚れてしまうだろうし、山の造成で災害リスクが高まることは必至です。
鳥屋リニア車両基地計画の鳥瞰図CG、飛行場か万里の長城かと言われるのも納得
この車両基地造成にも、鳥屋地区の山を削った土とともに、リニアトンネル掘削残土が使われると言われています。
橋本の緑と安心を守る会 吉田
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