『航海記』ついに船出へ──完成間近&予約開始のご報告
vol. 32 2025-04-29 0
みなさま、お元気でいらっしゃいますか?
年初のご挨拶から、気づけば105日が経ってしまいました。
書店版づくりの進捗を折に触れてお伝えしたいと思いながらも、更新が滞ってしまい、ようやく今日この場でご報告する運びとなりました。
アップデートの記事を楽しみにしていてくださっていた方々、不義理をしてしまい申し訳ございませんでした。
制作の過程は、都度お伝えするにはあまりに生々しく繊細で、ある夜に下した大きな決断を、翌朝には迷ってしまう、そんなこともしばしばありました。激しく変転する中で、発信することもままならない日々。試行錯誤、時に迷走、最後はなんとか決断、そういう四ヶ月半でした。
書店版『航海記』、完成間近です!
お待たせしました。
『航海記』の書店版づくりについて、ご報告です。
去る4月14日に、無事に印刷会社さんへバトンを渡し印刷用語で言うところの「責了」となりました。
たくさんの方々のお力添えのおかげで、赤井都さんの『航海記』という物語が、
単行本として間もなく出版されます。
山小屋ブックスでは、この本のためにISBN番号を取得しました。
(ISBN 978-4-911550-00-7)
そして、この番号をきっかけに、今後100冊まで出版できるレーベルとしての枠が開かれました。(もちろん、本を作ればの話ですが!)
本の流通についても悩みに悩みましたが、直取引代行を行っている出版社「トランスビュー」さんにお願いすることにしました。
全国の書店さんへは、この「トランスビュー」さんを通じて『航海記』が届けられる予定です。
責了してから机の上を見たら、ゲラの束がすごいことになっていた。
英語のサブタイトルが決まりました!
タイトルは『航海記 Notes from a Voyage』です。
書店版には英語のサブタイトルがつきました。
このサブタイトルが決まるまで、想像以上に悩ましい時間が続きました。
それぞれに良さと考え方があって「どのタイトルが『航海記』に相応しいのか?」と迷い続けた日々でした。日によってこれだ!と思うタイトルが変わる。もしかしてもう決められないんじゃないかとまで思いました。この時が迷走のピークだったかもしれません。
タイトル案を印刷したデザインを持って雨の海辺に出かけたり、
図書館や本屋さんの棚に(こっそり)並べてみたりと、じたばたしながら悩み抜きました。
何かを決めることの難しさを、改めて実感しています。
そして今はたくさん悩んで良かったと思っています。決められて、良かった…!
このことについては、また後日お話ししたいと思います。
雨の猿島に行って、海をバックにひたすらカバーデザインを見つめた日。
たくさんの人と一緒に作った航海記
著者の赤井都さんは、最初から最後までこの試行錯誤に寄り添い、
前向きに伴走してくださいました。
装丁から本文組版まで美しいデザインをしてくれたデザイナーの高野美緒子さんは、
責了前の数日間、夜を徹しての制作となりました。本当にお疲れ様でした…。
訳者のスワスティカ・ハルシュ・ジャジュさん、校閲の田中栞さんをはじめ、多くの方々とやりとりを重ねながら、書店版を完成させることができました。
詩人のアーサー・ビナードさん、川内有緒さんに、この場を借りて心から感謝申し上げます。
詩人の吉成虎維さんと装画の打ち合わせ。水彩画と線画の空押しが入ります。
判型、行間などの相談から、本文用紙、見返し、表紙、カバーの紙まで一つずつ検討を重ねました。
赤井都さんとデザイナーの高野美緒子さん。あらゆることを相談しながら、最後まで一緒に走り抜けました。ありがとうございました!
豆本でもお世話になった弘陽の三木弘志さん。一枚一枚、別丁扉にタイトルの活字を押してくださいました。2300枚の活版印刷…!ありがとうございます!
活版の別丁扉を真剣な眼差しで確認中。
2種類の紙に、2種類の特色で印刷した初校。カットして見比べています。外の太陽光で見たり、本屋さんに持って行って蛍光灯の下で見たり、いろんな場所で見比べました。
英語訳を引き受けてくださったインド出身で福島県浪江町在住の詩人、スワスティカ・ハルシュ・ジャジュさんとオンラインで打ち合わせ。スワスティカさんは「航海記が、私にとって宝物の物語になりました」とメッセージをくださいました。そして、最後まで微調整を重ねてくださいました。川内有緒さんも伴走してくださいました。
部数は上製が2000部、未綴じが300部
今回、上製本(ハードカバー)を2000部印刷中です。
表紙はブルーで、カバー付きの美しい仕上がりになりました。
さらに、製本に興味のある方に向けて、未綴じ版300部も特別にご用意します。
これは、製本前の状態でお届けし、ご自身の手で好きな装丁で綴じていただくための限定版です。
見本は5月9日に私の手元に届く予定です。
ああ、やっとここまで漕ぎ着けたのか…そんな気持ちでいっぱいです。
『航海記 Notes from a Voyage』 山小屋ブックス ISBN 978-4-911550-00-7
著:赤井都 訳:スワスティカ・ハルシュ・ジャジュ 装丁:高野美緒子 装画:吉成虎維
祝!予約開始!そして、書店からの予約が入り始めました!
書店向けには、5日前からトランスビューを通じて『航海記』の情報発信が始まっています。
書店からの予約が入ると、メールで随時通知が届く仕組みです。
記念すべき最初の発注は、初日の夜に届きました。
送り主は、大分県の書店「根木青紅堂」さん。予約は2冊。
私はその通知を見た瞬間、わあ!と思わず飛び上がってしまいました。
「根木青紅堂」──初めて知る名前の本屋さん。
大分県、私にとってはまだ訪れたことのない土地です。
なんということでしょうか!
遠い街の本屋さんに『航海記』が届くなんて、感激です。
その後も、次々とご予約が入っています。
神田神保町の東京堂書店、ジュンク堂書店池袋本店、大阪本店、那覇店(!!)
ブックファースト吉祥寺アトレ店からも…!
さらに昨日の朝には、荻窪の書店「Title」さんからもご予約をいただきました。
私自身も何度か訪ねたことのある素敵な本屋さん。
ぜひ『航海記』を届けたいと思っていたので、とてもうれしかったです!
感激が続いています。
でも、発信はまだまだこれから。
全国の書店への出荷は、5月15日以降にスタートする予定です。
リターンのお届けと、山小屋での展示予定
クラウドファンディングで応援いただいた皆様のお手元にも、同じ頃にお届けします。
今、赤井都さんがリターンの栞も活版で一枚一枚作ってくださっています。
どうか、楽しみにお待ちくださいませ!
また、5月23日〜27日には、gallery and shop 山小屋にて、
書店版の発売を記念した展示を開催します。
ぜひ、お立ち寄りいただけたら嬉しいです。
新たな航海の始まりに
最後まで読んでくださりありがとうございました。
みなさまのあたたかい応援のおかげで、『航海記 Notes from a Voyage』が大海原に漕ぎ出そうとしています。
みなさまのお手元にお届けできる日は、間もなくです。
ここから始まる新たな航海を、どうか引き続きご一緒ください。
目指せ、遠い街。目指せ、遠い海。
目指せ、遠くの街に住む、遠い誰か。初めて出会う本屋さん。
どうぞよろしくお願いいたします!
山小屋ブックス
新谷佐知子
- 前の記事へ
- 次の記事へ