プロダクションノート#3
vol. 4 2018-05-29 0
瀬々監督による、プロダクションノート3回目です。
【ロケ地とスタッフ】
「瀬々、関西で撮ろうや」美術の磯見俊裕は脚本を読んで、即座にこう言った。経験から出た言葉だ。彼が『花よりもなほ』(是枝裕和監督)で美術担当した時、京都松竹撮影所で出会った馬場正男氏の持つ黒澤や溝口の時代からの叡智と工夫、その他の優秀なスタッフ、そして今でも関西に残っている風景なら、この映画を成立できるという確信が磯見にはあった。
2016年5月のGW明け。メインスタッフで関西ロケハン。その後、プロデューサー藤川を中心とした東京からの制作部が京都へ前のり、一軒家を借りて準備。8月と9月に再度ロケハン。京都撮影所制作部の山田智也が中心になり、候補地を回る。彼には『日本のいちばん長い日』(原田眞人監督)でロケした知識と資料が頭の中に既にある。その結果、大阪での「ギロチン社」アジト、遊郭、大阪の街並み、震災後の町、それらを撮影所セットの空きの時間で使っていくことを決定。その他のロケは、滋賀、舞鶴、丹後半島で撮ることとする。
【中濱と古田の住処となる舞鶴市田井漁港】
馬場正男の他にも撮影所からは装飾に中込秀志、小道具に上田耕治、衣装に真柴紀子ら京都時代劇の根底を支える優秀なスタッフが参加。一方、東京では役者本人の地毛による髷にこだわるメイク、島田万貴子の研究が始まっていた。女力士のリアルある髪にその成果が表れている。
【地毛で髷(まげ)を結う】
次回へ続く