コラム11:「百回忌追善巻通し平家」語る順番
vol. 15 2023-09-25 0
皆様こんにちは、鈴木まどかです。募集期間は残り5日間となりました。お陰様で、あと一息で目標額に達成です。ありがとうございます。目標額を越えれば、出演者への十分な謝礼や、記録保存のための費用を捻出できます。引き続き、ご興味のある方にプロジェクトの存在が届くよう、精進してまいります。
さて、本日は今年5月の「巻通し」でわかったことを紹介いたします。
今年5月13日、「寛政5年(1793年)杉山検校百回忌追善巻通し平家の再現」を開催しました。寛政5年の句組を検証していくうちに、いくつかのことが判明しました。
- 1.出演順は、当道座に所属する盲人たちの序列どおり(おそらくは年齢順)。ただし、平曲伝承の責任者である「宗匠」は最後。
- 2.平曲の教習がある程度進んでいた検校11名と宗匠の計12名が出演。
- 3.序列順に、平家物語の担当巻が決まる。
- 4.教習歴が浅い者は、平家正節一之上下・二之上下から句を選ぶ。
このルールで、12名の出演者たちの順番・担当巻・担当句が決まりました。
ここで注目したいのは、天保三年(1832年)と五年に麻岡検校が京都で「平家正節」を学ぶ前に、平家正節の教習順が認識されている、という点です。
平家正節は安永五年(1776年)に編纂され、江戸にも持ち込まれたのですが、当時の江戸では岡村玄川が元文二年(1737年)に編纂した「平家吟譜」が流行しており、平家正節は普及しなかったのです。
「平家正節」が教習順かつ巻通しであると認識していたかもしれないし、「平家吟譜」にも同様の教習順が存在していたのかもしれません。