「1945」について(Text by 両角)
vol. 5 2015-02-02 0
「1945」は、プロジェクトとして何らかの方向性を指標することなく、あくまでフラットな姿勢で戦争を体験された方々の証言をアーカイヴしていくというコンセプトのもと活動しています。それは自分自身がいま戦争について何か語れるほどの見識を持ち合わせていないということもありますし、自分自身が戦争について改めて「知る」「考える」ための活動でもあります。
そんなわけで、これまで個人的な意見を出すことは差し控えていましたが今日は少しだけ。
「1945」プロジェクトをはじめようとぼんやり思い立ったのは去年の春頃です。政治には無関心、右だとか左だとか意識したこともなく、無宗教で、ジャーナリストでもなく、平和活動に携わったこともなく、特別な信念を持ち合わせているわけでもない僕がこのようなプロジェクトをはじめたわけですから、僕のことをよく知っている家族や友人ほど、お前急にどうしたんだ?と驚いています。
この衝動を説明するのは難しいです。何かを知りたいという欲求であったり、近年の日本に対する疑念、憤りのようなもの、世界情勢に対する不安感、いろいろありますが、正直自分でも何に突き動かされているのかよくわかりません。ただ一つはっきり言えることは、改めて言うことでもないかもしれませんが、「戦争反対」という意志を持って動いているということです。
ここ数週間、僕らは誰も望まない方向へとさらに強く引っ張られてしまっているような、とてもイヤな流れを感じます。この大きな潮流の中では、僕らの「1945」という活動はとても空しいものなのかもしれません。それでも、貴重な証言を残してくださる方々や賛同してくださる方々がいる限り、地道に活動を続けていきたいと思っています。僕らの子どもたちが生きていく世界が美しいものであることを願いつつ。