柳沢教授より…みなさまへ
vol. 22 2021-09-05 0
応援メッセージ…背中をそっと押してくれた、私の「師」から
この本の執筆にあたり出版の価値を見出だしてくださった、敬愛する我が「師」森林文化アカデミー柳沢直教授から、プロジェクトの成功祈念と、みなさまとの森林文化の価値共有に寄せて、メッセージをご寄稿いただきました。
学の無い私は「師」の研究業績を詳しくご紹介することが叶いませんが、森林や里地里山の生き物の生態…とくに植物と水環境に関わることがご専門です。
それ以上に、私は在学中からその後も「師」から、人と森林の関わりの在り様だとか、里山の人と自然を捉える「まなざし」だとか「愛」だとか、学問とそれ以上のことを、野で山で、共に学んできました。
山田さんのクラウドファンディング、330%まで来ましたね。ご当人の熱い想いに感化された…のかもしれませんが、同じことを様々な地域に暮らす、色々な人たちが感じていたのではないかと思います。彼の卒業した森林文化アカデミーに関わる皆さんは特にそうでしょう。私もその一人ですし、現時点での奮闘結果を嬉しく思います。
某マンガに「たしかにお金のために仕事をしているけど、お金のためだけに仕事をしてるわけじゃない」という意味の台詞が出てきます。山田さんとやりとりをしているときに、このくだりが何度も頭に浮かびました。もっともな事だと思うのですが、彼との対話の中で、気がつくと自分も含めて発想の根本が「お金の奴隷」になってしまっているのではないか、と思い至りました。確かに都市居住者から見て地方の自然環境は分かりやすく素敵に映ると思います。けれどこの働き方の部分については、あまり意識されていないのではないでしょうか。
都市から地方に移住して暮らすことには、単なる住環境の変化以上の意味があると思います。せっかく地方に移住しても結局「お金のためだけ」に働くのでは勿体ない、「人は人のために働き、そして生かされる」、山田さんの体験にはそんなメッセージが込められているのではないでしょうか。実際にそういった働き方を実践している山田さんの言葉には、他にはない説得力があります。それを多くの人に伝えることに可能性を感じ、執筆を勧めてみました。そこから先の展開はひとえに彼の行動力によるものですね。ここまでの広がりを見せるとは、私も予想していませんでした。
森林文化アカデミーは今年で開学20周年を迎えていますが、20年間存続した意味は、「岐阜県内に何人卒業生を送り出したか」ではなくて、山田さんのような人材をどれだけ全国に送り出すことができたか、で評価されるべきだと改めて思いました。
人にものを伝える方法は多々ありますが、文章で伝える、特に本という媒体で伝える事自体が出版業界の冷え込みもあり、衰退しているように感じます。しかしネット上にあふれる文章が次々に消費されていく存在である一方で、製本された図書は時を超えて将来の世代につながる可能性を秘めていると思います。特に彼の熱い想いと文章からはそんな力を感じます。あとここだけの話、自然に関する描写も私好みですね。共感できる部分が多いです。
私もこのプロジェクトの結末がどうなるか、期待を込めて見守っています。
どうか目標を達成されますように!