脚本について
vol. 2 2021-02-03 0
本プロジェクトにお越しになった皆さま
こんにちは。
監督の葛西です。
今日は、『バンドワゴン』の脚本について少し触れます。
2019年末。
助監督を初めて2年近くが経ち、有り難いことに様々な作品に携わらせて貰いました。
そして、2020年の年始にSNSで今年から自主的に作品作っていきます、と宣言しました。
頭の中では、既にいくつかの企画がありまして、
①交通量調査員の話
②函館のある家族の話
③地方の映画祭の話
④コロナの中で上京先から帰省する話 等
2020年1月までは『70才、初めて産みますセブンティウイザン。』という漫画原作のドラマに参加し、2月は『お茶をつぐ』という短編映画、3月『在りし人』という短編映画、4月は長編映画、8月は初めての海外の長編映画で12月〜1月に自分の自主映画をやろうという予定で、2020は葛西にとってはオリンピックどころじゃない感じでした。
2月、3月はバタバタで全く世の中に関心がなく、群馬での撮影がクランクアップして、明日帰ろうというタイミングで、オリンピック中止になるらしいよ、とまぁそれ以降は皆さんの知る通り。私も映画が全て延期になりましたが、以前から仕事の空いた期間にやっていたUberEatsがあったので、生活に困らなかったです。
そして、私は自粛期間中に、鬼滅の刃を見ながら脚本を書いていました。
初めは、上記の②のお話を書いていました。学生時代に書いていたものがあったのですが、それ以上成長させることができず、断念。これは短編ではなく長編作品として書きあげて、『函館イルミナシオン映画祭』の脚本のコンテストに出す予定です。次に、①ですが、自分の中では一番面白い企画だと思いながら書きましたが、面白いと思うものが描けず封印しました。次に④、これは一番時間をかけて、いいんじゃないか!と思ったのですが、ラストが納得行かず、封印!そして最後に③ですが、これは、この2年くらい助監督で参加している『伊参スタジオ映画祭』のシナリオコンテストと、三池崇史監督を中心として立ち上げた『カチンコproject』の企画コンテストに出そうと思って書きました。これは、1つ書き上げまして、『伊参スタジオ映画祭』は1次通過で2次落選、『カチンコproject』は落選。①〜④の中では個人的には一番よく書けたななんて思ってます。
そして、本題の「バンドワゴン」の脚本ですが、最後にお話しした④の作品と並行して書いていました。コロナがあけたら撮ろうと思っていた自主映画。でも脚本がうまく書けず。全てを白紙に戻し、今まで頭に無かった企画を始めようと思いました。
なので、基本に立ち帰り、学校や助監督を通して学んだ事を活かしてみました。
すぐに脚本として作らず、何を描こうか悩む事から始めました。④も似たような形で作りましたが、④はいろいろと発想が膨らんだので、あまり苦労せずに書けました。
ですが「バンドワゴン」はそうもいきません。
ぼんやりと2人の男女を描ければとは思いつつもといった感じでした。
そこで、それぞれの物語のプロット(物語の要約的なもの)を作ってから交わらせるようと思いました。
これは一つ、助監督をしていたから苦労せずにできました。助監督の仕事の中に、登場人物の物語上で描かれていない裏設定を考えることがあります。脚本家も考えておりますが、手の届かないところや、映像にしようとする中で生まれるものもあるので。
結局は1人の人物の話を描く事には変わりないのですが、凝り固まった頭をほぐす意味でも、ストーリーを描くことから着手するのではなく、1人の人物象を作るという意味で捉えると、違った物の見方ができました。
また、それぞれのお話しに、私の周囲の人たちの実体験を1つ含ませ、そこから話を膨らませており、あ手書きとまでは言えないかもしれませんが、それもまた筆は進んだ要因でもあります。
細かな事は、自分の実体験や、葛西のネタ張なるものがございまして、随所に入れております。
とまぁ、まだプロット段階。そしてついにそれぞれの話を交わらせる訳ですが。
うまくいきません。
ストーリーを描く上で、ドラマティックにしようしようと思いがあるのか、人物像から離れていくことに自分で耐えられなくなり、筆を止めました。
何か脱却しようと、それぞれのお話しの脚本を書いてみようと思いました。
そうすると、理由は分かりませんが、何故か筆は進む訳で。
その後の細かい事は省略します。
結果、1つの作品の中に第一章・小春と第二章・悠生が混在するに至りました。
2章制にする事は、その意図が中々理解されにくです。
観手側を置いていってしまうこともあるので、ストレスになる可能性もあります。
私も、これで良かったのかどうかという疑問は常にあります。
でも、今ここにこの脚本が存在します。
以上