樹木(いのち)の緊急避難・続編!
vol. 1 2023-05-15 0
さて、GWの緊急避難が終わってホッとひと息ついたのも束の間、10日(水)の夕方、教育委員会から電話がありました。
「残せるかもしれないと移植を避けてもらったヒマラヤスギですが、今週中に伐採することになりました。そばの桜も。また、梅3本も来週伐採します」
慌てて翌朝、二小正門前に駆けつけました。矢野さんも急遽山梨から二小へ。
たぶん樹齢は70年くらい。大きな樹冠で夏の暑さからも雨からも守ってきてくれたヒマラヤスギ。警備員の方が親切にも教えてくれました。
「今日は伐られないよ。明日も厳しいらしいから来週じゃないかな。この木が伐られると暑いよね……」
私たちは矢野さんと一緒に教育委員会に行って、なんとか残すことはできないか、2時間にわたって交渉しました。
「この工事の施主は国立市であり、国立市民であり、もっと言えば、“小さい人”、子どもたちです。いのちを大切にしましょう、と子どもたちに言っておいて、そうではないことをやっている大人社会。あまり知られていないけれど、植物は光合成をしているだけではない。大地に根を張って、地上と地下の空気と水の循環を支えて、あらゆるいのちを育んでいる。とくに大木が果たしている役割は大きい。なんとか残していただけませんか」と矢野さん。
教育委員会はもう一度建設会社と話してみます、と。そして、来週伐採予定の梅3本は、13日(土)に移植してもよいとのこと。再び、2日後の緊急避難の呼びかけが職人さんたちになされ、急な呼びかけにもかかわらず、16名の大地の再生チームが重機を手配して駆けつけてくださることに。
ところが。12日(金)午後、教育員会から、「建設会社さんと話しましたが、やはりヒマラヤスギを残すことは難しいそうです」との電話が。
矢野さんに連絡すると「いまからでは不可能。大型重機の手配も間に合わない。ヒマラヤスギには、生き残った木たちの代わりを担ってもらうしかない」と。
「無念」という言葉はこういう時に使うのか……と身体から力が抜けていくのを感じました。
5月13日(土)朝。一番にやって来られたのは矢野さん。そして梅の移植用の小さめの重機がやってきました。ヒマラヤスギを眺めた矢野さん、
「思ったほど高くないですね……。あとで、ちょっとやってみましょうか」。
なんと!
梅3本の掘り取りは昼までに終了。これらの木は矢野さん農場で養生することに。土壇の西側に立っていた紅梅はたわわに実をつけていて、手伝いに来た子どもたちが意気揚々と落とした枝から集めました。
そして午後。小さな重機で根回りを掘り、ツリークライマーの資格がある職人さんの手でヒマラヤスギの上の方にロープが結びつけられたかと思うと、矢野さんはそのロープを引っ張り始めました。
ドーン。
聞いたこともないような、なんとも言えない荘重な音ととともに、ヒマラヤスギが倒れました。
その後、枝を落とされ、幹を短くされたヒマラヤスギは、他の仲間たちの待つ仮移植場へ。
とても時間がかかりましたが、なんとか収まり、桜とともに、仮移植の杜の仲間になったのでした。
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