甲田益也子さん、 灰野敬二さんによるリーディング音源をお届けしました
vol. 23 2018-03-31 0
甲田益也子さん、 灰野敬二さんによるリーディング音源コース にご支援いただいた皆様へ
大変お待たせいたしました。
本日、甲田益也子さん、 灰野敬二さんによるリーディング音源をお届けすることができました。
【内容】
・2017年11月22日に行ったオイリュトミー公演『おしごとは呼吸すること』で使用した6編のテキストとエキストラボーナストラック1編の全7トラック
1.<魔法のことば> エスキモー族
2.<おれの若者たちよ働いてはいけない~> ネズ・バース族の 説話の断片
3.<おれは恥ずかしい~> ナバホ族の呪術師(シャーマン)の詩
4. “口くらべ ” アイヌの昔話より
5. “夢の中の人間 ” ジョバンニ・パピーニ『病気の紳士の最後の訪問』より
6.『ルドルフ・シュタイナー教育講座II 教育芸術1 方法論と教授法』(筑摩書房)より 25,920回の呼吸について の部分
7. エクストラボーナストラック“大鴉 ”エドガー・アラン・ポー
リーディング甲田益也子灰野敬二
録音・編集 しのっぺん
オイリュトミー公演『おしごとは呼吸すること』では「人間のしごと」と「呼吸」についてがテーマとなっていました。
作品の内容を考える上で、歴史上、「人間が近代化を遂げるにつれて虐げられてきた存在」に焦点をあてる段階がありました。
そのような存在のことばを現代によみがえらせることのできる「声」とはいったいどうのような声だろう?と考えた時、灰野敬二さんが浮かびました。
photo by bozzo
そして、時代の中で翻弄される人間像とは正反対の「この世に一度も受肉したことのない存在・非情さと慈愛の共存する、人間の理解を超えた存在」の声をイメージした時に、甲田益也子さんの存在が浮上してきました。
photo by bozzo
そういうわけでお二人に出演を依頼させていただきました。
白と黒、正反対のキャラクターが作品全体に無限空間を生み出してくださったと思います。
録音は2017年の8月8日と10月10日の二回に分けて行われました。
一回目の録音では甲田益也子さん、灰野敬二さんともに初顔合わせ。
それにもかかわらず、お二人が声を発するとスタジオの空気が一変し、紙の上に封印されていた言葉が魔法のように空間をかたち作るのが感じられました。
1.<魔法のことば> エスキモー族
2.<おれの若者たちよ働いてはいけない~> ネズ・バース族の 説話の断片
3.<おれは恥ずかしい~> ナバホ族の呪術師(シャーマン)の詩
灰野敬二さんのソロ。まさにネイティブアメリカンの酋長が現代によみがえったような強さと悲しみの中の優しさが感じられます。
4.“口くらべ ” アイヌの昔話より
甲田益也子さん、灰野敬二さんのデュオ。灰野さんが質問し、甲田さんが答えるかたちとなっています。ここでも「永遠に問い続ける人間」と「永遠に課題を投げかけ続ける(むちゃ振りをしてくる)神的存在」という対比のイメージがありましたが、実際にお二人の掛け合いを聞いていると、そんな意図をはるかに超えた輪廻転生、永劫回帰を感じさせる不思議なイマジネーションにあふれた世界となり、聴いていて私自身非常に感動しました。
年をとった烏はどーこ?
こうじを取りにいった。
そのこうじはどうした?
酒につくったよ。
その酒はどこ?
飲んじゃった。
飲んだ酒はどうなった?
うんちになってしまったよ。
そのうんちはどうなった?
犬が食べちまった。
その犬はどこ?
殺してしまった。
殺した犬はどうしたの?
烏が食ってしまった。
その烏はどこ?
殺してしまった。
殺した烏はどうしたの?
矢にしてしまった。
その矢は?
それで立木を射た。
その木は?
切ってしまった。
切った木は?
火にくべちまった。
くべたあとは?
白い燃えかすになっちまった。
その燃えかすは?
灰になっちまった。
その灰は?
火を片付けて、ちりといっしょに、捨てちまった。
捨てたあとは?
苔になっちまった。
その苔は?
舟に造っちまった。
その舟は?
お天気が悪くなって、ずうっとずうっと遠いところに入っちまった。
「口くらべ」 アイヌの昔話より
photo by bozzo
5. “夢の中の人間 ” ジョバンニ・パピーニ『病気の紳士の最後の訪問』より
6.『ルドルフ・シュタイナー教育講座II 教育芸術1 方法論と教授法』(筑摩書房)
こちらは甲田益也子さんのモノローグ形式となっています。陰と陽の二つの視点から同内容を語るこの二つのテキストを甲田さんが語り分けるのは圧巻です。「眠り」に関するテキストでもありますので、入眠時に流していただくのもおすすめです。
7. エクストラボーナストラック “大鴉 ”エドガー・アラン・ポー
こちらは甲田益也子さん、灰野敬二さんの掛け合いでお贈りいたします。
去年の6月に、「どこへ行ってもカラスが騒いでいる」という一週間があり、なかば思いつきでこのテキストを選びましたが、大傑作となりました。そのうち100万円くらいで販売したいと密かに思っています。
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最後に、録音から細かい整音・編集まで長い時間をかけてこの音源を作りあげてくださった しのっぺん に心から感謝します。
甲田益也子さん、 灰野敬二さんによるリーディング音源コース にご支援いただいた皆様、ぜひお楽しみいただけましたら幸いです。
こうもりクラブ (野口泉)