なぜ、めんどくさい天然藍灰汁発酵建てをするのか
vol. 11 2020-05-21 0
【クラウドファンディング、ストレッチゴール達成!!!】
皆様のおかげで、ストレッチゴール(第2目標)まで達成する事ができました!!
本当嬉しいです。
緊急事態宣言が出た4月の頭、あの時に沈んで落ち込まずに、グッと覚悟を決めて動き出して良かったと思いました。
こんなにたくさんの方がわたしのちっぽけな活動を応援してくださるなんて、幸せ者です。
応えられるよう頑張ります。
https://motion-gallery.net/projects/konya_namiho
本日は【なぜ、めんどくさい天然藍灰汁発酵建てをするのか】
少し専門的な内容になるかと思います。
ずっと話したかったのだけど、ちょっと話すには勇気がいる内容。
結構長くなってしまいましたが最後の方に、結局言いたい事が書いてあるので読んで頂けると嬉しいです。
おそらく、日本に出回っている藍染製品は「インド藍」や「インディゴ」が多いかと思います。
ジーンズの藍色も今はほとんど藍に似せた合成染料で染められた色です。
わたしがしている藍は、蒅(すくも)を使った”天然藍灰汁発酵建て“というもの。以下『本藍染』と呼びます。
これが本当に手間がかかる。
今いる郡上の場合だと、藍の種を畑に植えるところから始まる。
5ヵ月間かけて育てた藍を、葉っぱだけ集めて3ヵ月山にして時々かき混ぜ、発酵させて蒅をつくる。
(蒅は藍師さんから買うことも可能)
1年以上寝かした蒅に、仕込んだ灰汁を混ぜて、フスマ(お酒)貝灰を入れ、朝晩混ぜてること数日。ようやく染料が完成。種から考えると、おおよそ最低2年。そして、それは管理次第で半年染め続けられます。
ただ、毎日欠かさず混ぜて温度やphの管理をし続けなければいけません。
インド藍やインディゴ場合いずれも発酵はしていないので、ハイドロという化学薬品で色素を還元させる必要があります。
一般的なやり方は、粉末(物によっては液体)にハイドロとお湯、ソーダ灰などを混ぜて、ものの10分で完成してしまう。
染料は注ぎ足して使う方が多いですが、1回の場合は1週間〜1ヵ月染められる。管理はほぼ無し。
この手軽さから、インド藍が輸入された時に、本藍染は大幅に衰退したと言われています。
ただ、化学を入れた液体はできるだけ素手で染めない方が良かったり、使い終わった染料をそのまま排水に流せなかったりします。(人によってやり方は違うと思いますが。)
藍染に抗菌消臭や防虫、保温などの効果があると言われていますが、これらには、藍の効能はおそらくありません。
インディゴやインド藍よりも、本藍染のが色落ちしにくいと言われています。
わたしが藍をはじめた時は工房なんて構えてなくて、家のベランダでインド藍を使っていました。
すごく濃く染められるし、本藍染の何倍も手軽に染料が作れる。
商品化しようと思えば、本藍染よりも値段は抑えられる。
現代社会にうまくハマっていて、本藍染が時代に合わせて衰退したのも納得せざる負えません。
このようにどっちにもメリットやデメリットはあります。
藍を仕事にしたいと思った時は、現実的に考えて、両方やろうと思いました。
でも、石徹白で本藍染にはじめて触れて向き合った時に、完全にめんどくさい本藍に魅了されてしまい、本愛染1本にする決意をしました。
科学には出せない本当に美しい自然の色がそこにはあって、「手のかかる子ほど可愛い」という感覚に近く、毎日蓋を開けて顔を合わせ、状態を確かめ、手を入れて管理し続けた愛着は、10分で作れる染料には感じなかった思いです。
そしてもともと日本文化が好きなわたしはやはり、ジャパンブルーである、本藍染を選びました。
青くなるこの手は、赤ちゃんは怖がるし、子供には悪魔の手(触ると呪われる)なんて言われたし、見知らぬおばあちゃんには、「結婚前の娘さんが(こんな手)で可哀想に」と言われた事もありますが、
いまではすっかりトレードマークのようになってしまい、街の人たちが「今日は一段と青いね〜」って声かけてくれたり、わたしの手を写真撮ってくれたり、初めて会う人には必ずいい話題になります。
スーパーやコンビニは行きづらいけど青い手で生きる覚悟はだいぶできたと思います。
写真は今日、いつも遊ぶ近所の子が、抵抗なく触れて、ニギニギしてくれた写真。
昔は藍は神聖なもので男の人しか藍甕の中に手を入れられなかったそう。
現代はもう、大丈夫。
街中が藍だらけだった時代を生きてみたかったな、と思う反面
思う存分に藍ができる今の令和を生きて幸せだとも思います。
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