★ご支援&応援いただいた皆様へ 映画『ホピの予言』DVDブック 出版のお知らせ★
vol. 34 2024-02-21 0
ご支援&応援いただいた皆様へ
2021年の四月からスタートした映画『ホピの予言』DVDブック制作のクラウドファンディングから、早いもので三年目の春を迎えようとしております。
当初の予定を大幅に遅れましたこと、改めてお詫び申し上げます。紆余曲折しながらも、ようやく3月初めに出版の運びとなりました。ほんとうに長い道のりでしたが、この間にもウクライナ戦争やイスラエルのガザ侵攻など世界ではさまざまなことが起こり、そのたびに平和の民であるホピのメッセージを発信し続けることの必要性を感じてきました。
ご支援いただいた皆様には、大変お待たせしましたが、3月中旬には、皆様の元にお届けできる予定でおります。
心待ちにしてくださった皆様へお届けできることが、私たちもとても嬉しいです。
DVDのケースには、沈み彫りのデボス加工が入っています。ブックレットの表紙にはホピのトウモロコシの画像(photo by Rokuro Hiromi)を使用させて頂きました。
【ご支援いただいた皆様へ】
クラウドファンディングの際に送付先のご住所から、変更があった方は、新たなご住所をお知らせいただけると助かります。
メール:hopi.prophecy2021@gmail.com
へ、お名前、ご住所、電話番号 を2月末までにお知らせください。
***
2月14日、『ホピの予言』監督でランド・アンド・ライフ代表だった宮田雪(みやたきよし)の13回目の命日を迎えました。DVDブックのブックレットの発行日は、2月14日とさせて頂きました。
命日を迎えるにあたり、1982年11月発行の『80年代』No.18に寄稿した宮田雪の文章「ホピの予言の示すもの—記録映画『ホピの予言』製作ノート」から、冒頭をシェアします。
宮田は1945年3月3日生まれなので、この文章を書いたのは37歳の若さでした。その時点で明確に次のように書いています。
「映画はその普遍性を訴えることを意図して製作される」 ※映画=本作『ホピの予言』のこと
映画『ホピの予言』は16mmフィルムとして1986年に公開され、今年で38年目を迎え、世代も時代も変化を続ける中、いまも求め続けられている意味とその役割を、宮田はすでに理解していたと想像できます。
本映画に対する宮田の考えが書かれているこちらの記事をお読みいただき、今しばらく映画『ホピの予言』DVDブックの到着をお待ちいただけますと、幸いです。
***
ホピの予言が示すもの
~記録映画「ホピの予言」製作ノート
出典:『80年代』1982年11月1日発行、No.18文明の光と影
宮田雪 みやたきよし
アメリカ南西部、ユタ、コロラド、アリゾナ、ニューメキシコの四つの州が一点で交錯している一帯は、「フォー・コーナーズ」と呼ばれ、この地域に住むホピ、ナバホ、ズニなどの先住民インディアンにとっての聖地である。
一方にグランドキャニオンの深い渓谷を控え、見遥かす地平の果てまで続く一面の乾いた砂漠と、ロッキー山脈に源を持つサンファンとコロラド河に囲まれたこの一帯は、アメリカ大陸で最も原初の文明の足跡を残す土地でもある。
岩石台地(メサ)の上に陽干しレンガと石で作られた家々を連ねる十一の村を持ち、この聖地を精神的に管理するホピは、この地域に限らず先住民の中で最も伝統的な人々だ。
ホピとは「平和な人々」という意味である。彼らの歴史的背景については後に述べるが、この文明の黎明期—ホピの祖先(兄弟)たちは創造主(偉大なる魂=以下、グレイト・スピリットと記す)より聖なる石版(タブレット)をさずかり、この土地からそれぞれ世界の四方に散らされた。いずれも後の時代に、予言が啓示するこの文明の終末期に起こるであろう地球の混乱を鎮め、調和させるための使命を持たされて……。そして、その時代、兄弟たちは再びこの聖地で出会うのだという。
だから、民族や宗教の違いがあっても、グレイト・スピリットを信仰する人々も又、ホピであり、フォー・コーナーズ地域はその信仰の中心地(スピリチュアルセンター)なのだ。彼らがここを聖地として管理するのはそうした理由による。
だが一方で、ここは四百年以上に渡って植民地支配の限りなき暴力を浴び続けてきた。そして今、聖地は核開発のための「国家犠牲地区」と呼ばれているのである。
一九七八年に始まり、私たちが今、三度目の取材に旅立とうとしている製作中の記録映画「ホピの予言—アメリカ・インディアンと核開発」(仮題)はホピの予言を通して聖地に加えられてきた破壊行為の歴史と今日の実相を記録し、伝えようとするものである。
無論、映画が語り得るものは彼らの歴史と今日直面している問題の一部分にしか過ぎない。むしろ、映画が語り得ない部分の背後にこそ歴史と今日の問題の本質があるといえる。
だが、その本質は決して彼らだけのものではない。彼らの大地を破壊し生存を脅かしている病根は、同時に我々の生存をも脅かしているのである。映画はその普遍性を訴えることを意図として製作される。
現在の我々の文明は、例えば資本主義や共産主義といった考えに基づき、それを維持するための人工的な道を歩んでいる。教育もその道を辿るべきものとしてある。
文明を覆いつくす物質主義の氾濫は、我々の欲望や驕慢心を果てしなく増長させ、その結果、戦争を引き起こし、遂には地球そのものを破壊してあまりある核兵器や原発の増産にまで高めてしまった。
原子力発電所は核兵器のような一瞬の破壊力はないが、ゆっくり爆発する同様の破壊力を持つ核武装につながる恐ろしい兵器だ。
もし、我々がこの文明の破壊的な危機から免れたいとするなら、我々は現在の物質と消費主義に代表される文明の価値観を根本から問い直し、自身の精神的改革の道を模索しなければならないだろう。
アメリカ先住民、インディアン、とりわけホピとフォー・コーナーズ地域に、四百年に渡って続いてきたヨーロッパ思考の植民地支配の悲劇は、我々に文明の本質を問い直し、その精神的改革の道のなんたるかを示している唯一の普遍的で根源的な例証だと私には思える。
彼らの大地こそ核兵器産業や原子力開発の出発点であり、その被害に生存への道を断たれながら尚、文明再生への救済の道を我々に示そうとするホピの予言と、その彼らの生き方(ウェイ・オブ・ライフ)に、我々は多くのものを学ぶことが出来ると思うのである。
映画がそれへの理解を深めていくための素材のひとつとなれば幸いという他はない。
***
2024年2月21日
『ホピの予言』DVDブック編集メンバー一同
ランド・アンド・ライフ代表 辰巳玲子拝