祭りの準備_vol.2
vol. 10 2015-03-27 0
パリから帰国し、あっという間に10日が経過した。映画音楽の作業と平行してることで、時間は更に加速して過ぎてゆく。数日前に、青木くんと自宅で役作りについてじっくりと意見交換をした。本読み前にすでに彼の脚本にはビッシリとメモが書き込まれていた。自分が書き上げた人物が生身の人間として生まれる過程は不安もありながら、やはりドキドキするものだ。次の1週間で僕たちはこの飯田健次という男が何者であるかを把握したいと思っていいる。そして今日、ヒロインを演じる女優とランチをしながら話をした。軽い顔合わせのはずが、彼女も脚本を読み込み、的を得た質問を用意していた。それに答えてヒロインの人生を語るうちに、とても食事をしながら話す様なことではないレヴェルの罪と愛情の解釈の話へと発展した。じっと僕の話をきく彼女の視線に、僕の中で彼女とヒロインの姿が重なった。きっと彼女は、このヒロインに悲しくも活き活きとした生命をあたえてくれるだろうと確信した。『こういう状況は、ほんとに希有なんですよ』というプロデューサーの言葉に、予算は決して多くはないが、熱意をもってこの作品を実現させようと共闘してくれているスタッフ/俳優に巡り会えた僕は幸せなんだと今更ながらに感じた。しかし、感謝することが僕のすべきことではなく、皆の信頼を越える映画にすることこそが僕の役目なんだ。(半野)