オンラインでお箸をつくるまで
vol. 6 2021-03-05 0
皆さまこんにちは。架け箸の髙橋です。
今回は、リターンの目玉でもあるオリーブのお箸がいかにして出来上がりつつあるのか、その紆余曲折をお話したいと思います。今後、オンラインだけのやり取りで海外の人にお箸を作ってもらいたいというニッチな願いをお持ちの方の参考になれば幸いです。
始動!
お箸づくりをお願いする団体を見つけたのは昨年3月でした。
私はあくまでも自身の知的好奇心や暮らしへの興味からパレスチナに行っていたので、ビジネス的なツテが無く、起業すると決めてからオンラインで繋がりを作り始めました。こちらも、オンラインでしか繋がっていない別の方におすすめしてもらった、という非常に人間関係としては浅い所からのスタートでした。
見つけた団体「Holy Land Handicraft Cooperative」は、実は既に日本と取引していて(!)、HLHCを通して日本の方とも知り合うことができましたし、後に届くお箸のサンプルもこの方が間に入ってサポートしてくださいました。
そんなこんなで、突然連絡を取って「箸を作って欲しい」という私の要望を容れて、HLHCの担当はすぐに動いてくれました。
初めに「お箸」なるものの説明と大きさ感、要望事項を送った。
長かった、長かった。
そしてコロナが日本とパレスチナを覆いました。
パレスチナ側は厳しい制限のため仕事に出られず、事務所も閉鎖。お箸どころか、HLHCの経営に暗雲が。寄付という言葉を使わないようにしているのですが、この時ばかりはチャリティイベントを開いたりして…
なんだか、振り返ると始めた瞬間から勢いをへし折られる感覚でしたね。笑
当時は、さっさと作って売ることで団体を助けなければと思っていましたが(やり取りも切迫した雰囲気)、そのチャット自体がなかなか思うようなスピード感では進まず。
(余談だがこの時相手が57歳であることを知り、気軽にチャットしてああだこうだ頼んでたことを後悔する私23歳。パレスチナの人の年齢全然当てられない)
進まない展開に、外堀から埋めていきたいと考えた私は彼女に色々と提案します。
「職人さんにインタビューして、製品のものがたりをHP用に準備しておきたい」
「ビジュアルの方が伝わるから、作っている様子を撮影して送って欲しい。こっちでビデオを作るので」
彼女もいいね!と言ってくれるのですが、忙しすぎるのか、こちらも話が進みません…。
「職人さんたちが先生になってオンラインでスキルを教えてもらおう。それで現金収入を得よう!これはどう?」
「通常ならいい話だけど、コロナがね…」
と、次の提案も断られ。
こちらは、コロナで失った”観光”という収入を補填するために出来そうなことをあれこれ提案してみる訳ですが、おそらく現地ではそれどころですらなかったのでしょう。
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4月末、彼女から連絡が。「サンプルできたよ!」
・・・5本??
ここからまたコロナの状況が悪化したり、まだ配送が不可能だったりして。
なかなか話が進まない雰囲気が伝わっていますでしょうか。
お互いに辛い時期でしたが、チャットを振り返ると当時はよく励まし合っていたなぁと思いだしました。
「パレスチナの人とものをつくって、それで私も生活をして、今よりもっと多くの時間をこの仕事に割きたいんです」
「メイドインパレスチナを世界に広めていきましょう!」
そして7月の下旬・・・箸のサンプルが到着!!!
日本に到着したのは2本でした(3本はどこへ)。
オリーブの木目の主張の強さに、他の木には無い良さを感じたものの、頼んでいたより全体的にずんどうで太め。写真では、
「ここまでは良いんだけど、このあと段々細くできないでしょうか?」と尋ねています。
使い心地は悪くないんですが、商品かと言われるとまだ遠い印象。
オンラインで伝えにくい注文をビデオで伝えようとするも、コロナで変則的な彼女のスケジュールになかなか合わせられません(+時差!!)。
職人さんとのビデオも何度もすれ違って未だ実現ならず。
8月の頭にはレバノンの爆発があり、親戚が暮らしているケースが多いパレスチナの人も心労が大きく、仕事どころではありませんでした。
職人さんの顔を見て話が出来たのは8月の末。
その時も、細かい注文やデザイン案、背景の確認(オリーブの木はどの農家さんから仕入れたか、オーガニックなのか、職人さんの給料は、などなど)など聞きたいことが山ほど溜まっていて、でも一度にやると流れてしまうので、聞きすぎないように気を付けてやり取りを進めます。
言語の壁があり、実質職人さんとは深い話はできないので、挨拶だけして後は担当の彼女と英語で相談します。
9月の頭に送られてきた写真。サンプル第2弾。
丸から四角になり、先も細くなりました。が、なんか急に細くなってない??
「ここをなんとか滑らかにしてほしい!」と伝える私。
こういうのも、現地に行けたら一発なんですけどね。
数値を、と言われたので、「こういう寸法で・・・」と送ります。
こちらはまた別のサンプル。デザインをレーザー加工してもらっています。
・・・結構良いのでは??
そしてこれらが修正されて、日本に送られてくることに。
そろそろ読み疲れてきた頃でしょう。本当に、長かったのです。
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クラウドファンディングで宣伝しているデザイン案は9月半ばに定まって、
箸側面にهههههههههههه(意義よりも、シンプルに伝わってデザインとして楽しめる方が良い)
頭の部分にت(にこちゃんマークにみえるから)
というものをお願いしました(が、微妙に忘れられていそうなので書面にして送っている最中です)
その当時のビデオ通話。彼女はお孫さん達の世話もあって、多忙を極めているのがよく伝わってきました…。
「日本から箸送れば早いんじゃないの?」
と言われそうですし途中で思いましたが、当時日本からの輸送はストップしていて、そうもいかず。
そして、11月下旬に再び箸到着!!!
あとは先っぽをもう少し、削りたい!
こちらでやすりで削って、ちょうどいいサイズ感になったところで、ビデオを撮り、書面も同封し、ドイツ経由で送り返すことに(やっぱり日本からは送れない)。
もうこれで、最終形態。
この最終サンプルを入れた郵便物は今パレスチナに届いています(おそらく)。
またもやロックダウンの移動制限に阻まれ、確認できていないそうです。
大変長くなりましたが、3月から取り組んできたお箸を皆さまの食卓にお届けするまで、あと一歩です。
お読みいただきありがとうございました。
参考になれば幸いです。