農園と森「オシアンクル」
vol. 7 2021-11-21 0
農園と森には、ひそかに「オシアンクル」という名前をつけています。
池澤夏樹さんの小説「静かな大地」より(勝手に)頂きました。
池澤さんの祖先が淡路から北海道へ開拓団として入植し
そこでアイヌの人とともに生きることを目指して牧場を作ったという
史実とフィクションが織り交ぜられた物語です。
池澤さんの曽祖父にあたる主人公が、アイヌの青年オシアンクルと出会い
自然とともに暮らす知恵に触れ、彼らの生き方に魅せられ
ともに生きることを目指しますが、和人とアイヌ民族が辿った結末は
彼らの目指すものとはかけ離れていきます。
この土地は借り物です。
もちろんこれまでこの土地で農業をされていたSさんご夫妻から、の借り物であり
そしてこの大地を慈しんできたオシアンクルから、
そしてもうひとつは、次の世代からの借り物。
お返しするときまで、大事にしたいと思います。
土地に人の名前をつけた理由はもう一つあって
例えば、今向こうに見えている山が、自分が立っている足元の大地が
実は巨大な亀やクジラ、巨人などの生命体だったら・・・
子どもの読んでいる物語に出てきそうなエピソードですが
もし、そのようにイメージすることができたら
大地に対するアプローチが自ずと変わってくるだろう、と
「土地に人格をもたせる」ということを思いつきました。
本来、地球それ自体がひとつの生命体なのは知識では
誰もが知っていることですが相手があまりに大きすぎて
そのことをすぐに忘れてしまう。
血管を分断するような穴を開けたり、体が動かなくなるほど固めたり、
全身脱毛して皮膚呼吸ができなくなっていたり、
消毒に次ぐ投薬で腸内細菌は減って免疫力が下がったり・・・
おかしいな、昔はもっと元気だったのに、と
こうやって想像すると、ぞぞぞーとなるけれど
今、現実に起きていることはそういうことです。
大地は借り物であるということ、
大地は生命であること
このふたつのことを忘れないように(すぐに忘れてしまうから)
名前を呼ぶことでいつでも確認できるように。